社員満足を上げ、働きがいのある会社へ「元気な会社をつくるプロジェクト」

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件数:92件
  • 2020.01.13
  • 実践ヒント

働き方の転換が「幸せ軸」の鍵

メンタルケアを実践するには 2

メンタル不調の問題が注目を集め始めたのは’90年代に入ってからです。’97年には自殺者が3万人を超えます。’80年代を経験されている方であればお分かりかもしれませんが、’80年代は日本経済はまだ好調でした。しかし昭和のバブルがはじけ‘90年代に入り多くの日本企業は人件費を縮小するために、成果主義、年功序列廃止、終身雇用廃止、リストラなどの、いわゆる勝ち組、負け組が強調された米国型マネジメントを導入するようになります。メンタル不調の問題が大きく注目されるようになったのは、このあたりからです。 実はこうした環境変化がもちろんメンタル不調者多発の一因ですが、ここではもう一つの要因に触れたいと思います。それは、21世紀に入り「私たち自身の働き方、生き方の変化」がもとめられてきた、という点です。 働き方=生き方を変化させることができた人は、メンタル不調にはならない 私たち日本人は(実は日本人じゃなくてもそうなのですが)、周りの顔色をうかがい、周りに嫌われないよう自分自身の動き方を決めようとする傾向が強い民族です。周りから認めてもらえることを第一に考えてそれに沿った生き方・働き方をすることを筑波大学名誉教授・宗像恒次博士は、「他者報酬追求型」の生き方・働き方と定義しています。一方、周りの評価を得られるかどうかにかかわらず自分自身を満足させることや、また他者に無条件に貢献できるかどうかという点を優先して考え行動する生き方・働き方を「自己報酬追求型」と定義しています。 私たちは20世紀までは、他者報酬追求型の生き方・働き方をしていれば社会の中で成功できました。周りの目や世間体を重んじ受験競争で勝ちすすみ、良い大学に入り名のある会社に入り、そして地位や名誉を得るために収入を向上させようとがんばる。常に成功は他者より「上か下か」という基準の中にあり、これは他者に評価されるかどうかが「幸せ」であるかどうかを決めるとした生き方・働き方(他者報酬追求型)であったわけです。仕事は、慣例を重視し他社(者)模倣をすることが大事で上司に評価されるかどうかがすべてですから、よく言われる「ヒラメ型社員」が出世の要件でした。しかし’90年代以降、評価されたいと頑張ってもポストがなかったり収入アップは必ずしも約束されるわけでもなく、ひどい場合は減給、降格、リストラなどは普通のことのように行われるようになりました。「他者に認められたい」という欲求が強ければ強いほど傷つきやすく、認められなかったときにメンタル不調になるのです。また’90年以降は、消費者ニーズが個別化するようになったため、ビジネスマンに求められる資質は、慣例よりも独創であり、左脳(ルール重視)よりも右脳(直感)であり、従順型よりも発信型であり、前例を守って問題なく無難に行う能力よりも試行錯誤して問題を起こしながらもたくましく道を切り開いていく能力、なのです。何が言いたいかというと、周りの顔色をうかがいながらそれに沿うという生き方・働き方が身についてしまっている人々にとっては、今の時代はそのままでは非常にストレスを感じてしまう世の中になってしまったのです。人の評価を一番の重大な関心事にしていては世の中に貢献できないのです。自分から発信・自己表現することが求められるようになったからです。 自分の中に「幸せ・喜び」が残るかどうかがポイント 「認めてもらえるかどうか」は、相手が決めることで本来自分にはどうすることもできないことです。しかしそこをどうしても優先しようとすると、たとえ運よく勝ち組になったとしても常に「焦燥感」や「不安」にさいなまされるメンタルリスクの高い生き方・働き方となるのです。逆に人の評価はどうあれ、自分自身を満足させる生き方・働き方、または無条件に他者に貢献することを優先する生き方・働き方は、たとえ周りから評価されなかったとしても自分自身の中に「幸せ・喜び」が残るのです。他人の評価があろうとなかろうとそれほど傷つかないため、メンタル不調にはならないのです。仕事とは認められて報酬をいただくことで他者評価は必要なのですが、重要なのは順番を間違えないということです。自分を満足させることや他者に貢献することを第一義的に追及していく中で、自分自身の能力や実力が高まり、その結果としてお客様に評価していただき報酬が得られる。こういう仕事観がメンタルに強い社員を育てますし、単にメンタルの問題だけではなく仕事のパフォーマンスをも高めることになるのです。 さて、実は「他者報酬追求型」の生き方・働き方を「自己報酬追求型」の生き方・働き方に変化させようとしたときに、簡単にすぐそう切り替えられる人と、頭では分かってもなかなかできない人、がいます。次回の原稿では、自己報酬追求型の生き方・働き方を実践できる社員を育てるために、経営者として何をすればよいのかということについて書いてみたいと思います。

