社員満足を上げ、働きがいのある会社へ「元気な会社をつくるプロジェクト」
  • 2020.01.13
  • 実践ヒント〜人本経営を実現させるには〜

事例d:記念イベント

会社を元気にする周年事業 6

多くの企業で行われる周年事業の1つに、記念イベントがあります。タイミングが周年という“シバリ”があるだけで、実施目的や参加対象、内容、実施スタイルなど、企業によって異なります。そこで、弊社では社員有志を対象に、稲刈りを記念イベントとして実施して、そこで収穫されたコメを社員やパートナーに配布したいと考えています。

記念イベントのテーマにはこだわりたい

せっかく記念イベントを行うのであれば、単なる打ち上げ花火的にイベントを開催するだけでなく、参加者の心に何らかの印象が残る内容にしたいものです。インパクトも重要ですが、その企業の周年事業にふさわしいテーマであることがポイントとなります。例えば、業務領域の延長であったり、事業の原点であったり、これまであるいは今後、会社のウリにしたいことであったり、テーマへの“こだわり”はさまざま考えられるはずです。
弊社では、毎年、地域活性イベントを業務として行っており、地域特産品をお年賀に活用しています。直近では、昨年のぬれせんべい、今年はお米を配布した実績があります。また、このプロジェクトのベンチマークで紹介された株式会社リラクでも、社員に米を送ることを福利厚生として行っていることを知り、社員を大切にする企業姿勢を打ち出す方法で主食を贈ることもありだと気づきました。そのため、周年事業の記念イベントとして、弊社では稲作をイベント化することにしました。

周年事業だからこそ準備期間は長く持てる

実はそのために、今年から山梨県北杜市の農家と契約して、準備を進めてきました。10月に稲刈りを記念イベントにするために、4月の種づくり、5月に田植え、6月には草取りを行いました。まだ、その段階では記念イベントに確定していなかったので、社長の私と家族、そして関係者有志のみで準備を行ってきました。なお、記念イベントとして10月に収穫を行う際には、社員やその家族などに参加してもらうことを想定しています。
確かに、これまでの準備期間の農作業だけでも手間は大変でした。だからこそ、農業の大変さや大切さが実感でき、成果である作物を得るためには大変な努力が必要だと学ぶことができました。だからこそ、社員やその家族とも共有したいと考えています。稲刈りだけでなく田植えも良い経験になるので、2回のタイミングで記念イベントとして成立したかもしれません。いずれにしても作業をみんなで行うことで、チームワークがとれ連帯感がうまれるのではないかと期待しています。
このように、周年事業であれば前もって準備する期間を設けることができます。そして、その準備期間で、記念イベントとしてふさわしい内容かもチェックすることができます。時間と手間がかかりますが、じっくり記念イベントを計画していくことも重要だと考えています。

記念イベントを機に新たなビジネスも検討できる

さらに、最近、『ヘルスツーリズム』という考え方が、新しい旅行の形態として注目を集め始めています。実際、2017年度からは政府主導の認証制度もスタートしました。自然・温泉・食材が豊かな地域にとって、『ヘルスツーリズム』は国内外から観光客を集めるための有効な手段として期待されています。そのため、日本各地で行われる『ヘルスツーリズム』は、ウォーキングやヨガ、メンタルヘルス対策など種類はさまざまです。地域固有の資源を活用して「観光」と「健康」を結び付けたプログラムが全国各地に登場しています。
実は、農作業、農作物(食品)、空気・日差し、田園風景などを活用して、「いやし」と「健康」で生活を見つめなおす『ヘルスツーリズム』を、弊社の新たな事業として検討しています。
そのため、現在進めている稲刈りを記念イベントにすることは、新たな事業のテストランだと捉えることもできます。事業化するためにまず、社員の有志とその家族に参加してもらい、その反応を見ながら今後の進め方を検討したいと考えています。そして最終的に、それが弊社の新しいビジネスとして構築できたらと目論んでいます。
このように、記念イベントを戦略的に位置づけて、検討・実施することもできます。弊社はイベント会社だからそういう考え方ができるわけではありません。イベント業界に限らず、新たなビジネスの方向をイベントのテーマとして設定することは可能だといえるでしょう。そうすると、「日頃の感謝を示すための楽しいイベント」だけではなく、「次に会社が進むべき方向」を、社員やクライアントなどにアピールできるメリットが生まれることでしょう。
あなたの会社でも、記念イベントのテーマにこだわり、戦略的に検討して、新しい会社の一面を社員やクライアントにアピールしてみてはいかがでしょうか。

執筆者:松宮 洋昌

株式会社イベント・レンジャーズ代表取締役。
「シャカイの課題」や「カイシャの課題」をイベントを通じ解決することをミッションとしている。
「シャカイ」や「カイシャ」の課題の多くは。コミュニケーションの問題によるところが多い。
経営の想い、社員の想いなどをイベントを通じ共感することで、組織が劇的に成長することも多い。
そんなイベントのデザインを得意とする。