社員満足を上げ、働きがいのある会社へ「元気な会社をつくるプロジェクト」
  • 2020.01.13
  • 実践ヒント〜人本経営を実現させるには〜

今、経営者、メンタル責任者が感じていることとは

幸せに働く社員を作るためのストレスチェック活用法 1

2015年12月に義務化されたストレスチェック制度も早いもので3年目に入りました。
当初はとりあえず法律で義務化されたので、しょうがないので実施するか程度の認識だった企業も多かったことでしょう。しかし年数がたって体験を重ねるにつれ、各企業ごとにこの制度への取り組み方も特色が出てきました。
幸せに働く社員を作るために、この制度をどのように活用していったらよいのか、改めて今、振り返ってみたいと思います。

1.ストレスチェックに対して二極化した考え方

このストレスチェック制度では高ストレス者と認定された方は自分から手を挙げれば医師面談を受けられるということになっています。当然のことながら手を挙げなければ、だれが高ストレス者であるのかがわからず、そうなると企業としては効果的な対策が行えません。仮に手を挙げて医師面談を受けたとしても面談は20分程度しか行なわれず、十分な対策とはいいがたいものがあります。またそもそも手を挙げる社員はほとんどいない、という現実もあります。こんな状況が多くの経営者やメンタル責任者に知れ渡るにつれて、経営者やメンタル責任者の間では、二極化した考え方が広まりつつあると感じています。それは、

  1. 義務なので最低限のことをやっておけばよい。
  2. 社員のメンタルを本当の意味で把握して、定着率向上や生産性向上、に役立てたい。

の2つです。
それぞれどういう意味か説明します。

2. 制度自体の意味が感じられないと見切ったが故の二極化。

1)義務なので最低限のことだけをやっておけばよい。

誰も手を挙げない、そして誰が高ストレス者なのかを会社は知ってはいけない。医師面談受ける人はほとんどいない。仮に面談を受けても20分程度を1回やって終わり。
こんな現実を目の当たりにしたためか、「法律上最低限のことを最低限の費用でやっておけばそれでよい」と考える経営者、メンタル責任者は非常に多いと感じます。そもそもメンタルの問題は経営上の優先順位として高くないと考えているからという理由もあると思います。
私は今まで何千人という経営者、メンタル責任者にお会いしてきましたが、この考え方になった方々は次のように言う方が非常に多いと思います。
「この制度って、いったい何の意味があるのかな」
この言葉は、この制度を作った政府側にしてみるとショッキングなことかもしれませんが、現場の方々にはこのような声が非常に多いのはまぎれもない事実です。
現場の方々にしてみると、効果的な対策が取れないものにお金をかけて一体何になるのか、という思いが強いのではないかと感じます。

2)社員のメンタルを本当の意味で把握して、定着率向上や生産性向上、に役立てたい。

一方、このような考え方の経営者、メンタル責任者も近年急速に増えてきたと感じます。このような考え方をしているのは、私の経験では1000人以内の創業経営者が多いように思います。
かれらも、ストレスチェック制度自体にはあまり意味を感じていない方々が多いと感じます。しかし、せっかくお金をかけなくてはならないのだから、もっと良い活用法はないのか、と真剣に探している方々なのです。
彼らの考え方の特徴は、

  1. 人手不足に対して危機感を感じている。
  2. 生産性向上とメンタルは大きく関係すると考えている。
  3. 何よりも社員に愛情がある。

などの点が特徴的と思います。
どういうことか次回、ご説明します。

執筆者:山本 潤一

日本メンタル再生研究所・所長
「あるがままの自分らしさを表現することで、幸せに生き働く人を増やす貢献をし、皆が豊かになれる
社会を作る」をミッションとしている。
個人の幸せな生き方・働き方支援を行うメンタルプロフェッショナル。
ヘルスカウンセリング学会公認心理療法士、キャリアコンサルタント。
元東京医師会医院
著書・「医療福祉の現場で使える、心が通い合う会話術(日総研出版)