社員満足を上げ、働きがいのある会社へ「元気な会社をつくるプロジェクト」
  • 2020.01.12
  • 実践ヒント〜人本経営を実現させるには〜

内発的動機づけを図るためのヒント

やらされ感のない職場を作るには 2

では、具体的に社員第一主義のあり方に近づいていくためにはどうすればよいのでしょうか?

モチベーションの真実

「モチベーションは上げるのではなく、掘り下げていくもの」
こう本質的な名言を語られたのは沖縄教育出版の川畑保夫会長です。

  • 言われて嫌々やる仕事の成果・・・・・・・・・・1
  • 理解して納得してやる仕事の成果・・・・・・・・1.6倍
  • 自ら目的・目標をもってやる仕事の成果・・・・・2.56倍

川畑会長は、上記のやる気の法則は確かにそうであろうと考え、毎日、時間をかけて朝礼で社員皆がヤル気のスイッチを入れる時間をつくっています。やらされ感のない状態をつくっていくこと、これが社員第一主義の第一歩といえるでしょう。そこに近づいていくためには、自社ではどうしていくことが現実的でしょうか?これを考えていきましょう。

内発的動機付けが図れる共通言語をつくる

その有効な答えのひとつが、社内に内発的動機付けが実現できる共通言語をつくっていくことです。

「お客様が喜ぶことなら何をやってもいい」

こう宣言したのはバクジーの久保華図八社長でした。そして実効性を担保するために現場に権限を付与し、いいと思ったことはいちいち相談しなくてもOKとしました。こういう環境をつくることで内発的動機が誘引されていきます。権限移譲や付与も社員第一主義の企業文化があると功を奏していくことになります。

「任せた以上は口に出さないことが肝要」

これはホテルグリーンコアの金子佑子社長の言です。「ん?」と思ったとき、何か言いたくなったときこそ信じて黙ることを心に決めたそうです。社員がやろうとしていることにダメ出しして、上から圧力をかけるような外的コントロールをしようとすると自発性が引っ込んでしまうと語られていました。これはリーダーとして忍耐がいりますが、人本経営ではリーダーの役割はメンバーを管理することではなく、支援していくことです。気づき行動していくことを促し続けていきましょう。

「家族だと思って接している」

これは川越胃腸病院で働いているスタッフから聞いた言葉です。そうして接していくことで感謝が返ってきます。それがまた患者様に向かうエネルギーになるといいます。人本経営の職場では、社員同士、そしてお客様に対しても上下の関係ではなく、まさしく家族のような絆感に満ちた関係性を構築していく特長がみられます。ぜひ掲げたい共通言語といえるでしょう。

執筆者:小林 秀司

株式会社シェアードバリュー・コーポレーション代表取締役。
人を大切にする「いい会社」づくりのトータルプロフェッショナル。内閣府認定
「地域活性化伝道師」。
社会保険労務士。法政大学大学院中小企業研究所特任研究員。企業内で行う「社風をよくする研修」
の実践を得意とする。また行政機関でも多くの講演実績がある。
著書に「人本経営」(NaNaブックス)、「元気な社員がいる会社のつくり方」(アチーブメント出版)等がある。