社員満足を上げ、働きがいのある会社へ「元気な会社をつくるプロジェクト」

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件数:109件
  • 2020.01.13
  • 実践ヒント

人本経営の実践で実現する

成功する働き方改革 1

働き方改革が社会的関心ごととしてクローズアップされてきています。仕事と子育てを両立していくためや、介護など高齢化社会の進展に伴う家庭環境の変化に対応できるような、職場環境を改善していくための経営人事面の制度づくりが注目されています。わかりやすいので取っ掛かりは「制度」設計から入ることでかまわないでしょう。しかし、最先端の育児休業制度を導入したとしても、最も大切なことは、その制度が目的通りに機能していくかどうかということになります。せっかく制度が出来ても、いざそれを活用しようと申請したら、周りの社員から白い目で見られる、上司から愚痴をいわれるといった職場では、なんら働き方が改革されていないことと同じです。制度を機能させるために不可欠なもの、それは信頼に基づいた相互理解のある風土、企業文化です。働き方改革に成功していくためには、社風をよくしていくことです。では、どうすれば社風をよくしていくことができるのでしょうか。 さらば「忙しい」 育児休業を取ろうとする社員に対する白眼視がどこから来るかといえば、この「忙しい」職場で労働力が抜けてしまうから、ということになります。ですから、常態的に「忙しい」と感じない職場にすることを考えていきましょう。文字通り、心を亡くすので、心に余裕がなくなり、人のことなど構っていられなくなってしまいます。毎日定時に帰ることができる職場なら、多くの社員は「忙しい」と感じなくなるに違いありません。働き方改革で「長時間労働の是正」が真っ先にテーマ性を持つのはこのためです。残業ゼロはいきなり無理だとしても、月間20時間までと目標を設定しましょう。「そんなことをしたら売上が落ちて、経営が成り立たなくなる」と反論が出そうです。本当でしょうか。残業時間を削減したら、確かに「売上」は減少するかもしれません。しかし、経営をゴーイングコンサーンさせていくのは「利益」です。ここに注目すべき調査結果があります。日経キャリアNET「わが社の働き方データ」(約600社)によれば、「月平均残業時間」と「売上高利益率」をクロス集計した結果、残業時間と売上高利益率には相関がないという報告がされています。※「人事のための時短推進説得マニュアル」3ページ目参照つまり、残業が多ければ多いほど利益率が高くなるとは言えないのです。過去3年間の平均利益率を月残業20時間で実現していくというのは現実味がなさそうでしょうか。よく考えれば、割増賃金の支払いは無くなりますし、適切な労働時間で就労していくことで、社員の健康状態に好影響を及ぼし、やりがいや働きがいを増進させていく効果も期待出来そうです。時短をして、その結果として過去の平均利益率を超える成果が得られたなら、賞与として還元するとしたら、社員の納得感も得られることでしょう。人手不足状況が蔓延している中、せっかく採用した新人が定着せず、離職を繰り返しているような職場であれば、もう残業削減による時短を決断すべき段階にあると考えます。 ノー残業デーは疑問 時短を進めていく際に、「ノー残業デー」を設定していく事例を散見しますが、これには同調できません。一日単位で労働時間を考えていっても、体制的に及ぶ効果はわずかなものだからです。そして、効率よく仕事をしていこうという習慣づけにもならないでしょう。組織全体として、月間20時間の残業で業務を回していくためには、どういう体制なら実現可能であるかを考えて、実行計画を立てていくのです。場合によっては、取引を停止する顧客も出てくるかもしれません。しかし、いい機会にもなるはずです。薄利の取引で社員に労働負荷をかけることを余儀なくされていた取引先を整理出来るきっかけになるかもしれないのです。そして、それを実行したら、確実に残業時間の削減と収益性の改善が図られていくことになります。このように人本主義的に働き方改革を進めていくことが肝要です。気がつくと、いい社風が流れる会社になっていた、という展開をめざしましょう。

