社員満足を上げ、働きがいのある会社へ「元気な会社をつくるプロジェクト」

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件数:92件
  • 2020.01.13
  • 実践ヒント

事例d:記念イベント

会社を元気にする周年事業 6

多くの企業で行われる周年事業の1つに、記念イベントがあります。タイミングが周年という“シバリ”があるだけで、実施目的や参加対象、内容、実施スタイルなど、企業によって異なります。そこで、弊社では社員有志を対象に、稲刈りを記念イベントとして実施して、そこで収穫されたコメを社員やパートナーに配布したいと考えています。 記念イベントのテーマにはこだわりたい せっかく記念イベントを行うのであれば、単なる打ち上げ花火的にイベントを開催するだけでなく、参加者の心に何らかの印象が残る内容にしたいものです。インパクトも重要ですが、その企業の周年事業にふさわしいテーマであることがポイントとなります。例えば、業務領域の延長であったり、事業の原点であったり、これまであるいは今後、会社のウリにしたいことであったり、テーマへの“こだわり”はさまざま考えられるはずです。弊社では、毎年、地域活性イベントを業務として行っており、地域特産品をお年賀に活用しています。直近では、昨年のぬれせんべい、今年はお米を配布した実績があります。また、このプロジェクトのベンチマークで紹介された株式会社リラクでも、社員に米を送ることを福利厚生として行っていることを知り、社員を大切にする企業姿勢を打ち出す方法で主食を贈ることもありだと気づきました。そのため、周年事業の記念イベントとして、弊社では稲作をイベント化することにしました。 周年事業だからこそ準備期間は長く持てる 実はそのために、今年から山梨県北杜市の農家と契約して、準備を進めてきました。10月に稲刈りを記念イベントにするために、4月の種づくり、5月に田植え、6月には草取りを行いました。まだ、その段階では記念イベントに確定していなかったので、社長の私と家族、そして関係者有志のみで準備を行ってきました。なお、記念イベントとして10月に収穫を行う際には、社員やその家族などに参加してもらうことを想定しています。確かに、これまでの準備期間の農作業だけでも手間は大変でした。だからこそ、農業の大変さや大切さが実感でき、成果である作物を得るためには大変な努力が必要だと学ぶことができました。だからこそ、社員やその家族とも共有したいと考えています。稲刈りだけでなく田植えも良い経験になるので、2回のタイミングで記念イベントとして成立したかもしれません。いずれにしても作業をみんなで行うことで、チームワークがとれ連帯感がうまれるのではないかと期待しています。このように、周年事業であれば前もって準備する期間を設けることができます。そして、その準備期間で、記念イベントとしてふさわしい内容かもチェックすることができます。時間と手間がかかりますが、じっくり記念イベントを計画していくことも重要だと考えています。 記念イベントを機に新たなビジネスも検討できる さらに、最近、『ヘルスツーリズム』という考え方が、新しい旅行の形態として注目を集め始めています。実際、2017年度からは政府主導の認証制度もスタートしました。自然・温泉・食材が豊かな地域にとって、『ヘルスツーリズム』は国内外から観光客を集めるための有効な手段として期待されています。そのため、日本各地で行われる『ヘルスツーリズム』は、ウォーキングやヨガ、メンタルヘルス対策など種類はさまざまです。地域固有の資源を活用して「観光」と「健康」を結び付けたプログラムが全国各地に登場しています。実は、農作業、農作物(食品)、空気・日差し、田園風景などを活用して、「いやし」と「健康」で生活を見つめなおす『ヘルスツーリズム』を、弊社の新たな事業として検討しています。そのため、現在進めている稲刈りを記念イベントにすることは、新たな事業のテストランだと捉えることもできます。事業化するためにまず、社員の有志とその家族に参加してもらい、その反応を見ながら今後の進め方を検討したいと考えています。そして最終的に、それが弊社の新しいビジネスとして構築できたらと目論んでいます。このように、記念イベントを戦略的に位置づけて、検討・実施することもできます。弊社はイベント会社だからそういう考え方ができるわけではありません。イベント業界に限らず、新たなビジネスの方向をイベントのテーマとして設定することは可能だといえるでしょう。そうすると、「日頃の感謝を示すための楽しいイベント」だけではなく、「次に会社が進むべき方向」を、社員やクライアントなどにアピールできるメリットが生まれることでしょう。あなたの会社でも、記念イベントのテーマにこだわり、戦略的に検討して、新しい会社の一面を社員やクライアントにアピールしてみてはいかがでしょうか。