  • 2020.01.13
  • 実践ヒント

強い社員を育てるには

メンタルケアを実践するには 3

前回の原稿では、周りの評価を気にする「他者報酬追求型」の生き方・働き方が、メンタル不調を作り出す、ということを書きました。仕事の場合、他者に評価していただいて報酬を得るわけですから、他者評価を気にするなと言われると、どういうこと? と思われるかもしれません。お伝えしたいことは、順番を変えましょうということなのです。「自分自身を満たす(自己報酬)」ということをまず最初に繰り返していくと、実力や実績が身に付き、その次に自然とお客様の評価(他者報酬)が得られるようになるのです。この順番を間違えるとどうなるかというと、とにかく今すぐ売り上げがほしい!=すぐに評価されたい!(他者報酬追求) となり、自分自身に実力もないのに無理なことをしてメンタル不調になったり、相手に無理なしわ寄せが行って評価を落とす(その結果、メンタル不調になる)ということになってしまうのです。 トップが「自己報酬追求型」の生き方・働き方に変わることが最も重要 実はすこし深い話をしますと、実は私たちの中に存在する「他者に認められたい」という欲求は非常に根深いものがあるのです。何故かというと結論を言うと、親の影響を大きく受けているからです。たとえば私たちの親の世代の多くは、非常に世間体や他者評価を気にした方々が少なくありませんでした。だからこそ私たちの世代も、受験競争に放り込まれ、人より良い成績、人より良い学校、人より良い会社、人より良い肩書、人よりよい車、人よりよい住居、人より多い年収、などの「他者評価」を求める生き方がある意味、しみついている人が多くいるのです。親が世間体を非常に気にする親だと私たちも、親の顔色を非常に気にして生きるという他者報酬追求型の行動特性が強く習性として根付いてしまうのです。 経営者の中には、売り上げをとことん追求する方がいます。規模拡大をとことん追求する方もいます。これが必要なときもあると思います。しかし、一方で時によってはこれは他者に認められたいという、強い他者承認欲求、裏返せば愛情飢餓感(自分は認められていないという気持ち)から作り出されているため、弊害を生む場合があることも少なくありません。私は今まで数多くの経営者のメンタルセッションを行ってきましたが、経営者自身のものの考え方が親子関係の影響から来ている場合が非常に多いのです。売り上げ拡大・規模拡大がうまくいっていても、経営者自身に「認められたい欲求」が強すぎるとき(認められなかった気持ちの裏返し)、常に焦燥感、不安が強くなり不安定な心理になります。そしてそのストレスは間違いなく、社員に向かうのです。すると社員は間違いなく経営者の顔色を見て仕事をするようになり(他者報酬追求型)、顧客のほうを向かなくなります。メンタル不調者が続発するようになります。社員が自発的に動かないとすると、それは間違いなく経営者が醸し出す雰囲気の影響を受けています。 「経営者自身の心の変化は敏感に社員に伝わります」 私はよく経営者の方にお願いすることがあります。それは「業績を向上させたかったら、親と和解し仲良くてください。それが経営者の心の認められたい欲求を満足させることになり、その結果、経営者の心が安定するのでそれが社員の幸せを向上させ、CSを向上させることにつながるのです」経営者の心の変化は敏感に社員に伝わります。経営者自身が「自分自身の欲求を満たす」ために動いているのか、「周囲の方々の欲求」を満たすために動いているのか。これは如実に雰囲気で伝わります。頭でわかっていてもなかなか実践するのは難しいなとお感じになる方には、私が行っているメンタルトレーニングが「自己変革」のお役にたつと思います。今回は経営者自身に焦点を当てましたが、次回は社員自身が、自己報酬追求型に変わっていけるようになるための方法について書きたいと思います。

