社員満足を上げ、働きがいのある会社へ「元気な会社をつくるプロジェクト」

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件数:109件
  • 2020.01.13
  • 実践ヒント

社員が愛着をもてる会社にしたい

目指す会社に育てる社内イベント 2

自社で働く社員が、会社に対してどういう想いで日々働いているか、経営者として、気になる方も多いかと思います。かくいう私もその一人です。社員がただお金のために働いているとか、単なるステップアップとして働いているとしたら、少し寂しいことです。会社の一員としての意識をもって働くことで、離職率も下がり、長く働いてくれる傾向にあります。そこで、今回は『社員が愛着を持つ会社にしたい』というテーマで、社員が会社の一員として喜びを感じるための社内イベントについて述べていきましょう。 会社の一員として喜びが業績を高める 自社の社員は会社に愛着を持って仕事をしているかを考える前に、『社員が愛着を持つ会社』とはどういう会社でしょうか?なかなか数値的な指標などもなく、経営者としても実感がわかないのが正直なところです。『社員が愛着を持つ会社』とは、社員が会社の一員としての自覚を持ち、責任感を持って働いている状況です。こうした働き方をしている社員が多い会社は、その会社で働くことに喜びを感じているため、会社がきれいで、整理整頓されています。また、会社の恥となるようなことはせず、コンプライアンス意識も高いです。つまりは、社員一人一人が、会社で行われることすべてを“自分ごと”としてとらえているため、自主性の高い組織であるといえます。そうした組織では、会社行事が多く、その参加率も高いようです。その結果、社内の風通しは非常によくなり、会社への様々な提案がなされ、社員同士の関係性も深く、離職率も低くなります。このように、社員が会社に愛着をもって働くことが、業績を高めることにつながります。 社員が愛着を持てる会社にするための3つのポイント 『社員が愛着を持てる会社』にするためには、社内イベントのポイントが3つあります。まず第1に、社員が成長を感じ取れる場であること。会社が一方的に発信するのではなく、社員にとってプラスとなる場であることが重要です。社員が成長する場として設定することにより、自主性が生まれ、自身の成長を感じた結果、会社への愛着が増してきます。第2に、社内提案を受けて社員参加の形にすること。社員が提案や決定に関与することで、より自分たちの会社という意識が芽生えます。第3に、社員だけでなく、家族へのケアまでも行うこと。社員に愛着を持ってもらう前に、その家族に応援してもらえるような会社になることが重要です。社員が働く一番の理由は会社のためではありません。自分も含め家族のために働いているのです。その家族に応援されることで、社員も働くことの意義を再確認して、会社へ愛着を持って仕事をするようになります。 社員が愛着を持てる会社にするための社内イベント例 それでは、『社員が愛着を持てる会社にしたい』ことを実現するには、具体的にどのような社内イベントを行えばよいのでしょう。“社員の成長のための場”としては、品質向上のための勉強会や事例共有会などがあります。勉強会は、社員が業務での疑問点を先輩社員が解消する場として、事例共有会は、先輩社員の取り組みなどを知る場として活用できます。そのため、より効率的に業務を行っていけるので、その後の業務への貢献が図れます。さらに、事例共有では、優秀な取り組みを会社が表彰することにより、若手社員の目指すべき姿をイメージすることができます。また、誕生会や勤続表彰なども自身の成長を振り返る機会となり、会社に愛着を持つ要因の一つとなります。“社内提案型”のイベントとしては、社員参加型での周年事業イベントが代表的です。社員が頑張った結果が会社における周年であり、その周年イベントの提案を社員から募集することにより、自分の会社としての意識が芽生えます。また、周年に合わせて、社名やロゴの変更などを行う会社も増えており、社内公募を行うことで、より自分の会社としてとらえることになります。名刺のデザインを変える場合では、顔写真や出身地、好きな言葉入りにしたり、カラーを自分の好きなカラーにしたりと個性を出すことで、自分の会社という想いも芽生えるように促せます。この形式で実施した展開の中には、社員でオリジナル社歌を作った事例もあります。できた社歌は、社員全員で歌う映像をネット配信して、社員採用に活用したり、メディアに取り上げられたりして、社員の意識を高めるのに役立っています。“社員の家族のケアも行う”イベントは、社員の家族イベントに目を向ける展開です。結婚、出産、七五三、入学など家族の成長を、会社として祝うケースは比較的多いと思います。それに合わせ、ファミリーデイやクリスマスパーティなど、会社で家族参加型イベントを実施して、子供たちを中心とした家族と会社が触れあうことで、家族に愛される会社に高めることができます。いずれにしても、1回きりの実施ではなく継続的な実施がポイントなので、予算や労力などを検討して、無理のない社内イベントから導入してみてはいかがでしょう。

