社員満足を上げ、働きがいのある会社へ「元気な会社をつくるプロジェクト」

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件数:109件
  • 2020.01.13
  • 実践ヒント

業績軸からの脱却の実現

いい会社づくり、何から始めるか 5

人本経営について語ると、それは収益的に余裕がある会社だからできることというご意見をいただくことがあります。その通りです。逆に言うならば、収益性のあるビジネスモデルをつくり、実践しているから人本経営を行うことが出来るのです。人本経営うんぬん以前に、経営をしているのですから、稼いで儲けることは当然に出来ていないと話になりません。それを余裕がないからと一蹴していては永遠に今の状況から抜け出すことはできないでしょう。 現在の職業でさらに幸福感を増大させる方向を考える 景況感がどうあれ、社会から選ばれる、必要とされる存在になることこそが唯一の結論です。浮かれずに、どんなことで、今、潮流がやってきている人本主義社会が求める必要性に応えていくかを考え抜いて、職業人生を全うしていきましょう。ヒントは幸福感の増大です。今の職業で関わるステークホルダーの幸福感を増大させていくためには、どのような仕事をしていけばよいのか、考えるのです。掃除屋に勤めていると知られるのが嫌で社名を公言できなかった社員たちが、今では社名を名乗ることを誇りにしているのが四国管財、さんびる、ベルです。ビルメンテナンス業界で輝くこの3社、経営のあり方は本当にそっくりです。社員たちが会社に誇りを持てるための取り組みを一つ一つ丁寧に実践していきました。ベルの奥社長は「(人本経営の実践で)結果は出るかわからないけれども信じて行った。」と回想されています。 業績軸からの脱却を一日も早く実現する 今の時代、業績軸で他社と比較していても大きな成果は期待できません。必ず価格競争がつきまとうからです。ビルメンテナンスは外注先ビジネスで価格競争をさせられやすいのですが、前述の3社はいずれも口コミで業績を伸ばしていきました。お客様に「あの会社はいい」と口にさせるには、何が必要なのでしょう。役立つ、美味しい、面白い、楽しい、うれしい、いい感じ、成長できる、なくなってもらっては困る、ありがたい、調子いい、元気になる、感動する、親切、あったかい、やさしい…このようなステークホルダーを笑顔にする源泉が幸福感の増大につながります。今の仕事でそれが実現できるのはどういう時ですか。今、収益を生んでいなくともかまいません。こんな仕事だったら実現できるかもしれない、とイメージできるようでしたら、それを形にしていく現状打破をしていきましょう。その際、業界の常識に惑わされないことが大事です。業績軸から一日も早く脱却して、幸せ軸できれいごとを徹底していくこと――間違いなく、これがこれからの時代に持続可能性を高める経営を実現するための本質と断言いたします。

  • 2020.01.13
  • 実践ヒント

対話を深め関係の質を高め続ける

いい会社づくり、何から始めるか 4

普通の状態の会社になるまでは、ある程度トップの強権発動をする必要がありますが、社風をよくして、やらされ感のない社員を輩出していくためには、どこかのタイミングで人本経営に舵を切る必要があります。言われたことをやるだけの社員から、自分の仕事にプライドを持つ社員へ育成していくために社員の個を認める会社づくりを始めていきます。そのために大切なことは対話の促進です。 本音を引き出す対話を実現するために 茨城県を中心に人気ファミリーレストランを展開している坂東太郎。やはり当初は苦労が絶えませんでした。青谷洋治社長は、親孝行という経営理念を掲げ、いい会社づくりをしようと考えていました。業績は急成長しましたが、離職者が後を絶たない職場になってしまい、皆を幸せにしているつもりだったのに、そうではないから 社員たちが辞めていくと悟り、心を入れ替えます。社員たちに本当に申し訳なかったという気持ちで向き 合い、膝を交えて素直に皆のことについて聞くために社長塾を開催していきました。3日間、全社員と対話するのです。社長にモノを言える日であり、青谷社長はとても緊張すると語られていました。人本経営を志す経営者は、社員との対話がとても大事だと気づき、そのアプローチをしていきます。しかし、本音を引き出すことはなかなか容易ではありません。どうすれば社員と本音で語り合うような対話ができるのか、青谷社長に尋ねてみました。返ってきた答えはこうでした。「確かに、むずかしいこと。本気で近づくために社員の家庭を訪ねたり、逆に自宅に呼んだり、家族ぐるみで社員たちと関わるようにしていった。」社員一人ひとりの家庭環境を知り、その社員は家族のことでどんな喜怒哀楽があるのかを知ったうえで声掛けをしていくのです。自分自身のことについて、ああでもない、こうでもないと言われることについてはあまり心に響かない社員でも、自分の家族のことについて、我が事のように 社長が喜んでくれたり、悲しんでくれたりしたら、確かに感じ入るだろうと思わされました。琴線に触れる、という感覚でしょうか。そんな場面があると、社員は「社長は本当に親身になってくれている」と感謝の念が湧いてきて、開襟しやすい状態になることでしょう。 人本経営は関係の質を高め続けていくこと 実践ヒント4「やらされ感のない職場を作るには」で紹介したように、仕事の結果には、組織内の人同士、あるいは組織と人との関わりの質が大きく影響を及ぼしています。相手との関係の質が向上すると、その相手ともっとよりよい関係性を築いていきたいと思考の質が向上していきます。思考の質が向上するから行動がよりよく変化してきます。この結果、以前よりも良い状況が生まれ、さらに関係の質が高められていきます。人本経営は突き詰めれば、関係の質を高め続けていく経営ということか出来ます。そしてこのことを続けていくと職場の空気感がよくなっていくのです。ある会社の社長が語っていました。「人本経営を志して行ったら、入浴剤を風呂に入れたときにお湯の色がみるみる変わるように、会社の空気感かよくなっていったように感じた。」この体験をぜひとも多くの方に味わっていただきたいと念じています。