  • 2020.01.13
  • 実践ヒント

強い社員を育てる育成法1

メンタルケアを実践するには 4

前回は、経営者自身が他者に認められたいという欲求に突き動かされた「他者報追求型」の生き方・働き方から、他者からの評価どうこうではなく、自分自身を満足させまた社員満足に無条件で貢献する(利他の心)、という「自己報酬追求型」の生き方・働き方にシフトすることが、経営者自身のメンタルを安定させ、社員のメンタル問題を解決し、ひいてはESを向上させCS向上にもつながる方法だという観点からご説明しました。 今回は、社員自身が自助努力によって「自己報酬追求型」生き方・働き方を身に着けていく方法について書いていきます。経営者自身の利他心が向上さえすれば、メンタル不調は減りESは向上しCSが向上すると思われるかもしれませんが、必ずしもそうではありません。なぜなら、いくら経営者が利他の心を注いでも、受け取る側の感受性の問題があるからです。端的に言うと、メンタルが揺らぐ人は揺らぎますし、メンタルダウンする人はします。社員側にも自助努力してもらう必要があるのです。 「他者報酬追求型」社員の特徴、「自己報酬追求型」社員の特徴とは。 他者報酬追求型の生き方・働き方が強くしみついている社員の特徴は次のようなことです。「周りの顔色を気にして発言を控える」「相手に気に入られるかどうかがすべての判断基準となる」「察しを求める、周りへの依存が強くなる」「この状態で利他行動を求められると燃え尽きる」など。この結果、メンタル不調が起きやすくなるのです。これに対して「自己報酬追求型」の生き方・働き方が身についている社員の特徴は次のようなことです。「周りの評価がどうあれ、思ったことは率直に発言し行動することで自分を満足させることができる」「たとえ相手に気に入られなかったとしても必要なときは、自分で判断し発言し行動するので自分を満たすことができる」「相手が察してくれるのを待つのではなく、自立的に行動する」「自分の幸福度が高いので、利他行動が比較的無理なくできる」 自己報酬追求型の生き方・働き方が身についている社員がたくさんいる会社は、とにかく意見交換が活発です。慣例や前例にとらわれないので、アイデアがどんどんわきます。上司に対しても思ったことはどんどん言うので、意思決定が速いのが特徴です。自分が困ったときも、「助けてほしい」「アドバイスがほしい」「相談に乗ってほしい」「いま手が空いていないのでちょっと待ってほしい」などの救援を求めることができる自分なので、メンタル不調にならないのです。また、いざとなったら自分を助けることできる自分であることを知っているので「自分は大丈夫だ」という気持ちが強く、よってチャレンジする意欲が高いのが特徴です。 自己報酬追求型の社員を育てるための3つのトレーニング法とは。 集団研修の形式で行う場合のポイントは3点です。1番目は、「認められたい、愛されたい」という欲求をたっぷり満たす、というトレーニングを行うことです。私達は多くの場合、自分の親にあるがままの自分をたっぷり認められ、愛してもらったという記憶を持っている人は非常少ないのです(本当は誤解なのですが)。親が他者の評価を気にする人であればあるほど、子供を世間的に評価の高い子に育てようとし、その結果、子供は親の顔色を気にして(親に認められようとして)、生きるという他者報酬追求型の行動パターンを身に着けてしまうからです。 「認められたい」欲求を充足させる方法は、弊社が行っている集団メンタルトレーニング法の中から、リスニング法、グループファシリテーション法、癒し法、コーチング法、などを組み合わせて行います。ポイントは、欧米から輸入されてきた様々なコミュニケーション法、メンタルトレーニング法をそのまま使わず工夫を施して活用することです。なぜなら私達日本人は欧米人に比べて傾向としてはっきり自分の感情を表現せず、相手の目に訴えたり、言葉のトーンの強弱を駆使することで相手に「わかってもらおう」とするからです。欧米人は自己表現することは大前提となっているため、欧米で生まれたコミュニケーションスキルはそれを前提としています。しかし、日本人はそれが前提とはなっていないのです。一例として、私たちが「これでよいですか?」と相手に問うて相手が「ハイ」と答えたとします。しかしその声のトーンによっては私たち日本人は、たとえ言葉が「イエス」でも、言い方で「ノー」を言っているということを理解することでしょう。最近はこういうニュアンスをあまり理解しない日本人も増えていることが組織の中でメンタル不調が増えている一因と考えていますが、ここをしっかりキャッチしないと私たち日本人は「認めてもらえた」感じられない人が多いのです。そのため弊社では、筑波大学で30年以上も日本人のパーソナリティ研究を行ってきたうえで作られた日本生まれの独自のコミュニケーションメソッドを使用して集団研修を行います。 次回の原稿では、自己報酬追求型の社員を育てるためのトレーニング法の残り2つの方法について解説します。

  • 2020.01.13
  • 実践ヒント

強い社員を育てる育成法2

メンタルケアを実践するには 5

前回の原稿では、自己報酬追求型の社員を育てるための3つのトレーニング法のうち、1つ目である「認められたい気持ちを充足するトレーニング」について解説しました。今回の原稿では残りの2つの原稿について解説します。 「自分自身を満足させたい気持ちを充足するトレーニング」 2つ目のトレーニング法は、「自分自身を満足させたい気持ちを充足するトレーニング」です。私達は皆、「認められたい」という欲求を持っていますが、それと同時に「他者に認められるかどうかに関係なく、自分自身を満足させたい」という欲求を持っています。たとえば、あなたが今やっている仕事があるとしてもちろん上司に認められたいでしょうし、お客様にも認められたい気持ちがあるでしょう。しかし、そういった他者評価に関係なく「自分自身が納得し満足する仕事を成し遂げたい」という思いもあることでしょう。これがそういう欲求です。この欲求は大きな視点では、「他者にどう思われようと、自分自身が納得し満足する人生を送りたい」という生き方を作り出しますし、もっと具体的な次元では「他者にどう思われようと、自分が思ったことはきちんと表現したい」というコミュニケーションの欲求を作り出します。これは一見わがままし放題の社員を作るように思われるかもしれませんが、そうではありません。前回の原稿で書いた「他者に認めてもらえるトレーニング」をたっぷりやれば、「他者に受け入れられている」実感があるために、他者に不必要に攻撃的になることなく自分の言いたいことをしっかり表現できる人になっていきます。これができると、自分の中に「自分は幸せだなあ。よい生き方をしているなあ」という自己肯定感の気持ちが上昇し、メンタルリスクは低下しパフォーマンスが向上します。 「ストレスの本質を理解するワーク」 3つ目のトレーニング法は、「ストレスの本質を理解するワーク」です。ストレスとは、思い通りにならないことで、それは「自他に期待できないことを期待し続ける」ことから生まれます。私達日本人は、相手に「察しを求める(言わなくてもわかってほしい)」というコミュニケーションをしがちです。