  • 2020.01.13
  • 実践ヒント

事例d:記念イベント

会社を元気にする周年事業 6

多くの企業で行われる周年事業の1つに、記念イベントがあります。タイミングが周年という“シバリ”があるだけで、実施目的や参加対象、内容、実施スタイルなど、企業によって異なります。そこで、弊社では社員有志を対象に、稲刈りを記念イベントとして実施して、そこで収穫されたコメを社員やパートナーに配布したいと考えています。 記念イベントのテーマにはこだわりたい せっかく記念イベントを行うのであれば、単なる打ち上げ花火的にイベントを開催するだけでなく、参加者の心に何らかの印象が残る内容にしたいものです。インパクトも重要ですが、その企業の周年事業にふさわしいテーマであることがポイントとなります。例えば、業務領域の延長であったり、事業の原点であったり、これまであるいは今後、会社のウリにしたいことであったり、テーマへの“こだわり”はさまざま考えられるはずです。弊社では、毎年、地域活性イベントを業務として行っており、地域特産品をお年賀に活用しています。直近では、昨年のぬれせんべい、今年はお米を配布した実績があります。また、このプロジェクトのベンチマークで紹介された株式会社リラクでも、社員に米を送ることを福利厚生として行っていることを知り、社員を大切にする企業姿勢を打ち出す方法で主食を贈ることもありだと気づきました。そのため、周年事業の記念イベントとして、弊社では稲作をイベント化することにしました。 周年事業だからこそ準備期間は長く持てる 実はそのために、今年から山梨県北杜市の農家と契約して、準備を進めてきました。10月に稲刈りを記念イベントにするために、4月の種づくり、5月に田植え、6月には草取りを行いました。まだ、その段階では記念イベントに確定していなかったので、社長の私と家族、そして関係者有志のみで準備を行ってきました。なお、記念イベントとして10月に収穫を行う際には、社員やその家族などに参加してもらうことを想定しています。確かに、これまでの準備期間の農作業だけでも手間は大変でした。だからこそ、農業の大変さや大切さが実感でき、成果である作物を得るためには大変な努力が必要だと学ぶことができました。だからこそ、社員やその家族とも共有したいと考えています。稲刈りだけでなく田植えも良い経験になるので、2回のタイミングで記念イベントとして成立したかもしれません。いずれにしても作業をみんなで行うことで、チームワークがとれ連帯感がうまれるのではないかと期待しています。このように、周年事業であれば前もって準備する期間を設けることができます。そして、その準備期間で、記念イベントとしてふさわしい内容かもチェックすることができます。時間と手間がかかりますが、じっくり記念イベントを計画していくことも重要だと考えています。 記念イベントを機に新たなビジネスも検討できる さらに、最近、『ヘルスツーリズム』という考え方が、新しい旅行の形態として注目を集め始めています。実際、2017年度からは政府主導の認証制度もスタートしました。自然・温泉・食材が豊かな地域にとって、『ヘルスツーリズム』は国内外から観光客を集めるための有効な手段として期待されています。そのため、日本各地で行われる『ヘルスツーリズム』は、ウォーキングやヨガ、メンタルヘルス対策など種類はさまざまです。地域固有の資源を活用して「観光」と「健康」を結び付けたプログラムが全国各地に登場しています。実は、農作業、農作物(食品)、空気・日差し、田園風景などを活用して、「いやし」と「健康」で生活を見つめなおす『ヘルスツーリズム』を、弊社の新たな事業として検討しています。そのため、現在進めている稲刈りを記念イベントにすることは、新たな事業のテストランだと捉えることもできます。事業化するためにまず、社員の有志とその家族に参加してもらい、その反応を見ながら今後の進め方を検討したいと考えています。そして最終的に、それが弊社の新しいビジネスとして構築できたらと目論んでいます。このように、記念イベントを戦略的に位置づけて、検討・実施することもできます。弊社はイベント会社だからそういう考え方ができるわけではありません。イベント業界に限らず、新たなビジネスの方向をイベントのテーマとして設定することは可能だといえるでしょう。そうすると、「日頃の感謝を示すための楽しいイベント」だけではなく、「次に会社が進むべき方向」を、社員やクライアントなどにアピールできるメリットが生まれることでしょう。あなたの会社でも、記念イベントのテーマにこだわり、戦略的に検討して、新しい会社の一面を社員やクライアントにアピールしてみてはいかがでしょうか。

