- 2020.01.13
- 実践ヒント〜人本経営を実現させるには〜
良いストレス悪いストレス
幸せ軸でみるメンタルケア 2
ストレスという言葉を聞くと、多くの方が「悪いもの」という連想をすると思います。しかし、私たちストレス科学を専門とする者からするとストレスとは、悪いものばかりではありません。それどころか「良いもの」でもあるのです。
ある程度の年数のビジネス経験を積まれた方々ならお分かりと思いますが、仕事で一定の経験を積むと、少しづつより大きな責任ある仕事を任されたり、より専門性の高い仕事を任されたりします。これはストレスです。しかし、このストレスは果たして悪いものなのでしょうか。
良いストレスとは
仕事を続けていれば、これらのストレスに出会うことはある意味誰もが経験する必然です。これらの難易度の高い仕事を乗り越えることができると、私たちは自分に自信がつくし充実感を感じることもできるでしょう。時には幸せを感じることもできると思います。しかし、乗り越え方がわからずしかも誰にも相談できずに長期間一人で抱え込むと、メンタルヘルス不調に陥る可能性は高いでしょう。こうなるとこのストレスは悪いものになるのです。
医療はストレスを悪いものとしてとらえがちなので、ストレスは良いものという発想はあまりありません。この発想は経営者や人事担当者が自発的に持つ必要があるのです。
要は仕事上必然的に出会うストレスに対し、乗り越え方を身につけさせていくことが会社として重要なのです。
乗り越え力を高める方法とは
2つの方法で高めることが大切です。まずは本人に、ストレスを乗り越える考え方や技術を教えていくということが重要です。細かいテクニックはここでは述べませんが、目の前のストレスを乗り越えた先に得られる自分のメリットについて知ってもらうことは大事ですし、これを乗り越えた時、だれが笑顔になるのかをしっかり理解してもらうことも重要です。自分の頑張りが他者への貢献になっていることを多くの人は知りませんが、このことがわかるとモティベーションが変わります。
また、本人が能力を発揮できるよう会社が環境を整えることが重要です。たとえば、本人の適性を見極めた適材適所配置や、チャレンジした失敗を許す考え方、部下の能力を引き出すための上司への教育、など。ここは人を大事にするという人本経営的な発想が経営者にないとできません。 この2つを組み合わせることで、働く人はストレスを「自己を成長させてくれる良いもの」と認識できるようになるのです。
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執筆者:山本 潤一
日本メンタル再生研究所・所長
「あるがままの自分らしさを表現することで、幸せに生き働く人を増やす貢献をし、皆が豊かになれる
社会を作る」をミッションとしている。
個人の幸せな生き方・働き方支援を行うメンタルプロフェッショナル。
ヘルスカウンセリング学会公認心理療法士、キャリアコンサルタント。
元東京医師会医院
著書・「医療福祉の現場で使える、心が通い合う会話術(日総研出版)
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