社員満足を上げ、働きがいのある会社へ「元気な会社をつくるプロジェクト」
  • 2020.01.13
  • 実践ヒント〜人本経営を実現させるには〜

風通しの良い会社にしたい

目指す会社に育てる社内イベント 3

規模が大きな会社や長く事業展開している会社の経営に新たに携わる時、多くの場合、縦割り組織での問題点や上下間の難しさを経験し実感しているため、早い段階で「風通しの良い会社にしたい」と考えるケースは少なくありません。また、ニュースに取り上げられた業績悪化の隠ぺいや長時間労働による過労死などの事件も、「風通しが悪い」ことが原因で発生すべくして起きたといえます。
そこで今回は、『風通しの良い会社にしたい』ことを目指す場合、どのような社内イベントを行うべきかを考えていきましょう。

“風通し”の良い会社と悪い会社では大きな違いが生まれる

「風通しが良い、悪い」は日常的に頻繁に使われる言葉ですが、実際にどういう状況なのか、どのような影響があるのかを改めて確認しておきましょう。
『風通しの良い会社』とは、「問題が起きるのは当たり前」という考えをベースに組織全体を運営することが原則です。そのため、問題を早い段階であぶり出させるように多くの機会が設けられています。会社として問題をどんどん提起することを評価し、困難があっても改善、改革することを奨励するような雰囲気作りを努力しています。その結果、新しい発想や新しいきっかけ作りが誘発され、社員や会社の潜在的な能力が引き出される社内環境となります。また、問題が小さい内に顕在化され共有されるので、深刻なリスクを回避することにもつながります。
これに対して、風通しが悪い会社では、組織全体で「問題があってはならない」という意識に支配され、「問題が出ないように厳しく管理する」ことを基本としています。そのため、社員が不平や不満を口にするのは良くないとされ、組織を乱さないことが最優先と考えられるようになります。そして、あらゆる行動にブレーキがかかり、定例通りの対応しかできない状況となります。これでは、何をやっても成果はそこそこで、これまでにない大きなビジネスを生みだすことはまず難しいでしょう。また、問題が起きている場合、表面化しないように隠ぺいし、なんとか内密に解決しようとする意識が働きます。しかし、解決できないまま深刻な事態になるケースは多く、会社として大きなダメージを受けることも少なくありません。このため、『風通しの良い会社』にしていくことが重要なのです。

『風通しの良い会社』では、社員は常に積極的な行動を取ることができます。そのため、社内の会話が増え、役職に関係なく何でも話せる環境が整います。このことで、社員同士の情報共有が仕事に限らず、プライベートの面まで進むことができ、より深い事情を細かく配慮して助ける、助言する、サポートする体制ができあがります。その結果、残業時間を制限するなどの制度の面ではなく、環境としての“働き方改革”につなげることができます。
すると、会社は、個々の社員の持てる力以上のものを引き出すことができ、より高いパフォーマンスを維持し続けることができます。また、ミスやトラブルを未然に防止でき、さらには、ミス・トラブルを放置しない、放置させない環境を構築することができます。会社として大きなダメージを受けることなく、リスクを回避できます。
さらに、この環境での若手を育てるメリットとして、効果的で効率的な人材育成が実現でき、社員それぞれに気づきを与えて学ぶ姿勢を習慣づけることができます。最終的には、この環境が社風となって培われ、リクルーティングの際の優位点となって活かしていくことができます。

風通しの良い会社には“場つくり”がカギ

この『風通しの良い会社』にするには、“場つくり”をいかに意識して全社的に構築するかがカギとなります。
まず、そのベースとなる「話しやすい環境つくり」には、昔ながらの“飲みにケーション”が効果的。具体的には、「定期的な社内交流会」を設けることです。既に忘年会、新年会、ランチミィーティングなどを開催しているケースも多いと思いますが、より交流ができるように小さい単位での実施が好ましいでしょう。また、社員が別の社員に感謝のメッセージを贈る「サンクスカード」などの仕組みを導入することで、社員間でコミュニケーションを高め、親近感を高めるのにも有効です。他に、CSR活動で社会や地域との関わり方を構築するイベントとして実施される「ボランティアイベント」も活用できます。
また、一緒に行動する機会、上下関係ではなく対等に近い状況で行動する機会を設けることも効果的です。例えば、「運動会」「ゲーム大会」などレクレーションは、その典型的な展開例といえるでしょう。
1つのものを上下関係に関係なく一緒に作ることも、社員間のコミュニケーション関係を改善することができます。代表的なものには、BBQ、カレーライスなどの「料理を作る」ことが挙げられます。
いずれも仕事から離れた“場”を設けることが、風通しが良くなるポイントです。仕事以外のシーンを設定することで、上下関係を意識することなく社員間の交流が図れるからです。ここで培われた交流は、親近感としてそれぞれの社員に残り、ビジネスシーンにおいてもスムーズに情報をやり取りできるようになることを狙います。
『風通しの良い会社』は、意外と実施しやすい社内イベントで実現することができることが、お分かりだと思います。ただし、1つの施策を1回行うことだけで実現できる訳ではありません。社風や企業文化として社内全体に定着するまで、地道な展開を継続して行うことが重要だと認識しておく必要があります。この点に留意して展開を検討してみてください。

執筆者:松宮 洋昌

株式会社イベント・レンジャーズ代表取締役。
「シャカイの課題」や「カイシャの課題」をイベントを通じ解決することをミッションとしている。
「シャカイ」や「カイシャ」の課題の多くは。コミュニケーションの問題によるところが多い。
経営の想い、社員の想いなどをイベントを通じ共感することで、組織が劇的に成長することも多い。
そんなイベントのデザインを得意とする。