  • 2020.01.13
  • 実践ヒント

風通しの良い会社にしたい

目指す会社に育てる社内イベント 3

規模が大きな会社や長く事業展開している会社の経営に新たに携わる時、多くの場合、縦割り組織での問題点や上下間の難しさを経験し実感しているため、早い段階で「風通しの良い会社にしたい」と考えるケースは少なくありません。また、ニュースに取り上げられた業績悪化の隠ぺいや長時間労働による過労死などの事件も、「風通しが悪い」ことが原因で発生すべくして起きたといえます。そこで今回は、『風通しの良い会社にしたい』ことを目指す場合、どのような社内イベントを行うべきかを考えていきましょう。 “風通し”の良い会社と悪い会社では大きな違いが生まれる 「風通しが良い、悪い」は日常的に頻繁に使われる言葉ですが、実際にどういう状況なのか、どのような影響があるのかを改めて確認しておきましょう。『風通しの良い会社』とは、「問題が起きるのは当たり前」という考えをベースに組織全体を運営することが原則です。そのため、問題を早い段階であぶり出させるように多くの機会が設けられています。会社として問題をどんどん提起することを評価し、困難があっても改善、改革することを奨励するような雰囲気作りを努力しています。その結果、新しい発想や新しいきっかけ作りが誘発され、社員や会社の潜在的な能力が引き出される社内環境となります。また、問題が小さい内に顕在化され共有されるので、深刻なリスクを回避することにもつながります。これに対して、風通しが悪い会社では、組織全体で「問題があってはならない」という意識に支配され、「問題が出ないように厳しく管理する」ことを基本としています。そのため、社員が不平や不満を口にするのは良くないとされ、組織を乱さないことが最優先と考えられるようになります。そして、あらゆる行動にブレーキがかかり、定例通りの対応しかできない状況となります。これでは、何をやっても成果はそこそこで、これまでにない大きなビジネスを生みだすことはまず難しいでしょう。また、問題が起きている場合、表面化しないように隠ぺいし、なんとか内密に解決しようとする意識が働きます。しかし、解決できないまま深刻な事態になるケースは多く、会社として大きなダメージを受けることも少なくありません。このため、『風通しの良い会社』にしていくことが重要なのです。 『風通しの良い会社』では、社員は常に積極的な行動を取ることができます。そのため、社内の会話が増え、役職に関係なく何でも話せる環境が整います。このことで、社員同士の情報共有が仕事に限らず、プライベートの面まで進むことができ、より深い事情を細かく配慮して助ける、助言する、サポートする体制ができあがります。その結果、残業時間を制限するなどの制度の面ではなく、環境としての“働き方改革”につなげることができます。すると、会社は、個々の社員の持てる力以上のものを引き出すことができ、より高いパフォーマンスを維持し続けることができます。また、ミスやトラブルを未然に防止でき、さらには、ミス・トラブルを放置しない、放置させない環境を構築することができます。会社として大きなダメージを受けることなく、リスクを回避できます。さらに、この環境での若手を育てるメリットとして、効果的で効率的な人材育成が実現でき、社員それぞれに気づきを与えて学ぶ姿勢を習慣づけることができます。最終的には、この環境が社風となって培われ、リクルーティングの際の優位点となって活かしていくことができます。 風通しの良い会社には“場つくり”がカギ この『風通しの良い会社』にするには、“場つくり”をいかに意識して全社的に構築するかがカギとなります。まず、そのベースとなる「話しやすい環境つくり」には、昔ながらの“飲みにケーション”が効果的。具体的には、「定期的な社内交流会」を設けることです。既に忘年会、新年会、ランチミィーティングなどを開催しているケースも多いと思いますが、より交流ができるように小さい単位での実施が好ましいでしょう。また、社員が別の社員に感謝のメッセージを贈る「サンクスカード」などの仕組みを導入することで、社員間でコミュニケーションを高め、親近感を高めるのにも有効です。他に、CSR活動で社会や地域との関わり方を構築するイベントとして実施される「ボランティアイベント」も活用できます。また、一緒に行動する機会、上下関係ではなく対等に近い状況で行動する機会を設けることも効果的です。例えば、「運動会」「ゲーム大会」などレクレーションは、その典型的な展開例といえるでしょう。1つのものを上下関係に関係なく一緒に作ることも、社員間のコミュニケーション関係を改善することができます。代表的なものには、BBQ、カレーライスなどの「料理を作る」ことが挙げられます。いずれも仕事から離れた“場”を設けることが、風通しが良くなるポイントです。仕事以外のシーンを設定することで、上下関係を意識することなく社員間の交流が図れるからです。ここで培われた交流は、親近感としてそれぞれの社員に残り、ビジネスシーンにおいてもスムーズに情報をやり取りできるようになることを狙います。『風通しの良い会社』は、意外と実施しやすい社内イベントで実現することができることが、お分かりだと思います。ただし、1つの施策を1回行うことだけで実現できる訳ではありません。社風や企業文化として社内全体に定着するまで、地道な展開を継続して行うことが重要だと認識しておく必要があります。この点に留意して展開を検討してみてください。