  • 2020.01.13
  • 実践ヒント

事例c:社内向け記念品の作成

会社を元気にする周年事業 5

周年事業として社員や協力会社、クライアントに対して記念品を進呈するケースも多いものです。弊社の周年事業でも、記念品を進呈するというアイデアが含まれています。では、誰を対象にして、どのような記念品を進呈するのが、周年事業にふさわしいのでしょうか。それは企業それぞれの業務内容、環境、周年事業に対する考え方などによって、さまざまな結論が導きだされるはずです。ここでは、例えば弊社の場合、どのように考えたのかを書いていきます。 記念品の位置づけは周年事業の目的に立ち返ろう 記念品の進呈はさまざまなパターンが考えられるので、まず誰を対象にするべきかを絞り込むべきです。そのために、周年事業の目的に改めて立ち返ると良いでしょう。弊社の周年事業の目的としては、社員や協力会社、クライアントに対して感謝を具体的に表すだけよりも、20周年を機に業務の“現場”での社員やパートナーの結束力を強めることを優先しようと考えました。そのため、対象を社員やパートナーに絞り込みました。そこで、20周年を機に社員やパートナー全員に同じ記念品を支給する結論に至りました。同時に、イベントの現場で、社外にも20周年をアピールできるようにしたいと考えています。そのため、通常業務で使えるアイテムを記念品として選定する方針にしました。そうすることで、特にパートナーやクライアントに対して、会社に対する信頼感や安心感をもってもらえることを図ります。そのため、現場でスタッフ全員が着る襟付きボタンダウンシャツや、現場で使うバインダーを制作する予定です。 共通の記念品を進呈する際には大きな課題がある 記念品のアイテムにはたくさん選択肢があります。そのため、社内に選定するための会議を開き、その都度、社内の反応もチェックしながら、社員主導で選定して決定していく進め方を選択しました。それでも、性別や年代別にそれぞれ嗜好性が異なり、1つに絞り込むことが難しいことでしょう。記念品の選定での大きな課題としては、みんなで使う記念品と各自の嗜好性の違いとの兼ね合いが難しいことが考えられます。そこで、弊社では嗜好性が出にくい定番アイテムに限定して、できるだけシンプルで、デザイン性が高いものは避けて記念品の選定を行うことにしています。