  • 2020.01.13
  • 実践ヒント

人本経営の実践で実現する

成功する働き方改革 1

働き方改革が社会的関心ごととしてクローズアップされてきています。仕事と子育てを両立していくためや、介護など高齢化社会の進展に伴う家庭環境の変化に対応できるような、職場環境を改善していくための経営人事面の制度づくりが注目されています。わかりやすいので取っ掛かりは「制度」設計から入ることでかまわないでしょう。しかし、最先端の育児休業制度を導入したとしても、最も大切なことは、その制度が目的通りに機能していくかどうかということになります。せっかく制度が出来ても、いざそれを活用しようと申請したら、周りの社員から白い目で見られる、上司から愚痴をいわれるといった職場では、なんら働き方が改革されていないことと同じです。制度を機能させるために不可欠なもの、それは信頼に基づいた相互理解のある風土、企業文化です。働き方改革に成功していくためには、社風をよくしていくことです。では、どうすれば社風をよくしていくことができるのでしょうか。 さらば「忙しい」 育児休業を取ろうとする社員に対する白眼視がどこから来るかといえば、この「忙しい」職場で労働力が抜けてしまうから、ということになります。ですから、常態的に「忙しい」と感じない職場にすることを考えていきましょう。文字通り、心を亡くすので、心に余裕がなくなり、人のことなど構っていられなくなってしまいます。毎日定時に帰ることができる職場なら、多くの社員は「忙しい」と感じなくなるに違いありません。働き方改革で「長時間労働の是正」が真っ先にテーマ性を持つのはこのためです。残業ゼロはいきなり無理だとしても、月間20時間までと目標を設定しましょう。「そんなことをしたら売上が落ちて、経営が成り立たなくなる」と反論が出そうです。本当でしょうか。残業時間を削減したら、確かに「売上」は減少するかもしれません。しかし、経営をゴーイングコンサーンさせていくのは「利益」です。ここに注目すべき調査結果があります。日経キャリアNET「わが社の働き方データ」(約600社)によれば、「月平均残業時間」と「売上高利益率」をクロス集計した結果、残業時間と売上高利益率には相関がないという報告がされています。※「人事のための時短推進説得マニュアル」3ページ目参照つまり、残業が多ければ多いほど利益率が高くなるとは言えないのです。過去3年間の平均利益率を月残業20時間で実現していくというのは現実味がなさそうでしょうか。よく考えれば、割増賃金の支払いは無くなりますし、適切な労働時間で就労していくことで、社員の健康状態に好影響を及ぼし、やりがいや働きがいを増進させていく効果も期待出来そうです。時短をして、その結果として過去の平均利益率を超える成果が得られたなら、賞与として還元するとしたら、社員の納得感も得られることでしょう。人手不足状況が蔓延している中、せっかく採用した新人が定着せず、離職を繰り返しているような職場であれば、もう残業削減による時短を決断すべき段階にあると考えます。 ノー残業デーは疑問 時短を進めていく際に、「ノー残業デー」を設定していく事例を散見しますが、これには同調できません。一日単位で労働時間を考えていっても、体制的に及ぶ効果はわずかなものだからです。そして、効率よく仕事をしていこうという習慣づけにもならないでしょう。組織全体として、月間20時間の残業で業務を回していくためには、どういう体制なら実現可能であるかを考えて、実行計画を立てていくのです。場合によっては、取引を停止する顧客も出てくるかもしれません。しかし、いい機会にもなるはずです。薄利の取引で社員に労働負荷をかけることを余儀なくされていた取引先を整理出来るきっかけになるかもしれないのです。そして、それを実行したら、確実に残業時間の削減と収益性の改善が図られていくことになります。このように人本主義的に働き方改革を進めていくことが肝要です。気がつくと、いい社風が流れる会社になっていた、という展開をめざしましょう。