  • 2020.01.13
  • 実践ヒント

社内を活性化するキッカケ創り

社内を活性化するために 1

経営者の代表的な悩みに、社内に活気がない、社員がなんとなく元気がない、常に仕事や時間に追われている、組織間に交流がなく事業の幅が広がらないなどがあります。そのため、社内を活性化させるニーズは多く、検討している企業も少なくないでしょう。社内を活性化させることで、文字通り「会社を元気する」ことができますが、どこから手を付けて良いものか思いあぐんでいるケースも多くみられます。そこで、今回は社内を活性化するために有効な、“キッカケ”創りについて考えていきましょう。 お土産を活用して社内コミュニケーションを活性化 出張に出かけた時や有休をとって帰省したり海外旅行したりした場合に、その社員からお土産が多く集まります。皆さんの会社ではそのお土産をどのようにしていますか。多くの企業では、共有スペースに「〇〇さんからのお土産です。ご自由にどうぞ」と書いてお土産を置くことが多いと思います。私の会社『イベントレンジャーズ』はイベントを企画・運営する会社です。そのため、業務で日本各地の現場を担当することが多く、出張する社員も多数います。当然、年中、どこかのお土産が集まります。それをただ共有スペースに置くだけでなく、出張した社員がどんな仕事で出張に行ったのか、どういう苦労したのか、どんな現場だったかなどのメッセージを一言添えてお土産を置いてもらうようにしました。すると、普段、出張が多くすれ違っている社員の仕事の内容や、どこに苦労しているのかがわかり、そこから社内のコミュニケーションが生まれはじめました。例えば、「あそこに行ったことがあります」「大変そうな現場ですね」といった世間話から始まり、時には「どう対応したのですか」という質問や、逆に「こうすると解決できますよ」などの仕事のヒントも会話されるので、社内のノウハウとして共有できるメリットがありました。また、行ったことがない場所への旅行の相談など、他部署のメンバーと会話のキッカケも増え、社内での会話が増えました。社内コミュニケーションが活性化することにより、次回や他の業務にも活かせる内容の会話が発生して、社内が活性化したことが実感できました。社内を活性化するキッカケは、こんな日常業務の中にある小さなことを工夫するだけでも実現できます。 会社の受付を社員のプレゼンテーションの場として活用 もう一つ、弊社で実践していることを紹介しましょう。それは会社の入口にある受付のディスプレイを社員に任せることです。自分らしさと、自分の会社をどのように表現するかを、担当の社員に任せています。その楽しさは、自分の居場所であるという認識を生み出します。自分の会社であるという認識を高めるだけでなく、自分がどのように会社を捉えているか、自分はどのような会社にしていきたいかを考えるキッカケとなります。また、それを見た社員の間で「あれ、いいね」「どういう意図?」などの会話が発生し、社内コミュニケーションが活性化します。時に、来訪者から「毎回、御社にお伺いするのが楽しみです」とのお褒めのコメントをいただき、担当者にフィードバックすることにより担当者のモチベーションアップにもつながります。それにより、社員間に、担当社員に対する認識や会社に対する考え方などで、新たな発見が生まれてきます。受付の飾り付けを社員の誰かに任せる、たったそれだけで、社内だけでなく外部の取引先との関係も活性化させるキッカケにすることができます。 オフィスの環境つくりも社内を活性化するキッカケとなる オフィスの環境つくりも社内を活性化させるキッカケとして有効です。有名なのは、Yahoo!JAPANでは、机や収納スペースなどの家具を整然と並べるのではなく、わざとジグザグに並べています。これは、社員が自分の席に行く際にジグザグに動くことになり、他の社員と接する機会が増えることを狙っています。最近では、社員一人一人に固定した机を持たせず、ノートパソコンと個人用のロッカーだけ支給して、あとは仕事の内容や気分に応じてどこの席に座っても良いとする、いわゆる“フリーアドレス”を導入する企業も増えています。この狙いも、社内の活性化を図ることに他なりません。 社内を活性化するための施策というと大きなことを考えてしまいがちですが、ちょっとしたキッカケを創り出すだけで、十分、社内が活性化していきます。あなたの会社も小さなキッカケを活用して、社内の活性化を狙ってみてはいかがでしょう。