  • 2020.01.13
  • 実践ヒント

事例b:周年パーティーの開催

会社を元気にする周年事業 4

日頃、業務を行う社員やパートナーに対して、会社が感謝の意を表すことは、周年事業としては非常に重要な役割だと考えています。そのため、弊社では周年事業の1つに周年パーティーの開催を検討しています。 周年パーティーにふさわしい内容とは何かを吟味しよう もともと社員を対象に、1年の締め括りとして忘年会を毎年行っていますが、20周年を機に、さらにパートナーを加えて感謝の場を設けようと考えています。ただし、クライアントを招待するかどうかは現在、検討しています。この会を営業的な意味合いよりも、社内や協力会社との結束力を高めることに集中したいと考えたからです。これまでの忘年会は、若手社員に企画させ実施しているので、今回もその形式で進めたいと考えています。しかし、例年は1年間の感謝にとどまりますが、今回は創業以来の20周年の感謝なので、内容はバージョンアップを図ります。例えば、これまでの弊社の経緯を振り返って感謝の意を表すると共に、次の20周年に向けた結束を改めて呼びかける場として活用していきたいと考えています。まさに、シンボルに選定した周年ロゴの制作意図の「100年継続する企業としての最初の20周年」と合致する展開になります。そのため、若手社員に企画を任せる形式とはいえ、抑えたい方針はあらかじめ明確に設定して、それを受けた実施内容をしっかり吟味していく必要があります。 周年パーティーの目的は明確に持つことが重要 弊社の周年パーティー開催の目的は、大きく2つあります。1つは、この20年間の社員およびパートナーの協力に対する感謝を表すこと。そして、次の20年に向けた結束の強化を呼びかけることです。感謝すべき対象は、会社や業務内容、あるいは環境によって異なるといえるでしょう。弊社では、特にパートナーなくしてはビジネスが成立しないので、その関係性を大切にしていくことが重要です。また、社員においては、若手から中堅に育った社員がここ数年で結婚を予定しており、新卒の若手メンバーも増えてきているので、これからの社風を作り上げていく上で、この周年パーティーは大きな意味を持つと考えています。いずれにしても、周年パーティーをただ実施するのではもったいない話です。何年かで1度の大きな節目ですから、会社の気持ちを明確に伝える場、良いタイミングとして戦略的に活用していくべきでしょう。そのため、周年パーティーを開催する目的は事前に明確に抑えておくことが必要です。それに応じた内容や開催形態、招待する対象の範囲を決めて実施していきましょう。周年パーティーを、単なる“お祭り”に終わらせないことが重要です。 周年パーティーを実施する上での課題とは 周年パーティーを実施する上では、「このプロジェクトを誰が推進するべきか」という大きな課題があります。極端にいえば、経営主導にするのか、それともメンバー主導にすべきなのかという選択の話となります。会社の気持ちを明らかにするのであれば、経営主導の方が適していますが、周年事業を自分ごと化するという意味では、メンバー主導にするという選択も考えられます。弊社では、これまで忘年会の企画・運営を、若手社員に任せてきました。イベント企画・運営を業務としていることもあり、社内イベントの企画・運営の経験を積む点でその意義は大きいと考えています。また、イベントは人が動く分だけどうしてもトラブルがついて回ります。しかし、万一起こったとしても、社内のイベントのため、トラブル対応や予防する対策などをフォローすることができますし、それ自体が本業に役立ちます。とはいえ、20周年は大きな節目となるので、そうそう失敗が許されるわけではないので、若手社員に任せるとしても、事前のチェックやフォローが必要だと考えています。

