社員満足を上げ、働きがいのある会社へ「元気な会社をつくるプロジェクト」
  • 2020.01.13
  • 実践ヒント〜人本経営を実現させるには〜

対話を深め関係の質を高め続ける

いい会社づくり、何から始めるか 4

普通の状態の会社になるまでは、ある程度トップの強権発動をする必要がありますが、社風をよくして、やらされ感のない社員を輩出していくためには、どこかのタイミングで人本経営に舵を切る必要があります。言われたことをやるだけの社員から、自分の仕事にプライドを持つ社員へ育成していくために社員の個を認める会社づくりを始めていきます。
そのために大切なことは対話の促進です。

本音を引き出す対話を実現するために

茨城県を中心に人気ファミリーレストランを展開している坂東太郎。やはり当初は苦労が絶えませんでした。青谷洋治社長は、親孝行という経営理念を掲げ、いい会社づくりをしようと考えていました。業績は急成長しましたが、離職者が後を絶たない職場になってしまい、皆を幸せにしているつもりだったのに、そうではないから 社員たちが辞めていくと悟り、心を入れ替えます。
社員たちに本当に申し訳なかったという気持ちで向き 合い、膝を交えて素直に皆のことについて聞くために社長塾を開催していきました。3日間、全社員と対話するのです。社長にモノを言える日であり、青谷社長はとても緊張すると語られていました。
人本経営を志す経営者は、社員との対話がとても大事だと気づき、そのアプローチをしていきます。しかし、本音を引き出すことはなかなか容易ではありません。
どうすれば社員と本音で語り合うような対話ができるのか、青谷社長に尋ねてみました。
返ってきた答えはこうでした。
「確かに、むずかしいこと。本気で近づくために社員の家庭を訪ねたり、逆に自宅に呼んだり、家族ぐるみで社員たちと関わるようにしていった。」
社員一人ひとりの家庭環境を知り、その社員は家族のことでどんな喜怒哀楽があるのかを知ったうえで声掛けをしていくのです。自分自身のことについて、ああでもない、こうでもないと言われることについてはあまり心に響かない社員でも、自分の家族のことについて、我が事のように 社長が喜んでくれたり、悲しんでくれたりしたら、確かに感じ入るだろうと思わされました。
琴線に触れる、という感覚でしょうか。そんな場面があると、社員は「社長は本当に親身になってくれている」と感謝の念が湧いてきて、開襟しやすい状態になることでしょう。

人本経営は関係の質を高め続けていくこと

実践ヒント4「やらされ感のない職場を作るには」で紹介したように、仕事の結果には、組織内の人同士、あるいは組織と人との関わりの質が大きく影響を及ぼしています。
相手との関係の質が向上すると、その相手ともっとよりよい関係性を築いていきたいと思考の質が向上していきます。思考の質が向上するから行動がよりよく変化してきます。この結果、以前よりも良い状況が生まれ、さらに関係の質が高められていきます。
人本経営は突き詰めれば、関係の質を高め続けていく経営ということか出来ます。そしてこのことを続けていくと職場の空気感がよくなっていくのです。
ある会社の社長が語っていました。
「人本経営を志して行ったら、入浴剤を風呂に入れたときにお湯の色がみるみる変わるように、会社の空気感かよくなっていったように感じた。」
この体験をぜひとも多くの方に味わっていただきたいと念じています。

執筆者:小林 秀司

株式会社シェアードバリュー・コーポレーション代表取締役。
人を大切にする「いい会社」づくりのトータルプロフェッショナル。内閣府認定
「地域活性化伝道師」。
社会保険労務士。法政大学大学院中小企業研究所特任研究員。企業内で行う「社風をよくする研修」
の実践を得意とする。また行政機関でも多くの講演実績がある。
著書に「人本経営」(NaNaブックス)、「元気な社員がいる会社のつくり方」(アチーブメント出版)等がある。