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「メンタルケアを実践するには」2      働き方の転換が「幸せ軸」の鍵

「メンタルケアを実践するには」2      働き方の転換が「幸せ軸」の鍵

メンタル不調の問題が注目を集め始めたのは’90年代に入ってからです。’97年には自殺者が3万人を超えます。’80年代を経験されている方であればお分かりかもしれませんが、’80年代は日本経済はまだ好調でした。しかし昭和のバブルがはじけ‘90年代に入り多くの日本企業は人件費を縮小するために、成果主義、年功序列廃止、終身雇用廃止、リストラなどの、いわゆる勝ち組、負け組が強調された米国型マネジメントを導入するようになります。

 メンタル不調の問題が大きく注目されるようになったのは、このあたりからです。

 

 実はこうした環境変化がもちろんメンタル不調者多発の一因ですが、ここではもう一つの要因に触れたいと思います。それは、21世紀に入り「私たち自身の働き方、生き方の変化」がもとめられてきた、という点です。

 

働き方=生き方を変化させることができた人は、メンタル不調にはならない

 

 私たち日本人は(実は日本人じゃなくてもそうなのですが)、周りの顔色をうかがい、周りに嫌われないよう自分自身の動き方を決めようとする傾向が強い民族です。周りから認めてもらえることを第一に考えてそれに沿った生き方・働き方をすることを筑波大学名誉教授・宗像恒次博士は、「他者報酬追求型」の生き方・働き方と定義しています。

 一方、周りの評価を得られるかどうかにかかわらず自分自身を満足させることや、また他者に無条件に貢献できるかどうかという点を優先して考え行動する生き方・働き方を「自己報酬追求型」と定義しています。

 

 私たちは20世紀までは、他者報酬追求型の生き方・働き方をしていれば社会の中で成功できました。周りの目や世間体を重んじ受験競争で勝ちすすみ、良い大学に入り名のある会社に入り、そして地位や名誉を得るために収入を向上させようとがんばる。常に成功は他者より「上か下か」という基準の中にあり、これは他者に評価されるかどうかが「幸せ」であるかどうかを決めるとした生き方・働き方(他者報酬追求型)であったわけです。

 仕事は、慣例を重視し他社(者)模倣をすることが大事で上司に評価されるかどうかがすべてですから、よく言われる「ヒラメ型社員」が出世の要件でした。

 しかし’90年代以降、評価されたいと頑張ってもポストがなかったり収入アップは必ずしも約束されるわけでもなく、ひどい場合は減給、降格、リストラなどは普通のことのように行われるようになりました。「他者に認められたい」という欲求が強ければ強いほど傷つきやすく、認められなかったときにメンタル不調になるのです。

 また’90年以降は、消費者ニーズが個別化するようになったため、ビジネスマンに求められる資質は、慣例よりも独創であり、左脳(ルール重視)よりも右脳(直感)であり、従順型よりも発信型であり、前例を守って問題なく無難に行う能力よりも試行錯誤して問題を起こしながらもたくましく道を切り開いていく能力、なのです。

 何が言いたいかというと、周りの顔色をうかがいながらそれに沿うという生き方・働き方が身についてしまっている人々にとっては、今の時代はそのままでは非常にストレスを感じてしまう世の中になってしまったのです。人の評価を一番の重大な関心事にしていては世の中に貢献できないのです。自分から発信・自己表現することが求められるようになったからです。

 

自分の中に「幸せ・喜び」が残るかどうかがポイント

 

 「認めてもらえるかどうか」は、相手が決めることで本来自分にはどうすることもできないことです。しかしそこをどうしても優先しようとすると、たとえ運よく勝ち組になったとしても常に「焦燥感」や「不安」にさいなまされるメンタルリスクの高い生き方・働き方となるのです。逆に人の評価はどうあれ、自分自身を満足させる生き方・働き方、または無条件に他者に貢献することを優先する生き方・働き方は、たとえ周りから評価されなかったとしても自分自身の中に「幸せ・喜び」が残るのです。

他人の評価があろうとなかろうとそれほど傷つかないため、メンタル不調にはならないのです。

仕事とは認められて報酬をいただくことで他者評価は必要なのですが、重要なのは順番を間違えないということです。自分を満足させることや他者に貢献することを第一義的に追及していく中で、自分自身の能力や実力が高まり、その結果としてお客様に評価していただき報酬が得られる。こういう仕事観がメンタルに強い社員を育てますし、単にメンタルの問題だけではなく仕事のパフォーマンスをも高めることになるのです。

 

さて、実は「他者報酬追求型」の生き方・働き方を「自己報酬追求型」の生き方・働き方に変化させようとしたときに、簡単にすぐそう切り替えられる人と、頭では分かってもなかなかできない人、がいます。次回の原稿では、自己報酬追求型の生き方・働き方を実践できる社員を育てるために、経営者として何をすればよいのかということについて書いてみたいと思います。

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