  • 2020.01.13
  • 実践ヒント

社員が協力しあえる会社にしたい

目指す会社に育てる社内イベント 4

社員が協力しあうのは、会社として当然のことだと思われるかもしれません。しかし、社員の立場とすると、上司や先輩、同僚に協力を求めることは、遠慮や気兼ねしたり、自分の評価に影響するのではないかと懸念したりするのも多いものです。そうなると、自分だけで何とかしようとして、トラブルをより大きくしてしまうケースが多くなります。逆に、助ける側の社員にとっては、口をはさみすぎると「うるさい」と思われるのではないかと警戒しますし、「任せた以上、相談に来るまでは助けない方が良いのではないか」と人材育成の視点でためらうこともあります。それぞれの立場のハードルを低くするということは、全社的な意識や社内環境を整える必要があるので、『社員が協力しあえる会社にしたい』という目標は、意外と実現しにくい一面もあります。今回は、それ自体は当然のことですが、実現しにくい一面もある『社員が協力しあえる会社にしたい』について、考えていきましょう。 『社員が協力しあえる会社』は社内の生産性を高める ところで、『社員が協力しあえる会社』になると、どのようなメリットが社内に起こるのでしょうか。具体的にイメージしていきましょう。『社員が協力しあえる会社』では、先に述べたように助けられる側と助ける側の立場のハードルを低くする必要があるので、ヘルプを求めやすい環境であると共に、助け船を出しやすい環境が整える必要があります。そのため、部内の上下関係や、部署間の隔たりは小さくして、ささいなことでも話したり、声をかけたりする習慣をつくることが重要となります。これで、社員間の情報のやり取りが盛んになり、社員それぞれの仕事の内容やその進捗状況、仕事に影響する可能性があるプライベートの事情なども共有されます。そのため、助けが必要なタイミングかどうかを思い図ることができますし、事前に諸事情を話しているので相談しても問題ないという意識が生まれます。また、この社員間の関係が構築できると、繁忙期の社内でもピリピリした空気はなくなり、どこか余裕のある雰囲気に変わります。こうして社風や企業文化が築かれ、働きたい会社としての評価が高まり、リクルーティングの際にも良い人材が集まるので、その効果が“正のスパイラル”で高まります。さらに、社内環境としてお互いの業務の状況が把握できる“場”を設けたり、業務状況の確認ができるシステムの導入などで“見える化“を進めたりして、体制を整える企業も少なくありません。こうして培われた『社員が協力しあえる会社』では、互いに協力しあうことで、仕事のミス、トラブル、ロスが少なくなり、会社としての生産性が上がることになります。そして、仕事のクオリティ管理を徹底させることで、会社としての信頼が高まり、顧客満足も高まります。 『社員が協力しあえる会社』には“意識改革”がカギ さて、『社員が協力しあえる会社』にするには、どうすれば実現できるのでしょうか。それには全社的な“意識改革”がカギとなります。要は「早めに相談した方が良い」「助けるのは当たり前」という意識を、社員の中にいかに根付かせるかが重要なのです。この“意識改革”を実現させるには、単に社員に呼びかけるだけでなく、社内体制を具体的に変えていく必要があります。ざっくばらんに相談できる“場”つくりを、社内の仕組みとして構築したり、互いの状況を知る機会を設けたりすることは、その代表的な例です。社内の評価では、それぞれの仕事の売上や利益などの業績を評価するだけではなく、その仕事の中で起きたトラブルをどのように回避したか、その際に「助けた」「助け合った」過程の情報を吸い上げて、それを評価することが必要です。これを継続することで「助ける」「助けられる」ことが日常となり、社内の“意識改革”が実現されることになります。 『社員が協力しあえる会社』にするために有効な社内イベント例 『社員が協力しあえる会社』にするために有効な社内イベントは、意外と地道な展開です。例えば、ランチ会、同期会などの会合を定期的に開催。この際は、社内の小さい単位で情報交流を行う方が、情報交換する効果が高まります。社内の上下関係に関係なく参加できたり、部署間の交流が図れたりする社内イベントも、この体制を強化するのに効果的です。具体的には、「運動会」、ボーリング大会やカラオケ大会などの「社内レクレーション」があります。全社的な仕組みとしては、「業務報告会」や業務報告書などの「データベース化」が有効です。定期的な社内イベントとして、「事例共有」を行い、成功事例や失敗事例を共有するのも良いでしょう。特に、トラブルをどのように回避できたかを情報収集することは、「協力しあえた」良い事例としても有効です。また、似たようなトラブルでは「誰に相談すれば良いのか」を社内で共有できるので、より効果的に対処できるようになります。また、失敗事例を共有することも重要で、どのようなトラブルがあるのか、今後どのように対処すれば良いのかを考える機会として活用できます。先に述べたように「表彰式の開催」では、業績評価だけではなくサポートした過程も評価することをルール化することがポイントです。このように評価することで、助け合うことで業績に関係なく評価されることが定着すると、より助けあえる会社に近づけます。『社員が協力しあえる会社』にするために有効な社内イベントは、意外と身近な内容です。地道な展開を継続することで、社風や企業文化として蓄積できるようにしましょう。そうすれば、一気に変えることは難しいでしょうが、徐々に社内の意識に変化がみられるはずです。

  • 2020.01.13
  • 実践ヒント

上下関係がもっと密な会社にしたい

目指す会社に育てる社内イベント 5

昨今、社内でのちょっとした行動でも、世の中的には“ハラスメント”として問題視される時代となっています。また、現場社員からの内部告発で組織内の問題や隠し事を暴露され、会社としてのダメージを受けたニュースもたびたび耳にします。これらの要因の1つに、社内の上下関係に問題があることが考えられます。そのため、『上下関係がもっと密な会社』に育てて、社内にぎくしゃくした状況が起こらないように予防策をとることが、会社の課題として重要となるケースも少なからずあります。それだけでなく、『上下関係がもっと密な会社』は業務にも良い影響を与えるので、より成長したい企業にとっても重要な課題といえるでしょう。今回のテーマは、この『上下関係がもっと密な会社にしたい』という課題について、どのような社内イベントが効果的かを考えていきます。 『上下関係がもっと密な会社』は“生産性”を高める まずは、『上下関係がもっと密な会社』が業務に与える良い影響として、どのようなことが起こるのかを具体的にイメージしていきましょう。上下関係は密になると、上司と部下の間でコミュニケーションが盛んに行われ、コミュニケーションすることが苦にならない関係が構築されます。当然、日常業務での“報連相”が面倒な事務的な雑務ではなく、積極的に行われる環境となります。すると、上司は部下一人ひとりの業務状況を正確に把握することができ、部下は業務の中で起こった問題やクライアントのニーズなどに素早く対応でき、ベストな対策でミス・ロス・トラブルを未然に防ぐことができます。この流れがスムーズになれば、マネジメントを効率的で効果的に回すことができ、結果としていわゆる“風通しの良い会社”に育っていきます。すると、効率的で効果的に業務をこなすことができる体制となり、会社全体としての“生産性”を高めることができます。この対応を繰り返すことで、クライアントの満足度が高まり、会社に対する信頼度の向上につながります。 『上下関係がもっと密な会社』には“チーム意識”がカギ それでは、『上下関係がもっと密な会社』にするには、どうすれば実現できるのでしょうか。「いっそ上司を廃止したらどうか」と上下関係を一切排除した海外の企業では、この極端な組織の構造改革に社員の戸惑いがぬぐえず、約1500人いた社員の内、約20%が退社してしまいました。ちなみに、この考え方は『ホラクラシー』と呼ばれ、導入をチャレンジして継続している企業も数社あります。しかし、大半の企業では、上下関係のあるために情報処理がスムーズに行われ、物事が円滑に進むという認識が結論となっています。子供のころから個人主義で自立した教育を受ける欧米ですらそうなのですから、『ホラクラシー』という考え方は、日本には文化的・体質的にそぐわないかもしれません。そうなると、上下関係は組織運営上必要不可欠となり、上下の弊害をなくす対策をする必要があります。上司は、最適な戦略を立案して指示を出す立場で、部下はその指示に基づいて的確に行動して現場での実務を担当します。情報が上司に集まり、必要な内容を部下に流す体制や、責任の所在を明確にできるメリットも維持する必要があります。現在、上司の意識改革として、ハラスメント研修やコーチング研修などを行う企業は多いのですが、これは、上司だけの問題ではなく、部下を含めた社員全員が認識や行動を変えることが重要といえます。理想としては、上司の立場をうまく使いこなせる部下や、部下を信頼してやりたいように動かせていざという時にサポートできる上司の関係。上司と部下の間で、お互いの立場を尊重して、互いの職務を全うすることが必要で、それは決して支配者と被支配者の関係でありません。最も重要なのは、組織運営に対する意見をいうことで不利益が出ない体制を構築して、下の立場の人間も意見を発しやすい環境づくりをすることです。この体制が築けてこそ、上司と部下の距離を縮めることができます。そして、案件ベースで部署内に小さなチームがあり、それらが集まって会社という大きなチームを構成するという認識を、社員それぞれに定着させることがポイントとなります。全社的に“チーム意識”を定着させることがカギとなるのです。 『上下関係がもっと密な会社』にするために有効な社内イベント例 『上下関係がもっと密な会社』にするために有効な社内イベントとしては、定期的な「食事会」が代表的です。オフィスや仕事を離れた環境で話す機会を設け、部内のコミュニケーションを図る施策です。この実施を推奨するために「部会に補助金」を出して、部単位で食事会や忘年会、歓送迎会などの開催をサポートする制度もあります。他に、例えば運動会、ゲームなど、「部対抗・部署単位のイベント」を開催し、レクレーションを通じて、部内や部署内の結束力を高め“チーム意識”を芽生えさせるのも効果的な手法です。また、社内で行われる「表彰」を活用して、案件や個人ベースではなく、部単位や部署単位で表彰するスタイルを導入して、その単位での関係を強化する方法もあります。「部単位の報告会」を活用して、事例共有や情報共有する場を設けることも有効です。社内SNSの導入などの「情報システム化」を活用し、上下関係を意識せずにフラットに議論しあえる場を設けることも良い施策といえるでしょう。そして、上下関係の“不平等感”を軽減するため、部下を上司が評価するだけでなく、上司の評価は部下が行う制度、「上司の通信簿」などを導入しているケースもあります。さらに進んだ事例としては、上司の任命は経営者が行うのではなく、社員自らが上司のポジションに立候補して、それを部下全員が選ぶ「上司の投票制度」があげられます。『上下関係がもっと密な会社』にするために有効な社内イベントには、ごく身近な内容から思い切った施策まで幅広い内容が考えられます。御社の社風や企業文化としてマッチする内容なのか、社員が戸惑わないかを吟味して、展開する内容を選定することが必要です。

