社員満足を上げ、働きがいのある会社へ「元気な会社をつくるプロジェクト」
  • 2020.01.13
  • 実践ヒント〜人本経営を実現させるには〜

業績軸からの脱却の実現

いい会社づくり、何から始めるか 5

人本経営について語ると、それは収益的に余裕がある会社だからできることというご意見をいただくことがあります。その通りです。逆に言うならば、収益性のあるビジネスモデルをつくり、実践しているから人本経営を行うことが出来るのです。
人本経営うんぬん以前に、経営をしているのですから、稼いで儲けることは当然に出来ていないと話になりません。それを余裕がないからと一蹴していては永遠に今の状況から抜け出すことはできないでしょう。

現在の職業でさらに幸福感を増大させる方向を考える

景況感がどうあれ、社会から選ばれる、必要とされる存在になることこそが唯一の結論です。浮かれずに、どんなことで、今、潮流がやってきている人本主義社会が求める必要性に応えていくかを考え抜いて、職業人生を全うしていきましょう。
ヒントは幸福感の増大です。今の職業で関わるステークホルダーの幸福感を増大させていくためには、どのような仕事をしていけばよいのか、考えるのです。
掃除屋に勤めていると知られるのが嫌で社名を公言できなかった社員たちが、今では社名を名乗ることを誇りにしているのが四国管財、さんびる、ベルです。ビルメンテナンス業界で輝くこの3社、経営のあり方は本当にそっくりです。
社員たちが会社に誇りを持てるための取り組みを一つ一つ丁寧に実践していきました。ベルの奥社長は「(人本経営の実践で)結果は出るかわからないけれども信じて行った。」と回想されています。

業績軸からの脱却を一日も早く実現する

今の時代、業績軸で他社と比較していても大きな成果は期待できません。必ず価格競争がつきまとうからです。ビルメンテナンスは外注先ビジネスで価格競争をさせられやすいのですが、前述の3社はいずれも口コミで業績を伸ばしていきました。
お客様に「あの会社はいい」と口にさせるには、何が必要なのでしょう。
役立つ、美味しい、面白い、楽しい、うれしい、いい感じ、成長できる、なくなってもらっては困る、ありがたい、調子いい、元気になる、感動する、親切、あったかい、やさしい…
このようなステークホルダーを笑顔にする源泉が幸福感の増大につながります。
今の仕事でそれが実現できるのはどういう時ですか。
今、収益を生んでいなくともかまいません。こんな仕事だったら実現できるかもしれない、とイメージできるようでしたら、それを形にしていく現状打破をしていきましょう。その際、業界の常識に惑わされないことが大事です。
業績軸から一日も早く脱却して、幸せ軸できれいごとを徹底していくこと――間違いなく、これがこれからの時代に持続可能性を高める経営を実現するための本質と断言いたします。

執筆者:小林 秀司

株式会社シェアードバリュー・コーポレーション代表取締役。
人を大切にする「いい会社」づくりのトータルプロフェッショナル。内閣府認定
「地域活性化伝道師」。
社会保険労務士。法政大学大学院中小企業研究所特任研究員。企業内で行う「社風をよくする研修」
の実践を得意とする。また行政機関でも多くの講演実績がある。
著書に「人本経営」(NaNaブックス)、「元気な社員がいる会社のつくり方」(アチーブメント出版)等がある。