社員満足を上げ、働きがいのある会社へ「元気な会社をつくるプロジェクト」
  • 2020.01.13
  • 実践ヒント〜人本経営を実現させるには〜

地域や社会に誇れる会社にしたい

目指す会社に育てる社内イベント 9

『地域や社会に誇れる会社』というと、直接的に自社の売上とは関係ないと考えになる方が少なくないと思います。しかし、デジタル時代となった今、会社がコンプライアンスを実践できているか、不祥事はないか、不祥事があった場合の対応はどうかなど、企業に対して厳しい批判の目が一般的となっており、悪い評価は瞬く間に広まってしまいます。その悪評は悪くすると得意先からの取引の自粛や、消費者の不買運動などにつながります。
そのため、地域や社会に対してどのように対応しているかは、会社経営を左右する重要なファクターの1つになるといえるのです。そして社員目線で考えると、自分の会社が地域や社会にキチンとした対応をしていることがわかるので、“誇れる”会社になります。
今回は、この『地域や社会に誇れる会社にしたい』という課題について考えていきます。

『地域や社会に誇れる会社』は“生産性”を高める

『地域や社会に誇れる会社』となると、社内に次のようなことが起こると考えられます。
まず、社員が自分の会社や仕事に対して誇りや自信を感じるようになります。そして、社員の心の中に、会社に対する所属意識が生まれ強くなっていきます。そうすると、社員それぞれが自分の行動に責任をもつことを意識するようになり、仕事だけでなくプライベート(勤務外)でも、社会人としてきちんとした行動を取るようになります。これは地域や社会に対して誠実な対応をしている会社に習って、それにふさわしい行動を取るべきだと考えるようになるからです。
こうした行動ができるようになると当然、社会・地域やクライアントは、社員だけでなく会社に対しても良い印象を持つようになり、業務にまで良い影響を及ぼすこととなります。そうなると、地域や社会が、社員や会社を応援してくれたり、ちょっとしたステイタスとして尊敬や憧れの目を向けたりするようになります。
このような環境の下、「働きたい」「働いてみたい」という人材が集まりやすくなり、良い人材を選択しやすくなります。リクルーティングにも良い影響が出てきます。
『地域や社会に誇れる会社』は、一見、業務などに関係ないように思えますが、社員の意識改革から経営環境のベースを下支えして、最終的には業務やリクルーティングなどの企業活動に影響することになります。

『地域や社会に誇れる会社』にするための4つのポイント

それでは、『地域や社会に誇れる会社』にするには、どうすれば良いのでしょう。
地域はエリアの特性に、社会はその時々で変化する状況に応じて、それぞれ課題があります。『地域や社会に誇れる会社』にするには、その課題に合わせた支援活動を行うことが前提条件となります。“地域や社会がもつ課題や要望を解決する”、これが第1のポイントとなります。
そして第2のポイントは“無理をしない”こと。無理をすると途中でとん挫してしまったり、どこかに手抜きやミスがうまれたり、中途半端な活動になってしまうので、かえって悪い影響を及ぼします。自分たちでできること、身の丈に合った範囲に収めておかないと、コストや手間が無駄に空回りして、活動自体が続かなくなります。
続かない企業活動は「単発の活動」と認識されるので、地域や社会には「単なる人気取り」とか「気まぐれ」と思われてしまいます。地域や社会に対する活動は、あくまでも、長く継続することが重要で、継続することではじめて企業イメージとして定着していくことができます。“継続する”ことが第3のポイントになります。
そして、この活動を社員に認識・理解してもらわないと、社員の意識改革につなげることができません。そのため、社員と地域社会の接点を設けることが必要で、そのためには社員が自主的に活動に参加できるようにすることが第4のポイントです。

『地域や社会に誇れる会社』にするために有効な社内イベント例

『地域や社会に誇れる会社』にするために有効な社内イベントとして最も代表的なものに「CSR活動」があります。
ご存じのように“CSR”はCorporate Social Responsibilityの略で、“企業の社会的責任”と訳されています。様々な社会問題、地球環境や地域社会に向けた企業活動で、芸術や文化を支援するメセナ活動、寄付の実施や奨学金の設立、エコ活動などバリエーションがあります。しかし、専門体制や資金を導入する展開だけでなく、会社のコンセプトにマッチした地道な活動を目指すと、実施しやすくなります。例えば、PCやランドセルの地域に寄付、古着や在庫商品などを災害地や地元学校への寄贈、商品サンプルや余った備品などのチャリティセールです。
他に「地域イベントへの参加、協賛」があります。具体的には、地域の“お祭り”に協賛することです。その協賛は、社名を参加者に提示する工夫をしたり、自社商品を景品として提供したり、協賛ブースを設けて運営支援したりするなど、さまざまな形式があります。
また、地域の清掃、夜守り活動、通学の見守りなど、地域のもつ課題を解決したり、環境整備などを積極的に行ったりする「地域ボランティア」もあります。
私の業界でいうと、イベントを開催する際に行う防災訓練などを、そのイベントを開催する自治体と共同で実施したり、社内だけでなく地域住民も助けるためのネットワークや社内体制を整えたりすることなどを実施しています。
『地域や社会に誇れる会社』にするためのこれらの施策に、社員の参加する仕組みを取り込む方がより効果的です。地域や社会の課題や要望の中から、御社の社風や企業文化としてマッチする要素を探しだし、社員を巻き込んで展開できる活動を検討してください。

執筆者:松宮 洋昌

株式会社イベント・レンジャーズ代表取締役。
「シャカイの課題」や「カイシャの課題」をイベントを通じ解決することをミッションとしている。
「シャカイ」や「カイシャ」の課題の多くは。コミュニケーションの問題によるところが多い。
経営の想い、社員の想いなどをイベントを通じ共感することで、組織が劇的に成長することも多い。
そんなイベントのデザインを得意とする。