  • 2020.01.13
  • 実践ヒント

部署間の連携が図れる会社にしたい

目指す会社に育てる社内イベント 6

部署間の連携が図ることは、難しいものです。多くの企業では“縦割り組織”になっているからです。敵対しているとまでは言いませんが、組織によっては、部署ごとに競い合って業績を上げる形式のため、部署間の連携には少なからずハードルが発生します。しかし、部署間の連携を図れずに、会社としての付加価値を最大限に活かせていないケースも多々あります。そのため、『部署間の連携が図れる会社にしたい』と悩む企業は、少なくありません。今回は、『部署間の連携が図れる会社にしたい』について、考えていきましょう。 『部署間の連携が図れる会社』は社内の生産性を高める ところで、『部署間の連携が図れる会社』になると、どのようなメリットが社内に起こるのでしょうか。具体的にイメージしていきましょう。部署間の連携が図れるということは、社内のコミュニケーションが活性化しているので、縦だけでなく横の社内のネットワークも強化されています。そのため、異なる部署の知見やノウハウに接することができるので、それぞれの社員の知識が縦横に広まり、各自の業務で対応できる幅が拡がり、さまざまなクライアントのニーズに対応できることになります。すると、会社としての提案性が高まり、さらなる業務拡大につながります。場合によっては、新たなサービスの発生も期待できることでしょう。また、その新サービスを活用すれば、顧客開拓の可能性を高めることもできます。このように、会社の生産性がどんどん高まっていきます。また、仕事の幅が広がると、社員のやりがいが生まれます。もちろん、仕事の幅が広がれば困難な問題点も増えますが、それをやり遂げた後の社員の達成感と、チーム内の連帯感はさらに強まります。こうして、会社が元気になっていきます。多様化するクライアントのニーズに応じて、きめ細かく専門的な対応ができるようになるので、多様な仕事や複雑な仕事、きめ細かい対応が実現でき、さらに顧客満足度や会社への信頼度が増していきます。 『部署間の連携が図れる会社』には“意識改革”がカギ それでは、『部署間の連携が図れる会社』にするには、どうすれば実現できるのでしょうか。それには全社的な“意識改革”がカギとなります。それにはまず、部署間の接点を作ること。今、他部署が行っている仕事や進めている方向性などの情報を、全社的に共有する場を設けたり、部署間での情報交換系や情報システムを活用したりすることが、必要となります。そして、部署間で連携を図った案件やチームを評価する仕組みを構築することも重要です。この仕組みを導入することで、社内に部署間の連携を認める、推進する雰囲気を社内に作り上げることで、それぞれの社員に部署間の連携をやってみようと思わせることが必要なのです。もっとも場と仕組みだけで、いきなり社内に定着する訳ではありません。部署間の連携をしていなかった企業では、弾みをつけるために、まず社内に成功実績をつくることが先決といえます。例えば社長直轄でも良いので、テストケースとして社員のチャレンジを促すステージを作り、実践させてみることが大切です。 『部署間の連携が図れる会社』にするために有効な社内イベント例 『部署間の連携が図れる会社』にするための社内イベントとして、次のような“場”を設ける展開が考えられます。例えば品質管理など、会社の提供するサービスとしての大きなテーマを設定した「社内共有の勉強会」を定期的に開催し、各部署から数名を参加させたり、部署持ち回りで幹事を担当したりすることで、会社としての知見やノウハウを共有し、他部署のネットワークを構築する機会として役立てるのは代表的な展開といえます。このテーマは何も1つに限る訳ではないので、複数の分科会を設けて、社員全員が何らかの勉強会に参加できるようにすると良いでしょう。また、「事例共有」として、各部署単位で発表する場を設けたり、社内インフラで公表したりする展開も有効です。もっとカジュアルに考えて、同期会や部署間連携チーム単位で開催する「他部署ランチ、食事会」は、仕事を離れた状況となるので、より部署間でのハードルを低くして打ち解ける良い機会となります。これをリクレーションで演出すると「部署対抗、部署混合イベント」となりますが、最近、見直されて再導入されている運動会やハイキング、農作業体験などがそれに含まれます。そして、“仕組み”としては、「社内表彰」や「評価制度の見直し」が考えられます。いずれも、仕事の成果や個人の能力を評価するだけでなく、他部署間での連携やそのプロセスを評価する項目を設定して、会社としてチームの力を認める仕組みつくりがポイントです。”テストケース”として最も多いのは、導入期に「社長プロジェクト」として、社長直轄のプロジェクトとして、各部署からメンバーを選定して成功事例を作り上げることでしょう。後に、それぞれのテーマでの特命プロジェクトとして分化させて、最終的に全社に複数のプロジェクトが動いていると、会社として活性化していくことでしょう。『部署間の連携が図れる会社』は部署間のハードルを低くすることが大切です。それが実現できれば、会社としての多くの付加価値を生みだす社風や企業文化へと育まれていくことになります。そうなると、会社の雰囲気がどんどん良くなるので、最終的にはリクルーティングや企業イメージにも効果が表れてきます。