  • 2020.01.13
  • 実践ヒント

社内に“一体感”をつくる

社内を活性化するために 2

これまで長く経営をされてきた方の中には、社会も会社も大きく成長することを目指して一丸となっていた高度成長時代からバブルがはじけるまで、社内が活気づいていたことを鮮明に覚えている方もいらっしゃるでしょう。あの頃は社内に“一体感”があり、会社といわず社会全体が活気づいていました。それを支えていたのは、多くのモーレツ社員でした。しかし、今どきの社員は、所属意識や連帯感の単位が社会や会社ではなく、ごく親しい仲間や自分という小さな単位で捉えることが多くなっています。社内に“一体感”をつくることで社内が活性化するのは、間違いないのですが、社員の価値観が変わってきた中、どのように対応していけば良いのでしょうか。 社内の“一体感”で生まれる大きな波及効果 まず始めに、そもそも社内に“一体感”があると、どのようなメリットがあるのか考えていきしょう。“一体感”があると、組織やチームの同じ目標に向かって、社員が個々でバラバラに進むのではなく、組織単位、チーム単位で推進していくので、仕事がスムーズに進むのは明白です。同じ目標を持つことができると、途中で行き詰まったり、遅れたりする社員がいれば、進むべき方向が共有されているので、自ずと社員同士の間で助け合いが生まれます。それが同じ部署だけでなく他部署にまたがれば、会社全体で補い合える体制ができあがったといえます。そうなれば、会社としての生産性は飛躍的に上がることでしょう。変化はそこまでにとどまりません。会社のサービスや事業として提供できる仕事の質が高まります。そうすることで、クライアントからの信頼を得ることができ、その会社に企業ブランドが生まれてきます。また、社内には企業風土や企業文化として定着していき、環境が改善され「働きやすい会社」になります。ここまでくると、その会社は社員の家族や友人、協力会社の社員などから「良い会社」として広まり、新入社員をリクルートしやすい環境になります。つまり「働いてみたい会社」としての評判が広まり、自然と良い人材が集まり、良い人材が採りやすくなるわけです。そして、さらに会社としての生産性を上げることができます。これに付随して、企業ブランドが高まり企業文化として社内に蓄積されるノウハウが発生する・・・つまり、プラスの波及効果がどんどん広がっていくのです。 これからの社員に“一体感”をつくるキーワードは「参加」 確かに今どきの社員が持つ会社や仕事に対する考え方は、これまでの価値観とはずいぶんと異なっています。しかし、それは今に始まったことではなく、いつの時代でも世代間のギャップとして取りざたされてきました。そういった時代の流れには逆らえないので、それに合わせた対応が求められ続けています。社員に“一体感”をつくるツールは、昔から工夫されてきました。例えば、いわゆる会社を象徴し仲間であることを示す社章、社封筒、ロゴ入り袋、決起集会や朝礼、社内表彰式などがそうです。 ところで、最近はモノではなくコトを消費する時代。何をどのように行うのかが重要なファクターとなってきます。環境問題という時代的な背景の中から、ロゴ入りの紙袋の代わりに『エコバッグ』が誕生しました。社会に対する企業姿勢を社員に伝えて、共感を産み出すだけでなく、使い捨ているのではなく、使い続けることで愛着を生み出すことにもつながっています。同じ背景の中で、クールビスも誕生してノーネクタイOKの会社も増えました。その応用として登場したのが『カジュアルデー』。これは自由な服装で出社して良い曜日を設定するものですが、個性やファッションを楽しみながら仕事するスタイルを提案しています。これにより社員間のコミュニケーションが増え、社員の個性を尊重して社員同士の相互理解を促すことにも役立っています。2016年に誕生した小池百合子都知事が、都知事選で行ったシンボルカラー戦略。いわゆる「小池グリーン」は、候補者と彼女を応援する観客との間に共通の約束としてネットを通じて徐々に拡がり、選挙戦の盛り上がりをもたらし彼女に多くの得票をもたらしたことは、まだ記憶に新しいことでしょう。それと同じことを社内行事に活用している会社もいます。会社に出社する服装にドレスコードを設ける『カラーデー』の導入がそれです。そのカラーが、コーポレートカラーや商品やサービスのイメージと合致していれば、より会社での“一体感”が醸成できるといえます。その応用として、アパレル業界のある企業では自社商品の浴衣で出社する『浴衣デー』を設けています。この施策では、会社だけでなく自社商品に対する愛着も生まれてきます。 このような共通のルールを設けて、それぞれが工夫して参加するイベントは、消費市場でも大きな影響をもたらしています。昨今、ハロウィンイベントがバレンタインイベントを超えて大きな市場に成長したことでも、その有効さがお分かりだと思います。“一体感”をつくるためには、所属意識を具体的に表すツールだけでなく、自分らしさを演出でき参加する楽しさを創り出す機会を設けることで、会社を「自分の居場所」と認識させ、社員の仲間意識を高めることができます。 時代が変わると、社会の風潮や社員の価値観は変わるものです。その時代での社員の価値観とマッチする“一体感”をつくるキーワードを御社なりの方法で見つけ出して、社内を活性させてください。