  • 2020.01.13
  • 実践ヒント

長時間労働の是正

成功する働き方改革 2

働き方改革についての議論が活発です。何のために、今、「働き方改革」なのでしょうか。この原点を忘れてしてしまうと、企業経営がおかしな方向に行きかねない危険性があるので要注意です。こんな記事が配信されていました。※livedoor NEWS『「残業厳禁」を1年間続けた結果「他人の仕事を手伝わなくなった」』その会社では、「サービス残業・休日出勤・持ち帰り残業も厳禁」というルールが1年前から導入されたそうです。1年経って職場に3つの変化が起きたと報告されています。 「『余計な仕事」』をしなくなる、命令できなくなる」 「ボトムアップからトップダウンになる」 「会議・ミーティングが減る」 対話の量が減り、現場の声が届きにくくなり、将来の種まきがなされなくなってしまったということです。これは最悪です。「働き方改革」によって職場の健全性が向上し、持続可能性が高まらないのであれば、本末転倒の結果といえるでしょう。この会社では、残業厳禁となっても仕事量は変わらず、かつ増員配置もされなかったとのことです。そのため「仕事の量は変わらないし、締め切りも変わらない。だから、皆『余計な仕事』を減らすようになる」「余計な時間の仕事は全て悪なのだから、時間のかからないように仕事をしなければいけないし、そのように命令しなければいけない」と思考して、それに応じた行動をしていったと報告されています。 長時間労働の是正には、業務量調整が必須事項 残業時間と利益率の相関関係はありません。ですから、目標としている時間短縮をして、現状の利益率を確保するための業務量の調整は必ず検討しておくことが必要でしょう。長時間労働となっている原因を明らかにしないで時短に走ると、この事例のような現象が出かねません。原因分析のポイントは以下のとおりです。 対顧客 利益貢献の低い顧客に社内の労働時間が割かれていないか クレーム処理の時間が多すぎないか 社内体制 非効率的な仕事の進め方が恒常化していないか 人員配置の適正性はどうか 相互信頼のある組織風土は育っているのか 時短の前に、これらの課題について、現場の意見をふまえて、しっかりとした議論を重ねていくことが求められます。 社員が納得した状態で改革を進めることが肝要 現状分析をしたうえで、必要な対策を講じて時短を実施しないと、社員の納得感は当然得られないでしょう。例えば、顧客との取引内容の見直しや、場合によっては解除の検討、あるいは配置換えや新規採用といった人事面での改善も必要になるかもしれません。こうした事前の全うな努力が、会社に対する信頼を増進させるきっかけになることも確かでしょう。「働き方改革」によって社員のモチベーションが上がるのでなければ、その施策は失敗といえるのです。上記の事例では、いきなり残業ゼロにする前に、段階的に時短していく方法もあったかもしれません。何にしてもそうでしょうが、バランスを欠いては物事は長続きしません。人本経営を志そうと決めたある会社の経営者は、まだ週休2日もなっておらず、土曜日は不定休という現状で、とても月の残業時間を減らすのは無理だと感じました。しかし、出来ることからということで「第一土曜日は固定休日とする」と決めたそうです。それだけのことでも、社員が明らかに喜んでいるのがわかったと感じたそうです。それでいいのです。少しずつ社員が喜ぶ方向へ「働き方改革」を進めていくことが大事です。それを繰り返していくうち、「お互い様」という大切な風土が培われていくのです。