  • 2020.01.13
  • 実践ヒント

社外との連携が図れる会社にしたい

目指す会社に育てる社内イベント 7

自社の事業を拡大するために必要な要素の一つに、『社外との連携』があります。自社の限られた人材や資材、技術やノウハウでは対応できない部分を、社外の協力会社に補ってもらうことで、クライアントの要望に広く対応できるからです。かといって社外との連携は、仕事の受発注の関係のみで成り立っている訳ではありません。協力会社自身にも単なる“こなし”作業ではなく、自分の仕事としての認識を共有してもらわなければ、質の良い仕事にはなりません。そこで、今回は、この『社外との連携が図れる会社にしたい』という課題を解決できる社内イベントについて書いていきます。 『社外との連携が図れる会社』には“パートナー”としての認識が必須 ところで、『社外との連携が図れる会社』になると、どうして自社の生産性が高まるのでしょうか。具体的にイメージしていきましょう。社外との連携がうまく図れると、まず第一に、社外のコミュニケーションが活性化して、やり取りがスムーズに行うことができます。これができれば、社外との連絡ミス、トラブル、作業のムラを防げます。さらに、社外を通じて社内の情報共有もできるようになり、社内でのミス・ロス・トラブルを抑えることにもつながります。また、社外との連携を図るということは、社外との関係が密なものになるということです。そのため、社内と社外の間で、ビジネスでの目指すべき方向が共有できるようになります。すると、社外でもその仕事を“自分ごと化”しはじめ、責任感が生まれ仕事の品質を意識するようになります。そのため、仕事のクオリティを高めることができます。そうなると、自社の限られた人材や資材、技術やノウハウだけでなく、社外の人材や資材、技術やノウハウも仕事に間接的に活用できることになるので、幅広い業務に対応できる体制を整えることができます。このシナジー効果で新しい提案ができるようになり、自社の事業を拡大することができます。この一連の流れで、『社外との連携が図れる』ことで、自社の生産性を高めることができるのです。 では、『社外との連携が図れる会社』にするために、何に注意すべきなのでしょうか。社外の協力会社とは、当然、仕事の受発注の関係にありますが、その会社をどのように位置づけているか、どのように対応しているかがカギとなります。『社外との連携が図れる会社』には、いわゆる“業者”として扱うのではなく、“パートナー”として認識することが大前提となります。それには、それぞれの仕事だけや、担当者だけの関係では不十分で、会社ぐるみのお付き合いを目指すことが不可欠といえます。ビジネス上の関係という認識ではなく、自社の社員と同じように大切な“パートナー”として認識して、そのように対応することが重要なのです。そして、その考えを協力会社にも気づいてもらうことが必要です。さらに、協力会社の日常の仕事の成果や協力体制を、正当に評価して認めることも必要です。このように具体的に“感謝の意”を表すことがポイントとなります。 『社外との連携が図れる会社』にするために有効な社内イベント例 『社外との連携が図れる会社』にするために有効な社内イベントとしては、社外と共同でイベントなどを行ったり、社内と社外を交流させて情報交換できる場を設けたりすることが必要です。また、協力会社に対して具体的に“感謝の意”を表することも重要です。その代表的な内容として、「社外、協力会社との勉強会、共同研修」があります。例えば、私の会社では、救命講習、音響研修など、イベント業界の業務に必要なノウハウやスキルを学ぶ場を、自社の社員だけでなく協力会社の社員にも参加してもらい開催しています。協力会社と一緒に社員教育を行うと共に、自社の考え方や基準を共有しています。また、打ち上げ、忘年会、新年会、謝恩会、周年パーティーなどの「懇親会」の開催も有効です。これらは、社内と社外の交流の場として活用できるからです。さらに、「社内イベントに招待」して社内と社外の交流の場を積極的に設けることも良い施策です。例えば、運動会やBBQパーティー、クリスマスパーティーなどに協力会社も招くことです。協力会社の経営者を“来賓”として招くことも良いのですが、協力会社の社員も含めて参加してもらうと、担当者レベルでの交流も図れます。仕事を離れて交流することは、社員間の交流を深めるのと同様に、社外との交流に適しています。そして、具体的に“感謝の意”を表するために、自社で定期的に実施している「表彰」の対象に社外の協力会社も加えることは、わかりやすい施策です。一般に、協力会社を対象に新商品発表会、決起集会、販売店会などのイベントを開催するケースはありますが、ビジネスの目標や目指すべき方向を共有する面で非常に効果的といえます。他にも、「報酬施行」は効果的なイベントです。具体的には、ゴルフコンペや視察会などに招待したり、インセンティブ制度の対象に加えたりすることです。『社外との連携が図れる会社』にするために有効な社内イベントは、交流の場を設けるタイプと、協力会社に対して感謝の意を表するタイプの2つの要素が考えられます。その両方の要素を導入することが、より『社外との連携が図れる会社』に近づくといえます。その辺を考慮しながら、導入する社内イベントを検討してみてください。

