社員満足を上げ、働きがいのある会社へ「元気な会社をつくるプロジェクト」
  • 2020.01.12
  • 実践ヒント〜人本経営を実現させるには〜

社員たちが自発性を発揮するために

やらされ感のない職場を作るには 5

多くの人本経営に成功している会社ではフラットな組織をつくり、役職呼称をやめ「さん」づけで呼び、リーダーは管理ではなく支援することが役割である、といった取り組みをしています。

人本経営に成功している会社がしていることの意味するところ

この意味するところは、いい人間関係をつくるための環境づくりをしていることに他ならない、ということです。会社組織内が、旧来の業績軸の企業で多く見られたピラミッド組織による上位下達の関係性が強い場合には、業務命令が当たり前のようにつきまといます。社員たちは歯車の一つとなって、作業を黙々とこなしていきます。大量生産を効率的に実現するには、ありえるマネジメント手法です。
しかし、わが国は物質的な豊かさを追求した時代はとうに去っているのです。豊かさが満たされ多様なニーズが生じています。そうしたニーズに的確に応えるのには画一的なトップダウンでは不可能です。現場で顧客に向き合っている社員一人ひとりが、どうすればもっと役に立てるか、必要とされるようになるかを思考して行動していくことに尽きます。社員が主人公となり、自発的に心のこもったサービス、商品開発をしていく組織がこれからの時代に求められています。
人本経営で最も、これまでの経営と差異が出てくるのは、会社と社員が労使関係から同志関係へと質的な変化が起きてくるということです。

社員たちが自発性を発揮するために

なぜ、スタッフは、あんなに楽しそうに、夢中になって働くのかと自発性に優れた社員育成に成功し注目される埼玉を中心にビジネスホテルを展開するグリーンコアの金子佑子社長は語ります。
「社員たちが自発性を発揮するためには、『信頼されている』『受け入れられている』『関心をもたれている』状態をつくることが必須で、それを社員が感じて、自発性のスイッチを本人たちが入れる。業務命令では、自発性は絶対に生まれない。」
マネジメントはけっして部下と闘うことではなく、スタッフの行動が次へ繋がるように環境を整えることだと悟り、丁寧に社員との対話を繰り返していった結果、強い信頼感が経営者とスタッフの間に生まれたといいます。

執筆者:小林 秀司

株式会社シェアードバリュー・コーポレーション代表取締役。
人を大切にする「いい会社」づくりのトータルプロフェッショナル。内閣府認定
「地域活性化伝道師」。
社会保険労務士。法政大学大学院中小企業研究所特任研究員。企業内で行う「社風をよくする研修」
の実践を得意とする。また行政機関でも多くの講演実績がある。
著書に「人本経営」(NaNaブックス)、「元気な社員がいる会社のつくり方」(アチーブメント出版)等がある。