  • 2020.01.13
  • 実践ヒント

同一労働同一賃金

成功する働き方改革 3

働き方改革の議論では「同一労働同一賃金」のテーマが必ず出てきます。今週は「人本主義的に考えるとこれについてはどういう道筋が考えられるか」を考察します。540回超の人本経営実践企業視察で、このテーマについて「いい会社」といわれている企業での法則的特長があるかと聞かれれば、「はい」ということになります。以前、経済産業局からの委嘱で行った調査*1において、経常利益率が継続して好調な会社と赤字基調の会社では、前者の方が「正社員比率が90%以上である」と回答した企業が30ポイントも多かったという結果が得られています。 *1 http://www.shikoku.meti.go.jp/soshiki/skh_a3/9_info/company/pdf/research/shinan_research_all.pdf この調査では、伊那食品工業など誰がみても優良企業だと評価されている全国20社に赴き、ヒアリングによってこの法則性を確認しました。20社のうち、正社員比率90%以上という結果であったのは7社、35%にとどまりましたが、正社員比率75%以上でみると13社、90%の企業が該当していました。調査に応じていただいた未来工業では、800名近い全従業員を正社員で雇用していました。同社は社員のやる気を一番に考える経営を行っていることで知られていますが、この雇用方針にもそれが反映されているのです。正社員と同じ仕事をしているのにもかかわらず、パートという雇用形態だからという理由で差があってはやる気にならないだろう、ということで正社員雇用にこだわっているとのことでした。他にも、西島、昭和測器も同様に正社員比率100%という結果でした。 同一労働同一賃金の課題解決の道筋は正社員比率を高めていくこと パート労働者の賃金格差をなくすという発想ではなくて、そもそも経営する以上、正社員として遇して雇用できる体制を「いい会社」は図っているという一つの結論に達します。「働き方改革」の大前提は、社員のモチベーションを高めていく結果が得られること、と前号で指摘しました。不安定なパートタイム雇用ではなく、正社員雇用された方が、雇われる側の安心感が断然違うことは明白でしょう。もちろん、パートで働くことを希望しているのであれば、その身分で雇用していくことは妨げません。その場合でも、1時間当たりの賃金は同様の仕事をしている正社員の1時間単価に合わせることです。もっとも未来工業では、パート雇用を望むのは短時間で働きたいという理由だから、労働時間を短縮して対応し、全員正社員のままでの雇用を実現しています。これは究極の姿で、目標にはしたいのですが、なかなか簡単ではありません。しかし、対応し始めているという事例が報告され始めています。『強い会社作る働き方革命 3つの破壊が始まった』*2とのタイトルで配信された日経の記事はとても興味深いものがありました。 *2 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO08262800S6A011C1000000/※要登録 2014年9月から社員の7割を占めていたパート・アルバイトを全て正社員化し、週に「12~24時間」「25~38時間」「39時間」の3つの働き方を設けたイケアの事例が紹介されていました。半年や1年単位で更新されていた契約を無期契約にもして、同じ職種であれば同じ賃金の幅の中に収まるようにしたそうです。処遇改善された社員からは「ずっとイケアにいられるし、モチベーションが上がった。どんどん業務知識を深めていきたいです。」との声が届き、結果として離職率が半減したのに加えて、他社で正社員として働いている優秀な人が応募してくるケースも増えているというのです。これは素晴らしいです。正社員比率を高めていく方向に「働き方改革」を実行して、人本チックな社風が形成されてきているということが紙面から伝わってきます。 賃金はコストではなく、持続可能性を高めるための投資 記事では、ほかにも「常に他社を上回る給与と福利厚生を提供する」として、首都圏でも地方でも全国一律で最低時給1150円で求人している小売業コストコの事例や、「スマート社員」という新たな正社員制度の運用を開始したりそな銀行の取り組みが紹介されています。「非正規社員を使う理由のトップは『賃金の節約』だった。だが、人を『コスト』として扱う近視眼的な発想から抜け出しフェアに扱えば、個人の生産性は大きく高まる。それは、企業自体の生産性や競争力が高まることと同義なのだ。イケア、コストコ、りそなの事例はそれを示している。」と記事は締めくくっていますが、そのとおりだと感じます。短期的な視点ではなく長期的に考えて「働き方改革」をとらえていくことが何より重要で、それにより職場が人本主義的に成長していくという結果が得られることを先進事例が示し始めています。とてもいい兆候であると感じます。