  • 2020.01.13
  • 実践ヒント

感謝を伝える仕組みつくり

社内を活性化するために 3

ビジネスといえども、人と人が関わっていくことには変わりありません。そのため、仕事をオファーしてくれた顧客、ビジネスを手伝ってくれた協力会社、事業を行う資金を出してくれた株主など、仕事に関わった全ての人に感謝を伝えることは、関係を維持する意味でとても大切なことです。しかし、社員やその家族、あるいは仲間に対して感謝することを忘れてしまう傾向があります。実は会社として感謝を伝える仕組みを持っている企業ほど、社員の帰属意識が高く、「働き甲斐」を感じているケースが多くみられます。そこで、今回は社内を活性化するために有効な、「感謝を伝える仕組みつくり」について述べていきましょう。 会社から社員やその家族に感謝を伝える 経営のカリスマ、松下幸之助氏には、伝説的に語り継がれる話があります。社内の通路ですれ違った社員一人一人の名前を言って最近の状況を聞いたという話です。感謝の言葉を社員一人一人に伝えることはなかなかできませんが、社員にとっては社長が自分の名前を憶えていてくれるだけでも十分満足できますので、それだけで感謝の意が伝わるといえるでしょう。しかし、社員全員の顔と名前を一致させるのはかなり至難の業です。そのため、他の方法で社員に感謝を伝える方法を考えていきましょう。多くの会社で導入されているのは、創業記念日や新年会、新年度などの社内行事で、社長から社員にむけてのメッセージを発信することです。本当は、社長の直筆で社員一人一人に向けて手紙を送る方が、感謝を伝える意味で良いのですが、なかなかそうもいきません。その場合は、花を贈ってみてはいかがでしょう。ただし、社内行事の際に社員全員に一斉に贈るのでは意味がありません。それより社員の誕生日に、あるいは既婚社員の結婚記念日にと、社員の個人的な記念日にそれぞれ花を贈る方が効果的です。感謝している度合いが個人に向いている分、より多く「自分のために」「自分の家族のために」という印象が強まり、感謝の意が伝わります。つまり、会社が社員や社員の家族に感謝することは、一人一人の個人を認めていること。そうすることで、社員の中に「自分の会社」という意識が高まり、帰属意識が高まります。ある会社では倒産しかけた際、社員が自分たちで何とかしなければと思い立て直した事例もあります。「最後まで辞めずに社員が社長を助ける」それほどまで、社員の想いを強くすることができるのです。それに対して、上からの強制でやらせようとしてきたケースでは、社員がさっさと逃げ出してしまいます。それどころか、某大手家電メーカーでは、上からの予算示達に対して不満を感じた社員が、内部告発して事件が公となり会社が窮地に追い込まれたことを忘れてはいけないのです。 社員から社員へ感謝を伝える会社になる アメリカのある小学校でいじめられっ子の女子生徒が、普段自分をいじめている子も含めてクラス全員に付箋で感謝の言葉を書き、それぞれのロッカーに貼ったという記事が話題になりました。その時から、クラス全員の彼女に対する考え方が変わり、彼女をいじめなくなったという話です。感謝の言葉は人の心を動かす力があります。それを活用することで、より良い環境に変えることができるのです。同様に、社員同士で感謝する仕組みを作り上げている会社もあります。長野県にある美容室チェーン「りんごの木」がそうです。このチェーンでは、前日にあったことで他のメンバーをほめたいこと、讃えたいことを朝礼で発表しています。例えば「トラブルが起きて困っていた時に〇〇さんが助けてくれた」とか「〇〇さんのお客様に対する接客がすばらしかった」とか、ほんの些細なことです。普段何気なく行っている自分の行動の中に、他の社員からほめられ感謝されるほどの良い点があることを知ること、どういうことが感謝されるのかがわかるので、社員自身の技能やノウハウを磨くことにもつながり、日常業務の励みになっています。また、このように互いに認めあい、仲間意識を育むことで、社員は「ここが、自分の居場所」と感じるようになり、互いを仲間として気遣うようになります。それぞれの状況に関心を持つようになり、ますます働きやすい環境となります。そうなると、社員同士の間で、フォローが自然にできるようになり、それが会社の大きな力となっていきます。 感謝を伝えることは難しいものです。まずは、社長から社員へ、社員から社員へ感謝を伝える仕組みを取り込めないか考えてみてはいかがでしょう。

