- 2020.01.13
- 実践ヒント〜人本経営を実現させるには〜
喫緊の課題となってきた幸福追求型経営の実現
いい会社づくり、何から始めるか 1
戦後、社会の中心的価値基軸であった業績軸の経済至上主義が脱の時代を迎え、ポスト資本主義社会が色濃くなってきています。
マイナス金利~現実化するポスト資本主義
変化は昨日、今日、明日の連続で発生していますので、日常生活に埋没しているとなかなか意識できにくい感覚がありますが、さすがに「マイナス金利」政策の導入には、多くの方が世の中がパラダイムシフトしていることを実感させられたのではないでしょうか。70年ごとに社会的価値基軸が大変化するといわれている日本。
明治維新、終戦・・・
過去の70年周期では、それまで社会を支配する絶対的価値観と思われていたものが瓦解して、全く違う社会に生まれ変わっています。明治維新では封建主義が終焉し近代国家が勃興していきました。先の大戦敗戦を契機に軍国主義が滅亡し経済大国へ変身していきました。明治維新では、殿様という絶対的な価値観が亡くなりました。終戦により大日本帝国という国そのものが消失してしまいました。
今回のポスト資本主義(業績軸から幸せ軸へ)のパラダイムシフトでも同様のことが起きることでしょう。
急速に消滅していくことが予測されるもの
すでにその兆候がそこここに現出していますが、資本主義社会では中心にあったものの、これから存続が困難になるであろう存在の例として次のようなものが考えられます。
- 拡大再生産を極め、変化できない大企業
- 資本主義の枠組みでしか発想できない金融機関
- 持続可能性を高めることが出来ない金融市場
- 拝金主義的な仕組みや職業
バブル崩壊やリーマンショックでは不幸になる人が続出しました。その要因をつくっているのは株式市場です。実体とはかけ離れたところで株価が乱高下して、それに翻弄される人々。およそ幸せとはかけ離れた状態です。現在の株式市場は時代と共にその役割を終えていく可能性は決して低くはないでしょう。
新しい時代に生きる覚悟をする
これから変化に対応していくためにはどうすればいいのでしょうか。
幸いにも、その答えがあります。
失われた10年といわれた2000年前後に、この抗いがたい社会環境の大変化を察知して、経営を経済至上主義の業績軸ではなく、幸福創出目的の幸せ軸の人本経営にパラダイムシフトさせた企業が、今、あらゆる業界で燦然と輝き出しているという事実です。
業績軸で物事を発想していると暗澹たる気持ちになりますが、幸せ軸で未来創造をしていくと世の中がバラ色に感じられてきます。
人本経営成功企業をベンチマークすることが、今、極めて大事
企業が他社の優良事例を分析し、学び、取り入れる手法のことをベンチマークといいます。
拡大再生産を目標とした業績軸の経営と、人の幸せ追求を目的とする幸せ軸の経営は、そのあり方が真逆といって差し支えないくらい違います。
だからこそ、歴史的変革期の今、幸せ軸で幸福追求型の人本経営に成功した先駆的企業をベンチマークすることは、極めて価値のある経営課題となっています。
では次回以降、何から始めていくかということについて考察していきます。
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執筆者:小林 秀司
株式会社シェアードバリュー・コーポレーション代表取締役。
人を大切にする「いい会社」づくりのトータルプロフェッショナル。内閣府認定
「地域活性化伝道師」。
社会保険労務士。法政大学大学院中小企業研究所特任研究員。企業内で行う「社風をよくする研修」
の実践を得意とする。また行政機関でも多くの講演実績がある。
著書に「人本経営」(NaNaブックス)、「元気な社員がいる会社のつくり方」(アチーブメント出版)等がある。
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