社員満足を上げ、働きがいのある会社へ「元気な会社をつくるプロジェクト」
  • 2020.01.13
  • 実践ヒント〜人本経営を実現させるには〜

“ほめる”を具体化する表彰式

社員のやる気を引き出すには 8

社員のやる気を引き出すために“ほめる”ことが有効であると解説しましたが、それをどのように具体化すれば良いのでしょうか。最も代表的な施策に、表彰式があります。表彰式には、半期ごとに仕事の成果に応じて表彰するスタイルだけでなく、勤続年数に応じた表彰、社員の対応に感謝の意を表す表彰、コンテスト形式で社員のスキルを表彰するなど、様々なタイミングや手法があります。その意味で、会社の状況や環境に応じて導入しやすい社内イベントといえます。
また、表彰式は表彰対象者だけに特化したイベントではありません。「次は自分が壇上に上がりたい」という気持ちにさせることで、他の社員のモチベーションも高めることができる施策なのです。
ここでは、社員のやる気を引き出すための“表彰式”を紹介していきましょう。

社長の想いが伝わる社内イベント“表彰式”

多くの経営者が、社員とのコミュニケーションが不足していると悩んでいます。その中、「表彰式で感極まって泣き出す社員がいます」というと驚く方もいらっしゃるでしょう。事実、表彰式の演出によっては、社長の想いをストレートに伝えることができる社内イベントです。
そのためには、表彰式自体が感謝を伝える場として成立させることが必要です。いつものような表彰式という、おざなりな進め方では社員の感動は生まれませんし、社長の感謝は伝わりません。それではどうすれば良いのでしょうか。
一番大切なことは、社長自身の言葉で、表彰事由を伝えることです。社長の言葉で伝えることは、社員の功績を社長自身が理解していることが表彰者本人の感動をうむだけでなく、社員全員に伝わり、次はこの舞台に立ちたい!と思う社員が増え、モチベーションアップにつながります。
また、サプライズとして、社員の家族を表彰式にサプライズで呼ぶことも、効果的です。家族から「おめでとう!」や「いつもありがとう!」と言われることで、今まで頑張ってきた苦労などが一瞬で報われ、これからも家族のためにかんばろう!と強く思うものです。人本経営では、社員とその家族を大切にすることが大切だと考えています。
このように、表彰式は、感謝をより具体的に伝える場としてわかりやすい施策といえるでしょう。

数字だけでなく数字以外で表彰する“表彰式”

 表彰式を行うには、何を基準に表彰するかを考えなくてはいけません。一般的に行われる売上数字だけで評価する表彰式は、人本経営の趣旨にそぐわない施策となるからです。そのため、数字以外の指標で表彰対象を選定することが必要です。例えば、これまでの業務領域以外に新しいチャレンジをした社員や、様々な困難やハードルを克服するために工夫をした社員を表彰するなどが考えられます。

 それを実現するために、あえて売上数字では評価できない業務部門での表彰を行う会社があります。例えば、リクルートが行っている総務を対象にした表彰や、佐川急便での女性パートを表彰する仕組み。会社には直接的に売上を生み出す部署だけでなく、間接業務部門もあります。また、最近は正社員だけでなく契約社員、嘱託社員、パート・アルバイト、インターンなど、勤務形態も様々。いずれも会社を経営する上では必要な部署、働き手であることに違いありません。そのため、メインの業務を行っている部署だけでなく、普段、日の当たらない部署や非社員を対象としたケアが、全社的にやる気を底上げするために必要だと考え導入しているのです。

ノウハウの蓄積を目指すコンテスト型“表彰式”

コンテスト型の表彰式では、業務に必要な独自のスキルアップを表彰することができます。独自のスキルアップにスポットライトを当てることで、全社のスキルを底上げして、企業ブランドとして活用できます。また、やる気を出せば表彰対象となれることは、社員一人一人のモチベーションアップを上げるキッカケとなります。
特に、無形のサービスを独自のスキルとして表彰することは効果的です。実際、レジ打ち、接客サービス、包装技術、トラブル対応、コールセンター対応など、様々なサービスでコンテストが行われています。
土木工事を請け負う木村工業株式会社では、社内のスキルアップとベテラン社員の技術の伝承の一環として、新入社員を対象に工事技術の研修を設け、独自の審査基準でスキル認定を行っています。この仕組みの導入で、新人とベテランの両方のやる気を育み、世代間ギャップを埋める交流が生まれます。また、相談し教えてもらう社風は、社内を活性化させ、企業文化として培われています。この取り組みは、直接的なコンテスト形式ではありませんが、その応用バージョンといえるでしょう。

執筆者:松宮 洋昌

株式会社イベント・レンジャーズ代表取締役。
「シャカイの課題」や「カイシャの課題」をイベントを通じ解決することをミッションとしている。
「シャカイ」や「カイシャ」の課題の多くは。コミュニケーションの問題によるところが多い。
経営の想い、社員の想いなどをイベントを通じ共感することで、組織が劇的に成長することも多い。
そんなイベントのデザインを得意とする。