  • 2020.01.13
  • 実践ヒント

事例a:周年ロゴをつくる

会社を元気にする周年事業 3

それでは、周年事業としてどのようなことを行っていくのかを、ご紹介しましょう。ここでは、今年度、弊社が20周年事業として行うことに決めた内容を事例にして、実際にどのようなことを考えたか、あるいは、その実施にあたり、どのような苦労や課題があるのかを解説します。弊社で実際に体験している内容ですから、皆さんが周年事業を実施する際に、きっと参考になると思います。 周年事業を進める上で、シンボルは必要不可欠?! 弊社が周年事業の1つとして周年ロゴをつくる“きっかけ”となったのは、昨年末に社員やパートナー(※1)から募り出てきたアイデアの中に、周年ロゴの作成が提案されたことです。当初から周年事業を推進するためにシンボルとなる周年ロゴを作成して、社内の意識を高めたいと考えていましたが、これはあくまでも経営サイドとしての考えでした。今回の周年事業ではトップダウン型ではなく、できるだけ会社全体で納得して周年事業を進めていきたいと考えておりましたので、その実施には迷いがありました。しかし、最終的にアイデアを社内投票で20項目に絞り込んだ際に、周年ロゴも残りましたので、経営サイドの意向だけでなく、社内でもその必要性が認められた形となりました。周年ロゴを、周年事業のシンボルとして活用していくのであれば、他の周年事業の制作物や広報活動のベースにするべきです。そのため、周年事業の最初の1歩として、周年ロゴを最初に着手しました。そして、周年ロゴを活用して社内が周年事業で1つになり、外部に対しても弊社の存在や目指すべきものを改めてアピールしていくことを目標としました。 ※1)弊社の本業であるイベント企画・運営業務の都合上、社員だけでなく、「パートナー」としてMCを行う俳優などの登録スタッフや、各種専門業務の協力会社と業務契約しています。 “社員参加型”で周年ロゴを作成することにこだわる せっかく社員からも周年ロゴのアイデアが出てきたので、“社員参加型”で周年ロゴを作成することに、とことんこだわりました。その方が、周年事業を推進する際のシンボルとして、会社全体の意識が高まると考えたからです。そこで、社員全員からロゴデザインを募りました。集まったロゴのデザイン案は、作成者の名前を伏せて社内で回覧し、社員が好きなデザイン案に「いいね」スタンプを捺印していく形式で、選定していきました。そして、それぞれの得票数とデザインの汎用性を、社内のもうけた周年ロゴ担当委員会で検討して1つの案に決定しました。その結果は、社内への一斉メールや社内掲示板を活用して、社内にて発表。こうして決まめられ周年ロゴは、現在、社用封筒に印刷して活用したり、名刺に貼り込むシールなどを作成して活用したりする予定となっています。ちなみに、決定したデザインに関して、提案した社員のロゴに込めた想いは、 社員が輝くSTARを目指すERの星(でもまだ欠けてる!?) 欠けているのではなく、実はまだ星になるには100年かかる。 つまり、まだ20年の途中を表現し、そこに20th Anniversaryを表現。 1箇所20年×5箇所=100年を表す の意味を込めてます。このロゴを使用してもらう中で、親しみや愛着を持って頂けると嬉しいです。担当者のコメントの通り、中央の星形の突起で20年を表し、100年継続する企業として、最初の20年を達成したと表現する制作意図があります。自社を100年継続する企業として社員が意識してくれたことに、経営者としては大変うれしく感じています。 周年ロゴの課題は「社内でいかに共通認識が持てるかどうか」 弊社では、たまたま周年ロゴの作成を社内公募のアイデアの中に入っていましたが、周年ロゴの課題は「社内をいかに巻き込めるか」であり、経営サイドからの一方的な配信ではだめだと感じています。そのため、弊社で実施するにあたり、いかに社員に当事者意識を持ってもらうかを意識して、進め方を検討し実施していきました。そうすることで、社内に周年事業に対する共通認識を持たせることができ、そこから生まれる企業風土や土壌を創り出していければと考えています。成果としては、こちらで予想していたより周年ロゴの提案数があったことです。全員1案までは至りませんが、社員数に対する提案数の割合が約75%でした。ただし1人2案の提案も含まれますが、若手社員だけでなく、中堅以上の社員の提案があったことは、成果としては大きいと捉えています。また、社内投票の際には、「この案はA君ぽい」「このデザインはBさんだろ」と、特に上のメンバーが若手社員のことを話す機会が増えました。若手としては自身のことを話題にしてもらうことは、照れくさいこともありますが、日常業務ではまずないことなので、うれしく感じるのではないかと考えています。いずれにせよ、この周年ロゴの選定の段階で、社内コミュニケーションは間違いなく活性化しました。 周年ロゴの活用する方法を前もって決めておくことが推進のカギ 弊社の周年ロゴが決まり数カ月経った現時点で、まだまた活用されていないのが現状です。特に、制作物に周年ロゴが反映されていないのは大きな問題だと考えています。周年ロゴを周年事業のシンボルとして強く推進して、社内に浸透させ社外にも広くアピールしていくためには、その活用方法をあらかじめ具体的につめていくことが重要。周年ロゴが決まった段階でさまざまな形で活用していくことが必要だと感じています。弊社では現在はまだ社用封筒でのみ活用できています。さらに今後は、名刺用のシール、ホームページ、社内ポスター、社用箋、現場ユニフォーム、ステッカー、提案書、見積書・請求書など、多方面で活用する予定です。これらの活用は、周年ロゴが決まった後に、どのように活用しようかと検討するのではなく、周年ロゴが決まる前に、あらかじめ大まかな活用方法は決めておく方が良いと実感しています。その方が具体的に活用するまでの期間が短くなり、一気に社内に浸透させることができ、社外にアピールできる期間が長くなるといえます。早く浸透して、長くアピールできるということは、それだけ周年事業が充実できるといえるでしょう。