  • 2020.01.13
  • 実践ヒント

社内を活性化できるイベント

社内を活性化するために 4

社内を活性化することで、会社と社員、そして社員同士が相互理解をし、業務にあたるようになってきます。そして社員の「帰属意識」が芽生え、目標に向かって一丸となって進んでいく組織になることは、前回まででお伝えしてきました。その上で、社内イベントを行うことにより、さらに強固な関係が構築され、働きがいのある会社になっていきます。今回は、社内を活性化できるイベントの事例をご紹介しましょう。 ① 社員の自主性を促す、社員限定でのイベント 既に多くの企業で実施されているものイベントに、「社員総会」「キックオフイベント」と呼ばれるものがあります。これは、期の変わり目に前年の振り返りを行い、会社からのメッセージを発信し、理念訴求を行い、横断的なコミュニケーションを促すことを目的にしています。その会社としての目的が達成されると、社員の意識が変わってきます。それは、社員が会社理解をした結果、自分の会社として認識して、働きがいを見出すことになります。社員がこのような想いになる会社は、社員一人一人が自主的に自分の仕事をするようになり、その結果、業績が上がっています。エンターテイメント作業の会社では、BBQ大会やボーリング大会など、年間30本以上の社内イベントを開催されています。社員の自主性に任せ運営していくことで、責任感がまし、個人が成長し、日々の業務でお客様へ最高の笑顔で仕事をするようになるそうです。社員の自主性、企業が成長していく上で大切なポイントのようです。 ②自社のファンづくり、家族参加型イベント 中小小企業にとって、従業員が長く働いてくれることは、これからの企業経営において最も重要なキーワードではないでしょうか?そのためには、社員に愛されるだけでなく、その家族や地域の方々にも愛される企業にならなくてはなりません。家族や地域に愛される会社になることにより、社員が働きやすい環境が作られ、会社への誇り、ついては自分の会社という想いがうまれてきます。昨今、「社内運動会」などの家族参加型のイベントが増えています。「社内運動会」が開催される経緯はまちまちですが、創立〇〇周年という節目のときやこれからの企業経営を考えていく中で、社員からの提案で行うことにしたという企業が増えています。また、「健康経営」が叫ばれる中、労働組合や健康組合主導で開催されるケースも見られます。「社内運動会」を実施する企業の目的は、普段接することのない社員同士の交流や社員の一致団結などが基本ですが、「経営からの社員への感謝」「健康促進」というキーワードも増えてきました。社員だけでなく、家族参加とすることで、家族の両親への仕事理解や働く会社の理解に繋がります。家族に認められ、家族がファンになる会社になることで、社員に会社への誇りが生まれてくるのです。一方、社長をはじめとした役員も積極的に参加することにより、絆を深めることができています。例えば、競技とは別に昼休みに社長と一緒にジョギングしてみたり、役員参加の仮装での障害物競争があったりと、社員との距離を縮める効果をもたらしているようです。普段の仕事では見られない上司の表情なども、親近感をうみ、絆を深めているようですね。 ③地域や社会とのつながり、社会貢献型イベント 企業が活動していく上で、地域や社会とのつながりも大切な要素の一つです。企業のCSR活動というと、ピンとくる方も多いのではないでしょうか?では、地域や社会に貢献する社内イベントにはどのようなものがあるのでしょうか?最も身近なものは、地域のイベントやお祭りへの社員のボランティアスタッフとしての参加ではないでしょうか?地域の方々と触れ合い、つながりを大切にすることで、ともに地域の発展を考え、信頼関係を作っています。また、工場を持つ製造業の会社では、年に一回工場を開放し、地域の皆様をはじめとした多くの皆様に感謝の気持ちを伝えるイベントを開催する企業もあります。人本経営を実践されている「伊那食品工業」でも、社員による手作りのイベントでおもてなしされています。企業が成長していく上で、短期的な損得勘定で動くのではなく、社員だけでなく、その家族や地域・社会とのかかわりを考えていくことが、最も大切なのではないでしょうか?

  • 2020.01.13
  • 実践ヒント

メンタル対策のスタートとは

生産性を向上させるメンタル対策 1

1)「ストレス」は誤解されている 「仕事上のストレス」・・・。あなたはこの言葉を読むと、どんなイメージを持ちますか?「つらい」「しんどい」「大変そう」「うつ」「メンタルダウン」・・・。こんなイメージを持つ人が多いのではないでしょうか?私たちは仕事上ではストレスという言葉を、何となく悪いもの、というイメージで使っているのでないでしょうか。2016年12月から50人以上の事業所ではストレスチェックを実施することが義務付けられました。高ストレスと診断結果が出た方が自ら手を挙げれば、医師面談を受けられるというシステムです。しかし、私が見たところ積極的に手を挙げて医師面談を受ける人は、ほとんどいないというのが印象です。弊社とお付き合いいいただいている企業では、社員数が2000人、または3000人いても医師面談を申し込んだ人は0人です。これはなぜでしょうか?結論を言うと「高ストレスとは、とても悪いもの」で、医師面談を受けると「あなたは悪い=病気だ」と言われると連想するからだと思います。医師面談を希望するとなると、わざわざ「自分は病気だ」と周囲に公表するようなもので、企業の中ではこの印象はデメリット以外の何物でもないと思うのは当然のことでしょう。 2)ストレスを正しく理解する重要性 しかし、ストレスとは本当に「悪いもの」なのでしょうか。結論から言うと、ストレスとは扱い方によっては「必ずしも悪いものではなく、人を成長させ、組織の生産性を向上させるもの」なのです。すこし前の話ですが、全日本女子アイスホッケーチーム「スマイルジャパン」が、ピョンチャンオリンピックの出場権を勝ち取ったというニュースがメディアで大々的に報道されました。ご覧になった方も多いと思います。このチームでメンタルトレーニングを担当された山家正尚メンタルトレーナーは、私と親しくお付き合いいただいている方ですが、山家氏は次のようなことを語っておられます。「あらゆる困難を想定して、事前にイメージの中で備えると、実践で対処できる」スマイルジャパンがオリンピック出場権を獲得するまでの道のりで、どれだけストレスがかかったことかは想像に難くないでしょう。ストレスチェックをやれば、間違いなく全員の選手が「高ストレス」と認定されるはずです。しかし、高ストレスだからと言ってトレーナーや監督が「すぐ医者に行け」などと言うでしょうか?言いません。なぜならスポーツの世界では、ストレスとは「自分の成長とチームの勝利のためには必要なもの」と認識されているからです。では、ビジネスの世界ではどうでしょうか?今回義務化されたストレスチェックで「高ストレス」と判定されると、経営者、そしてメンタル担当者、そして当事者などが「悪いもの」「医者に行かなければならないもの」とイメージしてしまうということはないでしょうか?ストレスの捉え方が完全に偏っています。企業にもそれぞれの目標があります。そして経営者をはじめ社員はその目標に向かって日々、努力しています。目標達成には「ストレス」かかるものなのです。本来悪いものであるはずがないのです。扱い方を知らずに放っておくと悪くなりますが、正しく扱うとストレスは、ヒトを成長させ、組織の生産性を向上させるもの、なのです。弊社がかかわっている企業では、メンタル問題を適切に扱うことで企業によっては、売り上げが向上し、大幅なコストダウンが達成され、時短、働き方改革が成功し、従業員満足が向上する、などの成功事例がたくさん出ています。しかし、そのためには経営者や上司に「ストレスを適切に扱う手腕」が必須です。次回の原稿では、ストレスとは簡単に良いものに変えられるのだということを知っていただくために、私が企業で使っている数あるメンタル改善テクニックの中から、最も初歩的なものをひとつだけご紹介してみたいと思います。