  • 2020.01.13
  • 実践ヒント

挨拶など当たり前のことか出来る普通の会社にする

いい会社づくり、何から始めるか 3

トップ、リーダーが本気の決断ができたら、次は同志である社員へ向き合うことです。いい会社をつくりあげた経営者に「御社のようになっていくために何から始めたらいいでしょう?」と尋ねると、「掃除と挨拶かな」と返ってくることが少なくありません。それほど基本なのだと感じます。 社員一人ひとりの意識を高める 乱雑で掃除も行き届いていないような職場の中では、よりよくしていこうという動機が働かないのは自明でしょう。いい会社を視察に行って、職場が汚いと思ったことは一度もありません。それどころか、まさしく整理、整頓、清潔、清掃が行き届いていて、ピカピカの職場環境を維持することへの努力を怠っていないということに目が奪われます。いわゆる5Sでは続いて「躾」となるわけですが、その会社を訪問して素晴らしい職場環境だと感心させられていると、決まって応対してくださる社員さんの笑顔や立ち振る舞いに「さすが」と唸らされていくのがパターンです。社員一人ひとりが人としての礼節を欠かさずに行動できるレベルに人間力を整えることです。実はこれはけっこう大変なハードルである場合があります。なにしろ、これまで幸せ軸の職場づくりをしている会社であることをメッセージして採用をしてきた訳ではないので、それに対する価値観が合っていないまま採用されて現在に至っている可能性があるのです。挨拶?清掃?仕事はきちんとしているんだからいいだろうという態度でいる社員に対する再教育が必要になります。 荒療治が必要な時もある 今では地域になくてはならない企業へと成長した埼玉県の石坂産業ですが、現在の石坂典子社長が就任した時は、経営危機に加えて挨拶もろくに出来ない社員たちが大勢いました。暗くて汚い会社を元気でまともな会社にしたいと考えた石坂社長は、やさしくする前に厳しく社員に接していきました。石坂社長就任時は、いわゆる世間で想定される旧態依然とした産廃業者のイメージが色濃く残っていました。そこでまずは基本的な躾を励行できる体質の会社へ変革を始めていきました。 挨拶の徹底などトップダウンで厳格な社内ルール化を施し社員へ実践を投げかけていきました。従わない社員が続出し退職者する者も少なくなかったと回想されています。全員が幸せ軸の素晴らしさに気づいて、行動変革を自発的にしてもらうことが理想ですが、場合によっては同社のようなファーストコンタクトも必要になるかもしれません。古い仕組み、体質、悪い習慣を例外なく整理対象としていったそうです。現場で作業している社員ができるようになったらルールが浸透したと判断していったそうです。ただ一方的に強権発動していった訳ではありません。経営改革に当たっては社員に何でも云ってほしいと石坂社長は考えました。そして嫌だと思っていることを一つ一つ改善していくという姿勢で臨みました。本気で社員と共に幸せな会社をつくりたいという気持ちがぶれなければ、共感共鳴してくれる社員たち必ず行動を共にするようになっていきます。