  • 2020.01.13
  • 実践ヒント

周年事業の内容と進め方

会社を元気にする周年事業 2

周年事業の内容としては、記念パーティー、社員旅行、社員総会、運動会などのイベントが思いつきます。実際、これらを中心に行うケースが多いようですが、先に述べた通り、周年事業を「何をするのか」ではなく、「何を伝えるのか」を考えて、内容を検討することがあるべき姿といえます。そこで、会社を取り巻く“5人のヒト”に対して「何を伝えるのか」、そのために、どのような内容をどのように進めていけばよいのかを、考えていきましょう。 周年事業はその対象によって目的が異なります 会社を取り巻く“5人のヒト”とは、社員とその家族、取引先、協力会社とその家族、株主、地域や社会の5つですが、周年事業の目的は、対象に応じてそれぞれ異なります。では、各対象に対して、どのような目的が考えられるのでしょうか。まず、社員に対しては、会社としてのこれからの決意と、これまでの感謝を伝えることが、主な目的といえます。そうすることで、会社への理解を深め、社員全員で一致団結することを促します。そして、会社への帰属意識を高めることができ、社員同士の仲間意識を高めることもできるので、日常業務での助け合いもスムーズにできる職場づくりが実現できるからです。社員の家族を周年事業の対象として捉えるケースは少ないのですが、会社への理解を深め“会社のファン”になるくらいに親近感を高めることは大切で、社員が働きやすい環境づくりに非常に有効です。昨今の実力主義への偏りとそれに伴う終身雇用制の崩壊に相反して、伝統的な日本の会社のあり方を見直す流れが生まれ、社員とその家族をすべて含めて“会社のファミリー”と位置付ける経営者も増えてきています。取引先の顧客に対して感謝を表すことも必要ですが、今後も事業展開を継続して行くことを考えると、会社としてのこれからの決意を伝え、自社へのファンづくりを目指すことの方が重要といえます。また、自社とクライアントが共に成長する『共創』を、訴えることも必要です。協力会社には、これまでの会社への協力や支援に対して、感謝の意を表することは、今後の協力体制の維持のために特に重要です。そして、協力会社に会社のこれからの決意を伝え、ファンづくりを積極的に行うことは、共に成長する『共創』体制の強化や、信頼関係つくりにもつながります。株主への対策としては、感謝の意を表し、会社としてのこれからの決意を伝えることが重要な意味があります。ファンづくりと、信頼関係つくりを図り、自社との長くお付き合いできることをお願いしましょう。そして、地域・社会に対しては、感謝の意を表すというより、地域や社会との『共存』する意向を示し、信頼づくりやファンづくりを図ることが大切です。 それぞれの目的に合わせて周年事業の内容を検討しよう この周年事業の目的を考えると、それぞれの対象で実施内容は異なってきます。社員に対しては、一般的には社員総会、パーティー、社員旅行が行われます。また、社長からのメッセージを書いたカードを配布したり、社史の発行、記念品の贈呈をしたりするケースもあります。最近では、社員から広く意見と募るため、これからの会社を考えるプロジェクト会議を開催する事例も見られ、この会議で周年事業の内容や、これからの会社の展望について話し合い、社員が社長に直接意見できる機会を設けています。社員の家族に対しては、周年パーティーや運動会などの社内イベントへのご招待、会社訪問イベントの開催、家族謝恩イベントとしてディズニーランドご招待を実施するケースがあります。周年の1年間で1回のみ行うのではなく、BBQなどの季節イベントにその都度ご招待したり、家族にも記念品の進呈を行ったりするケースもあります。