  • 2020.01.13
  • 実践ヒント

社員の家族にも愛される会社にしたい

目指す会社に育てる社内イベント 8

『社員の家族にも愛される会社』を目指すのは、会社としての責任の範疇を超えていると思われるかもしれません。会社として責任を負うべき対象として最も重要なのは社員であることは間違いないのですが、その家族にまで広げるとなると見解が分かれることでしょう。しかし、『社員の家族にも愛される会社』にすることは、社員が気兼ねなく仕事に打ち込める環境づくりにつながり、その積み重ねで社会に認められる会社になっていくともいえます。そのため、人本経営を確立させていくために、避けては通れない要素の1つです。今回は、この『社員の家族にも愛される会社にしたい』について、考えていきましょう。 『社員の家族にも愛される会社』は生産性を保つ“スパイス” まずはじめに、『社員の家族にも愛される会社』になると、どのようなメリットが社内に起こりえるのでしょうか。具体的にイメージしていきましょう。『社員の家族にも愛される会社』とは言い換えれば、社員の家族にも応援してもらえる会社、社員の家族にも認めてもらえる会社ということになります。社員の家族が会社に対して親近感や好意、信頼を抱くことになるので、働いている社員に対しても敬意や感謝の念を深めるようになります。すると、社員を応援する環境へとつながっていきます。すると、社員は誇りと自信をもってイキイキと会社で働くようになり、自分の家族のバックアップがもらえるため、気兼ねなく仕事に打ち込めるようになります。そのため、社員一人一人の生産性を高めることも可能となります。また、会社に対する不平・不満が少なくなり、会社や仕事に対して満足感が高まるので離職率が低下し、その会社に長く勤務するようになります。このため、人財やノウハウの流出を防ぐことができ、リクルーティングの手間やコストを削減することができます。そればかりか、社員が辞めない会社は「働きやすい会社」として認識され、より優秀な人材を集めることにつながります。 『社員の家族にも愛される会社』には会社としての“本気度”が必要 それでは、『社員の家族にも愛される会社』にするには、どうすれば実現できるのでしょうか。それには会社としての方針の明確化が必要で“本気度”が求められます。まず、社員の家族に会社を愛してもらうためには、会社やその業務内容について、あるいは社内の事情について知っていることが必要です。人間はあまり知らないことに対して不信感を抱きやすくなりますし、信頼しようとは思いません。どんな時でも、相手の“顔”が見えてこそ、信頼を得ることができるのです。そのため、社員の家族に対しても、会社について伝える機会を積極的に設け、理解を促す活動が重要なのです。そして、会社が社員だけでなくその家族をも意識するように常に心掛ける必要があります。社員の家族の理解が、会社の事業を運営するにあたって必要な要素なのだという“信念”を持つことが大切です。それがないウワベだけの活動では、社員の家族に見透かされることになり、かえって逆効果となる可能性が高いので注意が必要です。より効果を高めるためには、社員の家族に「会社が自分たちを意識している」ことが伝わる工夫も必要です。特に、会社として社員の家族に対して具体的な“感謝”の意をストレートに伝えることが重要となります。そうすることで、社員の家族との間に会社に対する信頼と親近感・好意を養うことができるでしょう。 『社員の家族にも愛される会社』にするために有効な社内イベント例 では、『社員の家族にも愛される会社』にするために有効な社内イベントとしてどんな活動をすればよいのでしょうか。会社のことを社員の家族に知ってもらうためには、実際の仕事している様子を見てもらうことが一番といえます。それを実現するのが「会社訪問」です。特に社員の子供を対象として、例えば、子供たちに会社や仕事を取材してもらい、それを記事にして新聞形式で掲出・配信する「こどもニュース」や、子供たちに会社や仕事を1日体験してもらう「こども社員」の実施が考えられます。もちろんその様子を、父兄に子供の目線で報告することで、わかりやすく会社の様子を理解してもらうことができます。会社が社員の家族も社員と同等に意識するには、通常社員を対象に行っている社内イベントを、社員の家族まで広げることで実現することができます。例えば、「社員旅行」に社員の家族も含めて実施したり、BBQなどの食事会、運動会、お祭り、クリスマスパーティーなどの「社内イベントに家族も招待」したりすることです。また、「福利厚生の拡充」として健康診断、ディズニーランド招待、レジャー、ヘルスツーリズム、農業体験などの福利厚生の対象を家族まで広げる方法もあります。会社から社員の家族に感謝の意を伝えるには、「プレゼント」が代表的です。例えば、母の日、家族の誕生日、結婚記念日、出産祝い、入学祝い、卒業祝いなど、家族の記念日をタイミングに、会社からちょっとしたプレゼントを進呈することです。また、周年事業などの記念品を、ビジネスで使うものや社員のための内容ではなく、家族のための、家族で使えることを意識して記念品の選定を行うことでも実現できます。『社員の家族にも愛される会社』にするために有効な社内イベントは、その対象を社員の家族に広げたり、家族との生活の一部に寄り添ったりするだけで実現できます。要は、社内イベントを検討する際に、社員の家族を意識するだけなのでそれほど難しいことではありません。普段行っている社内イベントをこの視点で見直して開催するだけで対応できます。