  • 2020.01.13
  • 実践ヒント

病気の治療、そして子育て・介護と仕事の両立1

成功する働き方改革 4

業績軸の経営では、ステークホルダーとしての認識すらなかった「社員の家族」。労働者はモーレツ社員、企業戦士、もっともひどい言われ方として社畜と称されていました。家庭の事情で仕事を調整するなど想定外という風潮がまかり通っていました。労働者の側も「そんなものだろう」という感覚が強かったことでしょう。長時間労働が蔓延し、家庭生活がおろそかになった結果、少子化社会が進んだというのは言い過ぎでしょうか。「病気の治療、そして子育て・介護と仕事の両立」――このテーマに沿って働き方改革を考えていく際に人本主義的社風を一気に職場に吹かすチャンスがあります。 制度を主役にしない。お互いさまの風土が絶対に必要 ダイバーシティ企業100選などの公的な顕彰事業も徐々に注目されるようになり、企業の関心が高まっているテーマですが、入り口で間違えてはなりません。例えば、法律以上の先端をいく育児休業制度を導入したとしても、それを活かせる風土がないと必ず宝の持ち腐れになり、機能不全を起こしていきます。休業対象の社員が制度を活用しようとした時に、上司や他の社員から『いい御身分だ』と白眼視されるような職場では制度設定の目的が達成できず、よけいに働きにくくなってしまう危険性があるのです。まず、しっかりとトップやリーダーが、「わが社は仕事の都合より家庭の事情を優先してかまわない」と明言していくことが求められます。どうすれば、子育てをしながら、あるいはこれから激増してくるであろう親の介護が必要になった社員がそれをしながら働き続けることができるか、社員に考えてもらい意見集約をしていくことが肝要です。「次は自分の番になるかもしれない、だからお互いさま」の精神で社内体制を整えていくことが、本テーマでの人本主義的働き方改革の実践となります。 当事者の社員から両立できるアイデアを吸い上げる 高知県のファースト・コラボレーションでは、それまでの体験から、社風をよくするためには職場の中心で女性社員が活躍してくれることが重要だと認識しました。そして、女性社員の採用・活用に積極的になり、2006年に『働くママさん計画』を打ち立てました。「こうしてくれたら子育てをしながら仕事が続けられる」という社員からの意見を吸い上げていったのです。その結果、現在は以下のような対応をしています。 勤務時間、勤務日、勤務日数は本人の自由 勤務店舗は自宅、実家、保育所の場所などにより相談のうえ決定 社内に授乳コーナーの設置   残業、会議免除   親子出社OK   子守り依頼OK お昼寝奨励   外出、早退、欠勤自由(病院、お迎え、買い物など)   子供最優先 休業中も会社の情報共有の配慮 とても行き届いた配慮がされています。こんなに権利を与えて大丈夫なのかと感じられるかもしれませんが、行使する当事者の社員はそれを権利だと捉えず、必要な時にその程度に応じて活用しています。実際に子育て中の社員からは男女問わず「子供がいる者として大変助かっている。」と喜ばれ、独身の社員からは「子育てママさんの方々は申し訳ないという気持ちもあるかと思いますが、それほど申し訳なく感じる必要はないと思います。」「私自身も活用する日が来れば嬉しい。」という声が届いています。家庭が円満になることで幸せが増大され、仕事に心から打ち込むことができるという好循環が生まれるということを、同社の事例は教えてくれています。こうしたサポート体制を、家族の介護が必要になった時にもどうすれば仕事と両立できるのか、社員からアイデアを出してもらい実現していくことで確実に「うちの会社は思いやりがある」と愛着が深まり、一段と社風がよくなっていくことでしょう。

  • 2020.01.13
  • 実践ヒント

病気の治療、そして子育て・介護と仕事の両立2

成功する働き方改革 5

今回のテーマは「介護と仕事の両立」を取り上げていきます。わが国で現実化している超高齢化社会の到来によって、いずれの企業も避けがたくなっていくのが、家族の介護が必要となった社員がこれから急増していく、ということです。2025年には、年齢構成上最も人口の多い団塊世代(約800万人)が、すべて後期高齢者(75歳以上)になります。その結果、国民の5人に1人が75歳以上、3人に1人が65歳以上という超高齢化社会に突入していきます。2016年の時点では、要支援もしくは要介護認定者数は625万人と発表されています。この数はこの10年で130%を超える伸長となります。現状の人口ピラミッドの変化予測からすると、今後10年で軽く認定者数は倍増することになるでしょう。つまり、人口比で10%を超える国民が要支援もしくは要介護認定者という事態になります。10人に1人ですから、自社にも必ず介護が必要な社員が発生してくるのは必至です。育児と仕事の両立ということでは主に30歳代前後の女性労働者マターでしたが、介護は主に50歳代の男性労働者に関わってくることが想定されます。働き盛りの、企業内で中核的人材となっている層に関連する課題として発生するのです。そして、育児のときは自分でコントロールが可能でしたが、介護は突然、その日が訪れてきます。 介護と仕事を両立させる企業がホンモノとなる ワークライフバランスという言葉はよく用いられるようになりましたが、これからは介護と仕事を両立させる取り組みに成功してこそ、「うちは出来ている」と宣言できることになるでしょう。家族に介護が必要となったのに、会社から十分なサポートが得られず、介護離職者を発生させてしまうような事態になっていくようでは、さらに人手不足が深刻化し、衰退を招いてしまうことでしょう。 介護についての企業内の理解を深める。特に経営者の理解は必須。 社員が相談できる窓口や体制が必要 専門家との協働が必要 人本主義的働き方改革の実現 介護と仕事の両立に向けての対策の柱は上記のような事項となるでしょう。子育てと違い先が見えない介護では、社員は将来についてとても不安を抱き、心身ともに疲労を抱えていくことになります。そんな中で、会社側の理解があると本人にとってどれだけ助かることになるのか、経営陣を始め総務セクション、そして現場の上司、同僚、後輩の理解をどれほど示せるかが極めて重要です。社員に対して介護についての啓発や情報提供を十分に行い、他人ごとではないという認識を深めていきます。そして、家族の介護が必要になった時には、一人で悩まず会社に相談できる体制があることが望まれます。介護の必要な状態も様々ですから、介護の専門家との連携も必要となってくるでしょう。専門知識のあるスタッフを直接雇用できるのがベストでしょうが、それが叶わないとしても、信頼できる外部の専門家を選定し、その時のための準備を事前に始めておきたいところです。働き方改革と人本主義については、これまでも触れてきましたが、この介護と仕事の両立に成功するための人本主義的な対応が不可欠な要素となってきそうです。社員の家族に対する関心度、何でも言える環境、変則的な就労を余儀なくされることへの理解、介護という負担を抱えながらモチベーションをキープして働いていてもらうためのサポートなど、人本主義的でないと対応できないことばかりになるからです。常用労働者の介護休業の取得率はわずかに0.06%(平成27年度雇用均等基本調査)とこれからの課題ですが、一気に人本主義が企業に根差す好機ともいえるのです。

