社員満足を上げ、働きがいのある会社へ「元気な会社をつくるプロジェクト」
  • 2020.01.13
  • 実践ヒント〜人本経営を実現させるには〜

社員が協力しあえる会社にしたい

目指す会社に育てる社内イベント 4

社員が協力しあうのは、会社として当然のことだと思われるかもしれません。しかし、社員の立場とすると、上司や先輩、同僚に協力を求めることは、遠慮や気兼ねしたり、自分の評価に影響するのではないかと懸念したりするのも多いものです。そうなると、自分だけで何とかしようとして、トラブルをより大きくしてしまうケースが多くなります。
逆に、助ける側の社員にとっては、口をはさみすぎると「うるさい」と思われるのではないかと警戒しますし、「任せた以上、相談に来るまでは助けない方が良いのではないか」と人材育成の視点でためらうこともあります。それぞれの立場のハードルを低くするということは、全社的な意識や社内環境を整える必要があるので、『社員が協力しあえる会社にしたい』という目標は、意外と実現しにくい一面もあります。
今回は、それ自体は当然のことですが、実現しにくい一面もある『社員が協力しあえる会社にしたい』について、考えていきましょう。

『社員が協力しあえる会社』は社内の生産性を高める

ところで、『社員が協力しあえる会社』になると、どのようなメリットが社内に起こるのでしょうか。具体的にイメージしていきましょう。
『社員が協力しあえる会社』では、先に述べたように助けられる側と助ける側の立場のハードルを低くする必要があるので、ヘルプを求めやすい環境であると共に、助け船を出しやすい環境が整える必要があります。そのため、部内の上下関係や、部署間の隔たりは小さくして、ささいなことでも話したり、声をかけたりする習慣をつくることが重要となります。
これで、社員間の情報のやり取りが盛んになり、社員それぞれの仕事の内容やその進捗状況、仕事に影響する可能性があるプライベートの事情なども共有されます。そのため、助けが必要なタイミングかどうかを思い図ることができますし、事前に諸事情を話しているので相談しても問題ないという意識が生まれます。また、この社員間の関係が構築できると、繁忙期の社内でもピリピリした空気はなくなり、どこか余裕のある雰囲気に変わります。こうして社風や企業文化が築かれ、働きたい会社としての評価が高まり、リクルーティングの際にも良い人材が集まるので、その効果が“正のスパイラル”で高まります。
さらに、社内環境としてお互いの業務の状況が把握できる“場”を設けたり、業務状況の確認ができるシステムの導入などで“見える化“を進めたりして、体制を整える企業も少なくありません。
こうして培われた『社員が協力しあえる会社』では、互いに協力しあうことで、仕事のミス、トラブル、ロスが少なくなり、会社としての生産性が上がることになります。そして、仕事のクオリティ管理を徹底させることで、会社としての信頼が高まり、顧客満足も高まります。

『社員が協力しあえる会社』には“意識改革”がカギ

さて、『社員が協力しあえる会社』にするには、どうすれば実現できるのでしょうか。それには全社的な“意識改革”がカギとなります。要は「早めに相談した方が良い」「助けるのは当たり前」という意識を、社員の中にいかに根付かせるかが重要なのです。
この“意識改革”を実現させるには、単に社員に呼びかけるだけでなく、社内体制を具体的に変えていく必要があります。ざっくばらんに相談できる“場”つくりを、社内の仕組みとして構築したり、互いの状況を知る機会を設けたりすることは、その代表的な例です。
社内の評価では、それぞれの仕事の売上や利益などの業績を評価するだけではなく、その仕事の中で起きたトラブルをどのように回避したか、その際に「助けた」「助け合った」過程の情報を吸い上げて、それを評価することが必要です。これを継続することで「助ける」「助けられる」ことが日常となり、社内の“意識改革”が実現されることになります。

『社員が協力しあえる会社』にするために有効な社内イベント例

『社員が協力しあえる会社』にするために有効な社内イベントは、意外と地道な展開です。例えば、ランチ会、同期会などの会合を定期的に開催。この際は、社内の小さい単位で情報交流を行う方が、情報交換する効果が高まります。
社内の上下関係に関係なく参加できたり、部署間の交流が図れたりする社内イベントも、この体制を強化するのに効果的です。具体的には、「運動会」、ボーリング大会やカラオケ大会などの「社内レクレーション」があります。
全社的な仕組みとしては、「業務報告会」や業務報告書などの「データベース化」が有効です。定期的な社内イベントとして、「事例共有」を行い、成功事例や失敗事例を共有するのも良いでしょう。特に、トラブルをどのように回避できたかを情報収集することは、「協力しあえた」良い事例としても有効です。また、似たようなトラブルでは「誰に相談すれば良いのか」を社内で共有できるので、より効果的に対処できるようになります。また、失敗事例を共有することも重要で、どのようなトラブルがあるのか、今後どのように対処すれば良いのかを考える機会として活用できます。
先に述べたように「表彰式の開催」では、業績評価だけではなくサポートした過程も評価することをルール化することがポイントです。このように評価することで、助け合うことで業績に関係なく評価されることが定着すると、より助けあえる会社に近づけます。
『社員が協力しあえる会社』にするために有効な社内イベントは、意外と身近な内容です。地道な展開を継続することで、社風や企業文化として蓄積できるようにしましょう。そうすれば、一気に変えることは難しいでしょうが、徐々に社内の意識に変化がみられるはずです。

執筆者:松宮 洋昌

株式会社イベント・レンジャーズ代表取締役。
「シャカイの課題」や「カイシャの課題」をイベントを通じ解決することをミッションとしている。
「シャカイ」や「カイシャ」の課題の多くは。コミュニケーションの問題によるところが多い。
経営の想い、社員の想いなどをイベントを通じ共感することで、組織が劇的に成長することも多い。
そんなイベントのデザインを得意とする。