  • 2020.01.13
  • 実践ヒント

地域や社会に誇れる会社にしたい

目指す会社に育てる社内イベント 9

『地域や社会に誇れる会社』というと、直接的に自社の売上とは関係ないと考えになる方が少なくないと思います。しかし、デジタル時代となった今、会社がコンプライアンスを実践できているか、不祥事はないか、不祥事があった場合の対応はどうかなど、企業に対して厳しい批判の目が一般的となっており、悪い評価は瞬く間に広まってしまいます。その悪評は悪くすると得意先からの取引の自粛や、消費者の不買運動などにつながります。そのため、地域や社会に対してどのように対応しているかは、会社経営を左右する重要なファクターの1つになるといえるのです。そして社員目線で考えると、自分の会社が地域や社会にキチンとした対応をしていることがわかるので、“誇れる”会社になります。今回は、この『地域や社会に誇れる会社にしたい』という課題について考えていきます。 『地域や社会に誇れる会社』は“生産性”を高める 『地域や社会に誇れる会社』となると、社内に次のようなことが起こると考えられます。まず、社員が自分の会社や仕事に対して誇りや自信を感じるようになります。そして、社員の心の中に、会社に対する所属意識が生まれ強くなっていきます。そうすると、社員それぞれが自分の行動に責任をもつことを意識するようになり、仕事だけでなくプライベート(勤務外)でも、社会人としてきちんとした行動を取るようになります。これは地域や社会に対して誠実な対応をしている会社に習って、それにふさわしい行動を取るべきだと考えるようになるからです。こうした行動ができるようになると当然、社会・地域やクライアントは、社員だけでなく会社に対しても良い印象を持つようになり、業務にまで良い影響を及ぼすこととなります。そうなると、地域や社会が、社員や会社を応援してくれたり、ちょっとしたステイタスとして尊敬や憧れの目を向けたりするようになります。このような環境の下、「働きたい」「働いてみたい」という人材が集まりやすくなり、良い人材を選択しやすくなります。リクルーティングにも良い影響が出てきます。『地域や社会に誇れる会社』は、一見、業務などに関係ないように思えますが、社員の意識改革から経営環境のベースを下支えして、最終的には業務やリクルーティングなどの企業活動に影響することになります。 『地域や社会に誇れる会社』にするための4つのポイント それでは、『地域や社会に誇れる会社』にするには、どうすれば良いのでしょう。地域はエリアの特性に、社会はその時々で変化する状況に応じて、それぞれ課題があります。『地域や社会に誇れる会社』にするには、その課題に合わせた支援活動を行うことが前提条件となります。“地域や社会がもつ課題や要望を解決する”、これが第1のポイントとなります。そして第2のポイントは“無理をしない”こと。無理をすると途中でとん挫してしまったり、どこかに手抜きやミスがうまれたり、中途半端な活動になってしまうので、かえって悪い影響を及ぼします。自分たちでできること、身の丈に合った範囲に収めておかないと、コストや手間が無駄に空回りして、活動自体が続かなくなります。続かない企業活動は「単発の活動」と認識されるので、地域や社会には「単なる人気取り」とか「気まぐれ」と思われてしまいます。地域や社会に対する活動は、あくまでも、長く継続することが重要で、継続することではじめて企業イメージとして定着していくことができます。“継続する”ことが第3のポイントになります。そして、この活動を社員に認識・理解してもらわないと、社員の意識改革につなげることができません。そのため、社員と地域社会の接点を設けることが必要で、そのためには社員が自主的に活動に参加できるようにすることが第4のポイントです。 『地域や社会に誇れる会社』にするために有効な社内イベント例 『地域や社会に誇れる会社』にするために有効な社内イベントとして最も代表的なものに「CSR活動」があります。ご存じのように“CSR”はCorporate Social Responsibilityの略で、“企業の社会的責任”と訳されています。様々な社会問題、地球環境や地域社会に向けた企業活動で、芸術や文化を支援するメセナ活動、寄付の実施や奨学金の設立、エコ活動などバリエーションがあります。しかし、専門体制や資金を導入する展開だけでなく、会社のコンセプトにマッチした地道な活動を目指すと、実施しやすくなります。例えば、PCやランドセルの地域に寄付、古着や在庫商品などを災害地や地元学校への寄贈、商品サンプルや余った備品などのチャリティセールです。他に「地域イベントへの参加、協賛」があります。具体的には、地域の“お祭り”に協賛することです。その協賛は、社名を参加者に提示する工夫をしたり、自社商品を景品として提供したり、協賛ブースを設けて運営支援したりするなど、さまざまな形式があります。また、地域の清掃、夜守り活動、通学の見守りなど、地域のもつ課題を解決したり、環境整備などを積極的に行ったりする「地域ボランティア」もあります。私の業界でいうと、イベントを開催する際に行う防災訓練などを、そのイベントを開催する自治体と共同で実施したり、社内だけでなく地域住民も助けるためのネットワークや社内体制を整えたりすることなどを実施しています。『地域や社会に誇れる会社』にするためのこれらの施策に、社員の参加する仕組みを取り込む方がより効果的です。地域や社会の課題や要望の中から、御社の社風や企業文化としてマッチする要素を探しだし、社員を巻き込んで展開できる活動を検討してください。

  • 2020.01.13
  • 実践ヒント

ダウンサイジングが経営課題となった現代

人本経営の実践が必須となる時代 1

「まったく日本人が来ない」 某有名企業の関連会社の採用担当者が、求人を出しても日本人が応募にすら来なくなっていると嘆いていました。この手の話は、ここ数年でよく聞くことが本当に多くなりました。いよいよ人手不足常態化社会となったわが国では、多くの企業で経営のあり方を見直していかざるを得ない段階に入ってきていると強く感じています。とにもかくにも、人が採用できなくなった会社では、現有メンバーが離職しないよう「社員が辞めない会社づくり」をしていかないと話にならなくなってきています。その有力な答えは、人を大切にする人本経営の不断の実践と、それに成功して企業体を生まれ変わらせることだということを、ますますもって強く確信するところです。しかし、人本経営の実現にはどうしてもある程度時間がかかります。会社が生まれ変わるために、今後、多くの企業で実践されていくであろうことが、企業規模の適正化への取り組みということになるのではないでしょうか。 いかに適正にダウンサイジングさせていくか 2017年、ヤマト運輸は業構造改革案を発表しました。「社員がイキイキと働ける職場を作り直し、社員の満足を高めていくこと」が最優先事項であると銘打たれ、それまでの低価格、大口優先、過剰サービスで拡大してきた経営のあり方を抜本的に見直すと宣言しました。実際、最大手顧客であったアマゾンとの取引を停止し、値上げ交渉を断行していきました。これまでの経営感覚からは大きく軌道を修正したと認識出来ました。その後、実に多くの企業で同様の取り組みが行われ、日本の企業社会で、まさしく音を立てて変革が進んでいるといってよい状況です。経済の最先端である物流の最大手ヤマト運輸が人手不足で売上拡大路線是正の取り組みを断行し始めたという象徴的な出来事でしたが、他にも営業時間の短縮、年末年始を休業にする飲食店や商店、24時間営業の見直しを考え始めたコンビニなど、関連するニュースが増えています。適正規模へダウンサイズしていくことを、これからの時代に経営者は求められてきているのです。 企業社会が変質し始めたことは疑いようがない 大きいことはいいことだ、拡大再生産が是であると、経済社会はある意味疑いのない神話で成り立ってきました。しかし、ここに至って持続可能性を高めるためには、それが絶対解ではないという認識が先見のある経営者には広がっています。人本経営の要である、急成長ではなく安定成長による年輪経営が、期せずして社会的要請になってきたのです。ここ数年の対応が、その先の企業の栄枯盛衰を決するといって過言ではない状況です。業績軸から人本軸へ、この1年で企業社会が変質し始めたことは疑いようがありません。問題は、この経営改革の道を踏み外さないことです。長時間労働を前提とせず、現有人員体制で適正労働時間による企業経営をゴーイングコンサーンできる体制を再構築していくことが多くの企業で経営課題となっています。 月平均残業20時間程度をベースに再生の道を探る これからは長時間労働を前提にして現状の企業経営状況を続けていては、早晩、社員の離職を誘発していくことは確実で、もはや不可能です。よって月平均残業20時間程度をベースにして、企業規模をダウンサイズしていくことが必要になってくる企業はとても多くなると予測されます。極力残業をなくし、家庭と仕事を両立していく企業風土を人本経営によって確立していくことです。それが功を奏して、社員の生きがい、働きがいを高めていくことが出来れば、社風はよくなり、やがてその雰囲気のよさに触れて、新規募集者を確実に採用できるようになっていくはずです。 リストラを伴うダウンサイジングは破滅をもたらす いい会社に生まれ変わるために、それまで進めてきた売上至上主義の拡大志向の経営のあり方を改めていくことは、物事の発想が真逆となるので容易なことではありません。その際、決して安易に実行してはならないのがリストラです。人手不足で経営の持続可能性が下がっているところで社員のリストラをするようでは、この先取り返しがつかないことになるでしょう。しかし、今、金融業界で恐ろしいことが起きようとしています。 「銀行が消える日」がやってくる。ついに大手銀行が大規模リストラへ(日経ビジネスonline) みずほ銀行の支店など、国内拠点の2割に当たる約100店舗を削減、2026年度末までにグループの従業員を1万9000人減らす方針と報じられました。また、三菱UFJフィナンシャルグループも2023年度末までに9500人分の業務量を削減、三井住友フィナンシャルグループも2019年度末までに4000人分の業務量を削減する、としています。業務量の削減とは、またなんと姑息な言い回しでしょうか。長く続くマイナス金利で、もはやこれまでの伝統的な銀行業務が急速に儲からなくなっていることが原因だといいます。明治維新、戦前戦後に次ぐ新たな70年周期として、資本主義から人本主義への時代変化が起きていることをお伝えしてきました。そして、かつて殿様や大日本帝国が滅んだように、それまで世の中の支配的だった存在が失われるのでは、と指摘していましたが、その正体がいよいよ見え始めてきたのかもしれません。