  • 2020.01.13
  • 実践ヒント

科学の視点で見たうつ対策

経営者のための『うつ社員』再戦力化法 1

現在、うつ、メンタル不調の原因はよくわからないとされていることが多いのではないかと思います。お医者さんによっては診断名が異なったり、なぜ、うつになったのか、いつになったら復職できるのか、についてもなかなか具体的な回答が得られないというお悩みをお持ちの経営者も多いのではないでしょうか。しかし近年、脳科学、遺伝学、など、うつを引き起こすストレスを科学的な視点で解明しようとする研究分野がひらけてきたこともあり、従来とは異なる視点でうつの原因を解明し対策を立てる方法が生まれ出てきました。NHKは2013年10月20日には「病の起源 うつ病」、2016年6月18日,19日には「キラーストレス」というスペシャル番組が放送されていますが、どちらの番組でも脳科学の視点を交えて新しい「うつ対策」を紹介しています。これらの番組は多くの方々に視聴されましたので、うつやメンタル不調に対して科学の視点から新しい対策法が生み出されていることを実感された方も多いことでしょう。今回は、そうした研究の中でも最先端であり、同時に厚労省のメンタルヘルスHP「こころの耳」ではすでに紹介されているもので(こころの耳では、ヘルスカウンセラーと紹介されている)、弊社顧問、筑波大学名誉教授・宗像恒次博士が開発した独自の心理療法理論に基づき解説してみたいと思います。ちなみに私は、宗像博士の下でこの心理療法を約20年間学び、さまざまな企業向けに実践してまいりました。実績として某上場企業では、この手法を活用していただき初回うつ休職者の再発率が3年半0%と言う結果に貢献しております。

