- 2020.01.13
- 実践ヒント〜人本経営を実現させるには〜
社員の家族にも愛される会社にしたい
目指す会社に育てる社内イベント 8
『社員の家族にも愛される会社』を目指すのは、会社としての責任の範疇を超えていると思われるかもしれません。会社として責任を負うべき対象として最も重要なのは社員であることは間違いないのですが、その家族にまで広げるとなると見解が分かれることでしょう。
しかし、『社員の家族にも愛される会社』にすることは、社員が気兼ねなく仕事に打ち込める環境づくりにつながり、その積み重ねで社会に認められる会社になっていくともいえます。そのため、人本経営を確立させていくために、避けては通れない要素の1つです。
今回は、この『社員の家族にも愛される会社にしたい』について、考えていきましょう。
『社員の家族にも愛される会社』は生産性を保つ“スパイス”
まずはじめに、『社員の家族にも愛される会社』になると、どのようなメリットが社内に起こりえるのでしょうか。具体的にイメージしていきましょう。
『社員の家族にも愛される会社』とは言い換えれば、社員の家族にも応援してもらえる会社、社員の家族にも認めてもらえる会社ということになります。社員の家族が会社に対して親近感や好意、信頼を抱くことになるので、働いている社員に対しても敬意や感謝の念を深めるようになります。すると、社員を応援する環境へとつながっていきます。
すると、社員は誇りと自信をもってイキイキと会社で働くようになり、自分の家族のバックアップがもらえるため、気兼ねなく仕事に打ち込めるようになります。そのため、社員一人一人の生産性を高めることも可能となります。
また、会社に対する不平・不満が少なくなり、会社や仕事に対して満足感が高まるので離職率が低下し、その会社に長く勤務するようになります。このため、人財やノウハウの流出を防ぐことができ、リクルーティングの手間やコストを削減することができます。そればかりか、社員が辞めない会社は「働きやすい会社」として認識され、より優秀な人材を集めることにつながります。
『社員の家族にも愛される会社』には会社としての“本気度”が必要
それでは、『社員の家族にも愛される会社』にするには、どうすれば実現できるのでしょうか。それには会社としての方針の明確化が必要で“本気度”が求められます。
まず、社員の家族に会社を愛してもらうためには、会社やその業務内容について、あるいは社内の事情について知っていることが必要です。人間はあまり知らないことに対して不信感を抱きやすくなりますし、信頼しようとは思いません。どんな時でも、相手の“顔”が見えてこそ、信頼を得ることができるのです。そのため、社員の家族に対しても、会社について伝える機会を積極的に設け、理解を促す活動が重要なのです。
そして、会社が社員だけでなくその家族をも意識するように常に心掛ける必要があります。社員の家族の理解が、会社の事業を運営するにあたって必要な要素なのだという“信念”を持つことが大切です。それがないウワベだけの活動では、社員の家族に見透かされることになり、かえって逆効果となる可能性が高いので注意が必要です。
より効果を高めるためには、社員の家族に「会社が自分たちを意識している」ことが伝わる工夫も必要です。特に、会社として社員の家族に対して具体的な“感謝”の意をストレートに伝えることが重要となります。そうすることで、社員の家族との間に会社に対する信頼と親近感・好意を養うことができるでしょう。
『社員の家族にも愛される会社』にするために有効な社内イベント例
では、『社員の家族にも愛される会社』にするために有効な社内イベントとしてどんな活動をすればよいのでしょうか。
会社のことを社員の家族に知ってもらうためには、実際の仕事している様子を見てもらうことが一番といえます。それを実現するのが「会社訪問」です。特に社員の子供を対象として、例えば、子供たちに会社や仕事を取材してもらい、それを記事にして新聞形式で掲出・配信する「こどもニュース」や、子供たちに会社や仕事を1日体験してもらう「こども社員」の実施が考えられます。もちろんその様子を、父兄に子供の目線で報告することで、わかりやすく会社の様子を理解してもらうことができます。
会社が社員の家族も社員と同等に意識するには、通常社員を対象に行っている社内イベントを、社員の家族まで広げることで実現することができます。例えば、「社員旅行」に社員の家族も含めて実施したり、BBQなどの食事会、運動会、お祭り、クリスマスパーティーなどの「社内イベントに家族も招待」したりすることです。また、「福利厚生の拡充」として健康診断、ディズニーランド招待、レジャー、ヘルスツーリズム、農業体験などの福利厚生の対象を家族まで広げる方法もあります。
会社から社員の家族に感謝の意を伝えるには、「プレゼント」が代表的です。例えば、母の日、家族の誕生日、結婚記念日、出産祝い、入学祝い、卒業祝いなど、家族の記念日をタイミングに、会社からちょっとしたプレゼントを進呈することです。また、周年事業などの記念品を、ビジネスで使うものや社員のための内容ではなく、家族のための、家族で使えることを意識して記念品の選定を行うことでも実現できます。
『社員の家族にも愛される会社』にするために有効な社内イベントは、その対象を社員の家族に広げたり、家族との生活の一部に寄り添ったりするだけで実現できます。要は、社内イベントを検討する際に、社員の家族を意識するだけなのでそれほど難しいことではありません。普段行っている社内イベントをこの視点で見直して開催するだけで対応できます。
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執筆者:松宮 洋昌
株式会社イベント・レンジャーズ代表取締役。
「シャカイの課題」や「カイシャの課題」をイベントを通じ解決することをミッションとしている。
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