基本は、社員に対する内容を、家族も含めて実施する会社としての姿勢を見せることが、家族も会社の一員であることをアピールでき、社員にそこまでケアしてくれる「良い会社」としての認識が高まります。取引先に対しての周年事業としては、記念品の進呈、記念パーティーや会社主催のゴルフコンペなど、記念イベントにご招待するケースが多いです。そして、協力会社に対しては、記念品の進呈、記念パーティーのご招待、旅行やゴルフコンペなどのインセンティブ・イベントや記念イベントにご招待する事例が多くみられます。いずれも、周年事業のために開催する特別なイベントに招待する形で、取引先や協力会社との関係を築く内容となっています。株主への対策としては、周年を記念した特別配当、株主総会などのお土産を豪華にした記念品、その他、記念パーティーなどのイベントがあります。地域・社会には、CSR(Coporate Social Responsibility:企業の社会的責任)として地域貢献を目指す活動を、周年を機に始めるケースが多くみられます。この場合、その1年のみの展開もありますが、CSRとしては継続した展開が望ましいでしょう。例えば、地域や社会のためになる寄付、地域イベントの開催や協賛、記念植樹、その地域にあるビーチや公園などを清掃するなどのボランティア活動、地元の小中学校への本やPCの寄贈などが行われています。 周年事業をどのような体制で進めるのか ちなみに周年事業を進める体制としては、大きく2つとなります。1つは、社内で周年事業を進める形式。これには、社内の複数の部署から担当を決めて行う“社内横断型”や、社員などの対象すべてを周年事業に巻き込んでいく“参加型”などのタイプがあります。どのタイプを活用するかは、会社の組織形態やその状況、周年事業の内容によって、向き・不向きがあるので、適したスタイルを選択することになります。社内で進める体制のメリットには、社員が何らかの形で参加することで、会社への帰属意識を高めることが考えられます。また、社内で事業を進めるので、担当した社員には、本業の仕事とは別のスキルやノウハウが蓄積され、自信やビジネスに対する前向きな考え方が芽生えることでしょう。もう1つには、周年事業を専門とする外部企業に委託することです。これにより、社員などの社内の負担を抑えることができます。さらに、周年事業のプロが実施するので、トラブルが少ないメリットがあります。万一、トラブルが起こった場合でも、その対処法にわずらわされることも少なくなります。ちなみに、私どもイベント・レンジャーズでは、自社の周年事業そのものを社員から公募する形式をとり、さらにアンケートで公募されたアイデアの中から実際に行う周年事業の内容を決めていきました。企画の段階から、社員全員で参加してもらう“参加型”で行っています。このように、企画の段階から参加してもらうことで、社員全員に当事者意識を持ってもらうことを狙っています。もっとも、弊社の本業の領域でもあるので、自分たちで行うことは、周年事業への取り組みを学ぶ“場”として活用でき、クライアントの担当者の気持ちを理解できる“機会”としても活用しています。 周年事業は「何かを伝える」対象によって、実施目的が変わってきます。また、その目的によって、ふさわしい展開内容も変わってきます。それに合わせて、周年事業を進める体制を検討するといった手順で、周年事業を検討していきます。せっかく10年に1度、50年、100年に1度しか訪れない周年ですから、あなたの会社の環境や状況に合わせた最適な展開をじっくり考えてみませんか。

