社員満足を上げ、働きがいのある会社へ「元気な会社をつくるプロジェクト」
  • 2020.01.13
  • 実践ヒント〜人本経営を実現させるには〜

事例a:周年ロゴをつくる

会社を元気にする周年事業 3

それでは、周年事業としてどのようなことを行っていくのかを、ご紹介しましょう。ここでは、今年度、弊社が20周年事業として行うことに決めた内容を事例にして、実際にどのようなことを考えたか、あるいは、その実施にあたり、どのような苦労や課題があるのかを解説します。弊社で実際に体験している内容ですから、皆さんが周年事業を実施する際に、きっと参考になると思います。

周年事業を進める上で、シンボルは必要不可欠?!

弊社が周年事業の1つとして周年ロゴをつくる“きっかけ”となったのは、昨年末に社員やパートナー(※1)から募り出てきたアイデアの中に、周年ロゴの作成が提案されたことです。当初から周年事業を推進するためにシンボルとなる周年ロゴを作成して、社内の意識を高めたいと考えていましたが、これはあくまでも経営サイドとしての考えでした。今回の周年事業ではトップダウン型ではなく、できるだけ会社全体で納得して周年事業を進めていきたいと考えておりましたので、その実施には迷いがありました。しかし、最終的にアイデアを社内投票で20項目に絞り込んだ際に、周年ロゴも残りましたので、経営サイドの意向だけでなく、社内でもその必要性が認められた形となりました。
周年ロゴを、周年事業のシンボルとして活用していくのであれば、他の周年事業の制作物や広報活動のベースにするべきです。そのため、周年事業の最初の1歩として、周年ロゴを最初に着手しました。そして、周年ロゴを活用して社内が周年事業で1つになり、外部に対しても弊社の存在や目指すべきものを改めてアピールしていくことを目標としました。

※1)弊社の本業であるイベント企画・運営業務の都合上、社員だけでなく、「パートナー」としてMCを行う俳優などの登録スタッフや、各種専門業務の協力会社と業務契約しています。

“社員参加型”で周年ロゴを作成することにこだわる

せっかく社員からも周年ロゴのアイデアが出てきたので、“社員参加型”で周年ロゴを作成することに、とことんこだわりました。その方が、周年事業を推進する際のシンボルとして、会社全体の意識が高まると考えたからです。
そこで、社員全員からロゴデザインを募りました。集まったロゴのデザイン案は、作成者の名前を伏せて社内で回覧し、社員が好きなデザイン案に「いいね」スタンプを捺印していく形式で、選定していきました。そして、それぞれの得票数とデザインの汎用性を、社内のもうけた周年ロゴ担当委員会で検討して1つの案に決定しました。その結果は、社内への一斉メールや社内掲示板を活用して、社内にて発表。こうして決まめられ周年ロゴは、現在、社用封筒に印刷して活用したり、名刺に貼り込むシールなどを作成して活用したりする予定となっています。
ちなみに、決定したデザインに関して、提案した社員のロゴに込めた想いは、

  • 社員が輝くSTARを目指すERの星(でもまだ欠けてる!?)
  • 欠けているのではなく、実はまだ星になるには100年かかる。
  • つまり、まだ20年の途中を表現し、そこに20th Anniversaryを表現。
  • 1箇所20年×5箇所=100年を表す

の意味を込めてます。このロゴを使用してもらう中で、親しみや愛着を持って頂けると嬉しいです。担当者のコメントの通り、中央の星形の突起で20年を表し、100年継続する企業として、最初の20年を達成したと表現する制作意図があります。自社を100年継続する企業として社員が意識してくれたことに、経営者としては大変うれしく感じています。

周年ロゴの課題は「社内でいかに共通認識が持てるかどうか」

弊社では、たまたま周年ロゴの作成を社内公募のアイデアの中に入っていましたが、周年ロゴの課題は「社内をいかに巻き込めるか」であり、経営サイドからの一方的な配信ではだめだと感じています。そのため、弊社で実施するにあたり、いかに社員に当事者意識を持ってもらうかを意識して、進め方を検討し実施していきました。そうすることで、社内に周年事業に対する共通認識を持たせることができ、そこから生まれる企業風土や土壌を創り出していければと考えています。
成果としては、こちらで予想していたより周年ロゴの提案数があったことです。全員1案までは至りませんが、社員数に対する提案数の割合が約75%でした。ただし1人2案の提案も含まれますが、若手社員だけでなく、中堅以上の社員の提案があったことは、成果としては大きいと捉えています。また、社内投票の際には、「この案はA君ぽい」「このデザインはBさんだろ」と、特に上のメンバーが若手社員のことを話す機会が増えました。若手としては自身のことを話題にしてもらうことは、照れくさいこともありますが、日常業務ではまずないことなので、うれしく感じるのではないかと考えています。いずれにせよ、この周年ロゴの選定の段階で、社内コミュニケーションは間違いなく活性化しました。

周年ロゴの活用する方法を前もって決めておくことが推進のカギ

弊社の周年ロゴが決まり数カ月経った現時点で、まだまた活用されていないのが現状です。特に、制作物に周年ロゴが反映されていないのは大きな問題だと考えています。周年ロゴを周年事業のシンボルとして強く推進して、社内に浸透させ社外にも広くアピールしていくためには、その活用方法をあらかじめ具体的につめていくことが重要。周年ロゴが決まった段階でさまざまな形で活用していくことが必要だと感じています。
弊社では現在はまだ社用封筒でのみ活用できています。さらに今後は、名刺用のシール、ホームページ、社内ポスター、社用箋、現場ユニフォーム、ステッカー、提案書、見積書・請求書など、多方面で活用する予定です。これらの活用は、周年ロゴが決まった後に、どのように活用しようかと検討するのではなく、周年ロゴが決まる前に、あらかじめ大まかな活用方法は決めておく方が良いと実感しています。その方が具体的に活用するまでの期間が短くなり、一気に社内に浸透させることができ、社外にアピールできる期間が長くなるといえます。早く浸透して、長くアピールできるということは、それだけ周年事業が充実できるといえるでしょう。

執筆者:松宮 洋昌

株式会社イベント・レンジャーズ代表取締役。
「シャカイの課題」や「カイシャの課題」をイベントを通じ解決することをミッションとしている。
「シャカイ」や「カイシャ」の課題の多くは。コミュニケーションの問題によるところが多い。
経営の想い、社員の想いなどをイベントを通じ共感することで、組織が劇的に成長することも多い。
そんなイベントのデザインを得意とする。