  • 2020.01.13
  • 実践ヒント

ストレスで生産性を向上させる

生産性を向上させるメンタル対策 2

1)ストレスには法則性がある 弊社顧問で、筑波大学名誉教授でありストレス科学者である宗像恒次博士は、ストレスについて次のような法則性を発見しています。 ストレス=f(D.P.S)定義・宗像恒次 D=Demand(要求)P=Predictability(見通し)S=Support(支援) ストレスとは、要求、見通し、支援の3つの要素で構成されており、これらの3つの要素がどの程度あるかによって、ストレスは悪いものにもなるし良いものにもなるというものです。たとえば、仕事とは必ず求められるものがあります。これがDです。そしてそれに対して「見通しを持てているか(P)」、支援者を持てているか(S)によって、そのストレスの意味合いが変わるということです。例を挙げると、D↑P↓S↓の時、このストレスは悪いものになります。やったことにない仕事を命じられ(高いD)、見通しが持てず途方に暮れ(Pがない)、しかも応援者は誰もいない(Sがない)状態であれば、誰もが逃げたくなります。メンタルダウンとは、このような心理状態が長引くことで引き起こされるのです。一方、D↑P↑S↑の場合はどうでしょうか。やったことのない仕事を命じられるが(高いD)、前任者が残した詳細な実施マニュアルがあり(Pがある)、しかも上司が細かく相談に乗ってくれる(Sがある)としたら、それだったら頑張ってみよう!と思いませんか?どうでしょうか。ストレスとは扱い方によっては、その人を成長させる方向に向かわせる良いものになるという意味が伝わったでしょうか。 2)成長課題に直面していると見る 私は医療を否定しているわけではありません。先ほど説明したようにD↑P↓S↓の状態にあって、不幸にして本人も長い間途方暮れ、周囲も長期間ほったらかしの状態にしておくと、そのうち夜が眠れなくなり起き上がれなくなったり本当に体調がおかしくなるでしょう。その場合は、お医者さんに行くことが大事です。しかし、D↑P↓S↓の高ストレス状態に陥ったからと言って、すぐにお医者さんに行け、などと促すような風潮が今のストレスチェックにはありますが、これは明らかに行き過ぎです。その人の「成長の機会」を奪ってしまうからです。これでは企業の中で、スマイルジャパンのメンバーのように物事に挑戦していく人材などいなくなってしまうでしょう。経営者はこういうことを望んではいないと思います。その人が成長のための「課題」に直面していると捉えるのがストレスに対する正しい向き合い方です。そしてその人の能力をよく見て「高すぎる要求」、逆に「低すぎる要求」を適正化し、要求に対する「適切な見通し」を与え、「十分な支援」を与える、ということが重要です。つまり、こういう仕事があるからやれ!と人を一律なものと見て部下に指示していたのが今までの仕事のやり方でしたが、そうではなく、人の個性差、能力差をよく見てそれに合わせて導いていく、という「ヒト」主体のマネジメントをしていくことが重要で、だからこそストレスをモティベーションに変えられ、従業員満足が向上し、生産性が向上し、働き方が変わり、売り上げが向上し、時短が実現するのです。ストレス、メンタル対策をとりながら、同時に企業に経済効果を与えていく事ができるのです。