  • 2020.01.13
  • 実践ヒント

今、改めて”働き方改革”を経営者に問う

人本経営の実践が必須となる時代 2

あの頃に似ている・・・昨今の「働き方改革」関連の動向で、各企業の動きを報じるニュースや出来事を見知るにつけ、そう感じるようになってきました。 あの東日本大震災で、巨大津波が原発を破壊し、わが国はエネルギー危機に陥りました。企業へは省エネ協力の大号令がかかり、とくに東日本の会社は競って消灯し、昼でも薄暗いオフィスがそこここと出現しました。まるで日本中が、社内の蛍光灯一本ずつ消点灯ができるように徹底して節約していた未来工業のような会社ばかりになってしまいました(笑)。 その後、エネルギーの供給状況は改善されていきましたが、その後も薄暗いオフィスでいる会社が存在し続けています。緊急時の省エネへの協力という目的は終えたのに、環境にいいから節電と称して続けている訳です。なんのことはない、こりゃいいコストダウンになると経営者が好い目を見ているという構図です。 今、政府が「働き方改革」を旗振り、長時間労働の抑制が社会的要請事項になってきました。そこで、強制的に電源をシャットアウトして残業ができないオフィスが増えてきているようです。今、改めて経営者に尋ねたいのです。 「電源を切る目的は何ですか?」 まさか、残業代のコストダウンが実現するいい口実が出来たと思っていませんよね?受注業務量の見直しや、新規採用、適材適所の配置などといった合理的配慮をせず、社会的ムーブメントだからとただ残業禁止にしていては、「働き方改革」でもなんでもなく、「働き方破壊」になってしまいます。「それを実現していけば、社員の幸福感が増大する」ようでなければ、「働き方改革」は意味がありません。 「何故、長時間労働を是正するのですか?」 幸福の礎である家庭生活を十分に過ごせる時間をつくるためです。また、仕事漬けでなく多様な見識を身につけてもらうためのプライベート時間を社員に与えるためです。定時で会社を出された社員がカフェで仕事を継続していたら意味がありません。また家庭に戻っても居場所がないというような人間力のない社員や、余暇を無駄に費やすだけの社員が多いとしたら、それまでの人づくりが間違っていたのではないでしょうか。 「何故、育児休業や介護休業制度を充実させるのですか?」 幸福の礎である家庭の事情を仕事の都合よりも優先していい、という企業風土を育てるためです。 いかに制度が充実したとしても、活用しにくい職場であれば意味がありません。また、休業することは権利だと言わんばかりに行使して、周りの状況を慮ることができずに周りと軋轢を生んでしまう社員がいるとしたら、利他の心を育む職場づくりへの思いが足りなかったのではないでしょうか。もしかすると、それ以前に社員との対話の時間が少なすぎたのかもしれません。 「何故、定年後の社員を継続雇用するのですか?」 数ある会社のなかで当社を選び、長年貢献してくれたことに対して感謝の念を表し、本人が納得できるまで職業人生を全うして人としての尊厳を感じてもらうためです。 法律で決まっているからなどという短絡的な理由では、せっかくの継続雇用が台無しになります。施しで定年後の雇用を実施しているような感覚は、すべての社員が敏感に感じることでしょう。本当にこの会社で勤め上げられて人生が充実していたと年老いた社員が心から感じるような会社をつくることで永続が実現します。 当サイトをご覧くださっている皆様へ提言があります。「働き方改革」という言葉を死語にしていきましょう。この言葉の導線で、幸福感が増大する会社がわが国に増えるという結果になりえないと判断できるようになってきたからです。代わりに「わが子を就職させたくなる『いい会社』づくり全社運動」と銘打って、全社員が関わる経営改革を提唱したいと考えます。要は人本経営の実践なのですが、全社員にとって「自分ごと」として捉えられるキャッチフレーズだと思います。いかがでしょうか。