  • 2020.01.13
  • 実践ヒント

うつになる人の性格とは

経営者のための『うつ社員』再戦力化法 2

うつ、メンタル不調は周りの目を気にしすぎるという性格の人がなります。簡単に言うと、周りの人々の顔色に敏感すぎるのです。神経質すぎるのです。私もかつてはそうだったので、良くわかります。一般的には、うつ、メンタル不調は「過重労働」「パワハラ」「人間関係」でなるものだと思っている方が非常に多いと感じますが、これらは一要因ではありますが根本的な原因ではありません。それが証拠に、いくら業務がきつくても、パワハラを受けても、人間関係がひどくても、うつやメンタル不調にならない人はならないのです。要は本人の性格の繊細さの度合いによってなるのです。これは弊社顧問である、筑波大学名誉教授・宗像恒次博士の研究が明らかになっています。「過重労働」「パワハラ」「嫌な人間関係」はないに越したことはありませんが、本人の性格的な要因が一番の原因です。 性格改善が再戦力化のポイント 周りの目を非常に気にする繊細さが本人にあると、たとえばパワハラがあったとするとそのことで本人は非常に傷つくので、そのうち眠れなくなったりしてやがて体力気力的に消耗し、病的なレベルに陥っていくのです。よってこうなると場合によっては休職し、お医者さんに行って薬をもらって眠れるようにするとよいでしょう。そうするとだんだん気力体力的に復活して病的レベルは改善します。しかし、よく多くの企業で見かけますが、かなりの時間をかけ休職、服薬し気力体力的に復活したと言うことで復職するのですがすぐ再発します。それは当然です。なぜなら、本人の周りの目を気にする繊細さ、神経質さ、などの性格はなにも改善されていないからです。よって、以前と似たようなストレスを受けるとまた同じようにうつ、メンタル不調になってしまうのです。いくら休職しても服薬しても根本的な性格が変わらなければ再発するのです。ではどうしたらよいのか。それは次回の原稿で明らかにします。実は、うつ社員を再戦力化するには脳科学的な視点からうつの原因と対策を知る必要があるのです。

  • 2020.01.13
  • 実践ヒント

脳内の扁桃体がうつ克服の鍵

経営者のための『うつ社員』再戦力化法 3

様々な先行研究および弊社顧問、筑波大学名誉教授・宗像恒次博士の研究により、うつ、メンタルヘルス不調には、脳内にあり3歳で完成すると言われ、不安や恐怖などの感情の発生装置、扁桃体(へんとうたい)と言う部位が関係しているということがわかってきました。fMRIという機器を使って扁桃体の反応について調べた研究があるのですが、それによると扁桃体は、その人にとって「怖い」表情を見ると強く反応するということがわかりました。つまり扁桃体は、「表情」に反応しているのです。このシリーズの2回目の原稿で、うつ、メンタル不調になる人は「周りの顔色に敏感に反応する人」と説明しました。脳を調べるとまさに、扁桃体が「表情」に反応しているのです。扁桃体は不安や恐怖などの感情を発生させる部位として知られています。以上のことから、うつ、メンタル不調になる人とは「周りの表情」に強く反応して、不安や恐怖などの感情を強く発生させる扁桃体感受性を持った人と考えられるのです。一般的に多くの方は、うつ、メンタル不調になった方は職場で何か本人にとって「嫌なことを言われた」とか、「人間関係でもめた」とか、「仕事に負荷がかかりすぎた」のではないかと考えがちです。しかし、そうではないのです。根本原因とは、本人にとって「怖い表情」が職場に存在し、それに激しく反応しているということなのです。ということは、いくら休職しても本人が一定の表情に対し「怖い」と感じる感受性を改善しない限り、また同じことが起きるということを意味しています。 表情に対する反応パターンを調べる しかし一方で、扁桃体は「怖い」表情だけに反応しているわけではありません。あなたは、初めて会ってあまりしゃべってもいないのになんとなく親しみを感じるなあ、と感じる表情の人に出会ったことはないでしょうか。そうです。私たちの扁桃体は、自分自身にとって瞬間的に「安心」を感じる表情と言うものがあるのです。つまりうつ、メンタル不調の方が「どんな表情の人」に反応して不安や恐怖感情を感じているのかを調べ、同時にその表情の人が怖くなくなるような安心を感じる表情とはどんな表情なのかを調べ、安心を感じる表情を見続けてもらうとうつ、メンタル不調の人の扁桃体は安定し、うつやメンタル不調を作る不安や恐怖の感情が消失していくのです。前出の宗像博士による研究では、抑うつを強く感じている21人の人に対して今述べたようなやり方で扁桃体を安定化させるという心理療法を十数時間行ったところ、21人の抑うつが消失した、という結果が得られております。*SDS尺度(うつ性自己評価尺度)を使用。うつ、メンタル不調とはその人の「周りの人の表情」に敏感に反応して不安、恐怖感情を発生させてしまう、敏感すぎる扁桃体感受性を安定化させると解決できるということなのです。このことがわからないといつまでたっても、いくら休職しても再発を繰り返し、結果としていつまでたっても社員が戦力にならないということになるのです。こういう心理療法を行う事で、某上場企業では初回うつ休職者の再発率が3年半0%という結果に貢献したのです。

  • 2020.01.13
  • 実践ヒント

科学に基づく心理療法の特徴

経営者のための『うつ社員』再戦力化法 4

弊社顧問で筑波大学名誉教授・宗像恒次博士が開発し、弊社では20年以上これを学習し、某上場企業では初回うつ休職者の再発率3年半0%と言う結果にも貢献している心理療法の特徴をご説明します。 1.うつ、メンタル不調の原因と対策を明確化 現在、うつ、メンタル不調の原因はよくわからないとされていると思いますが、宗像博士の研究では脳内にあり不安や恐怖などの感情を発生させる、扁桃体と言う組織の慢性的な過剰反応によって引き起こされるという見解が発表されております。宗像博士の研究によると扁桃体が慢性的に過剰反応することで、唾液中にコルチゾールと言うストレスホルモン値が上昇しますが、扁桃体を安定化させるとコルチゾール値は低下します。扁桃体は一定のイメージワーク法により安定化させることができるのですが、そのやり方をシステム化しているのが弊社が行っている心理療法です。 2.数値化して現状を把握できる うつ、メンタル不調の社員を抱えたことがある経営者なら誰もが経験していると思いますが、大きな悩みのひとつが「現状が、どういうレベルにあるのかがわからない。改善しているのかまだ駄目なのか、客観的にわからない」と言うものがあるのではないかと思います。こちらの心理療法は、1で解説したようにうつ、メンタル不調の原因を扁桃体の慢性的な過剰反応と位置付けています。1で述べたように一つの指標として、唾液を調べるとストレスホルモン、コルチゾールの数値によって扁桃体の反応の度合いが推測できるのですが、いつも唾液を採取するのは大変なので扁桃体の反応のレベルを推測する独自の診断テストが、弊社顧問で前出の宗像博士によって開発されております。 基準の数値でうつを管理する こちらの心理療法を行った前後で、この診断テストを使って測定するということを常に行っており、そのためにうつ、メンタル不調の現状を常に数値化できているのです。ちなみに診断テストには標準値が研究上明らかにされており、この数値以下になるとうつ、メンタル不調は消失することがわかっております。またこちらの心理療法を約15時間前後行う事で、診断テストの得点は標準値に戻りうつ、メンタル不調は安定化していることも研究上明らかにされております。どのくらい時間をかければ改善するのかと言うことも、現在よくわからないとされていることが多いと思いますが、こちらの場合は約15時間前後と言うことが経験上はっきりしているのも他に類を見ない特徴です。うつ、メンタル不調は数値化して改善状況を把握していく事ができるのです。 3.再発防止策が明確化されている 2で解説したようにうつ、メンタル不調を作り出す扁桃体の興奮の度合いを推測する診断テストによってうつ、メンタル不調の現状を数値化しているのですが、この診断テストの一つに自己抑制型行動特性尺度と言うものがあります。この診断テストは「周りの顔色をうかがって自分自身の気持ち感情を抑圧してしまう度合い」を見ています。前出の弊社顧問・宗像博士によって開発されたものですが、20点満点で11点以上取るとメンタルが不安定化することがわかっており、15点以上取るとうつになってもおかしくないという研究結果が出ています。ちなみに6点以下だと、うつ、メンタルリスクは起きないと推測されています。*この一つの診断テストだけでは正確には言えませんが、それでも大まかな推測が成り立ちます。 「言えない」人がうつになる。 この診断テストで11点以上取るとは、周りの顔色が非常に気になり自分の気持ちを言えない度合いが非常に強い、と言うことです。つまり、「自分の都合を言えない」ことによって、うつ、メンタル不調は作り出されるのです。「助けを求められない」「アドバイスを求められない」「協力を依頼できない」「適度に断れない」「自分の都合を交渉できない」などがうつの原因です。これができないため、仕事を限界まで一人で抱え、ある日突然バタっと倒れ、うつ、メンタル不調になるのです。と言うことは、これらができれば再発しないのです。自己抑制型行動特性尺度の診断テストの得点が6点以下を維持できていれば、再発しないのです。実はこの診断テストは、不安恐怖などの感情を発生させる扁桃体の興奮度合いが安定化すると得点が低下することがわかっております。つまり扁桃体が安定化するように指導すれば、この得点が維持され、自分汚都合を言えるようになるので再発は繰り返さないということなのです。某上場企業では初回うつ休職者の再発率が3年半0%と言う結果に貢献したというのはこのような指導をしていたからなのです。