  • 2020.01.13
  • 実践ヒント

なぜ周年事業を行うと良いのか

会社を元気にする周年事業 1

私事で申し訳ないのですが、私の経営する会社も2017年で20周年を迎えました。これまでの道のりは決して平坦ではなかったので、20年という節目を迎えるにあたり、今までお世話になった方々への感謝の意を表していくべきではないかと考えております。実は、この周年事業は、会社の経営サイドが、社員とその家族、取引先、協力会社とその家族、株主、地域・社会といった会社を取り巻く“5つのヒト”に対して、これまでのご厚意に感謝し、これからのご愛顧をお願いする良い機会だといえます。そこで、私の会社で行う周年事業を事例にしながら、周年事業の役割や考えるべきこと、注意点などを整理していきましょう。 周年事業が必要となる理由で大切なポイント まず、周年事業が必要となる理由は何なのか、考えていきましょう。そもそも周年事業は、会社の記念日となるので、それを記念した式典やパーティなどのイベントを行い、賑やかしを演出するケースが多いものです。しかし、せっかく10年、50年、100年でそれぞれ1度だけ訪れる“周年”を、単に社内向けの記念式典だけで終わらせてしまうのは、もったいないことです。周年事業には、行うだけの大切な意味があります。第一に、周年事業は、これまで企業を維持することができたことへの感謝と、それを支えてきたヒトたちに感謝の意を表す良い機会となります。このヒトたちとは、先に述べた“5人のヒト”を指します。もちろん、会社の経営を仕事で具体的に支えてくれたヒトとして、取引先のお客様は大切です。しかし、その中でも最も大切なのは、会社を中から支えてくれている社員たちです。彼らに感謝することは、「これからも“共に”がんばろう」という会社からのメッセージにもなります。そして、彼ら自身の中で、会社に対して「自分の会社である」という気持ちを大きくしていきます。そして、それと同じくらい重要なのは、社員の行う仕事を社外から助けてくれている協力会社です。彼らの助けなしでは、これまでの会社の存続ができなかったかもしれません。また、OG/OBも大切です。彼らは、社員を辞めた後も社外から企業を見守ってくれているだけでなく、昨今の不祥事には彼らの告発が発端となるケースもあります。会社への親近感が高いゆえに、応援と失望の両極端に分かれてしまう危険性を含んでおり、リスク管理の意味でも重要となります。最後に、忘れてはいけないのは、社員の家族で、彼らが社員の働く環境を維持しているからです。間接的に会社を支援してくれています。周年事業を感謝の意を表す良い機会とするには、これらの視点を忘れずにケアしていくと、これからの会社の事業展開の支えとして大きな助けとなります。第2に、会社は長年経営していくと、会社として今まで大切にしてきたことや、これまで行ってきたことが、薄れてきてしまう点です。会社としてだけでなく、社員でも同じで、特に若手社員に至っては知らないことが多いことでしょう。その要因は、会社の“源”を経営者としてきちんと伝えきれていないことが大きいです。ここを手薄にしてしまうと、会社と社員との溝が深くなり、仕事の質や離職率の増加などに影響してきます。かくいう私自身、日々の仕事に追われ、「なぜ今、会社があるのか」を忘れがちなので、今回の周年事業で社員に改めて伝えることで、そこを確認し合い、大切にしていくべきだと痛感しています。第3に、会社として「これからの決意」を伝える機会となること。これは、事業を継続する上で、重要なアピールになります。社外に対しては、企業の根本的な理念でもある“ゴーイングコンサーン(企業が継続的に事業を続けること)”を実現できている企業として名乗りを上げることになります。また、社員に対しても、会社の決意を伝えることは重要です。ともすると、資金繰りなどの経営的な視点で、取引銀行や株主対策中心となりがちですが、実は、社員への企業理念や将来のビジョンを共有することはそれ以上に重要です。この共有は、社内の結束力を強めるチャンスとなり、会社一丸となることで改めて自社の存在感・価値を示し、さらには企業ブランドの向上を図ることができるからです。そして、これをキッカケに内なる力を社外に向けて、新たな営業アプローチをすることも可能でしょう。ちなみに、弊社がビジネスとして周年事業をオファーされた場合には、「社員の方々への感謝を第一に考えるべきだ」という考えを“核”に提案を行います。これは、クライアントの「これから」を考えていく上で、先に述べた波及効果を狙う必要があるからです。そして、弊社の実績に、これを目的とする周年事業を行うケースが多いのは、クライアントのニーズが高いからともいえるでしょう。 周年事業で果たすことができる役割 周年事業は、あくまでも会社が今後成長するための通過点です。しかし、通常の営業活動では、企業理念や将来のビジョンを発信できる機会はほとんどなく、社員にメッセージを伝える機会もなかなかないのではないのが現状です。したがって、周年事業を社内外に会社の存在意義をアピールする機会として最大限に活用すべきです。周年事業は、10年ごとに訪れる1つの節目として、これまでを振り返るタイミングというだけでなく、会社のブランド戦略の策定や、企業ブランドの強化、認知促進など経営としての大きなチャンスでもあるのです。近年は、社会や時代の動きとして働き方の多様化が進み、終身雇用制度が揺らいでいる時代です。このような環境の中、会社のメッセージを伝えることは、非常に重要であるといえるのではないでしょうか。そして、それは働く社員にとっても重要なことです。会社に対する安心感を持ち、会社の安定を実感することができますし、社員の会社に対する帰属意識の高まりにもつながります。これにより、働きがいのある会社を構築する上で、大きな役割を果たします。会社全体で見ると、ひとりひとりの社員の帰属意識が高まることで、会社を“核”にして一致団結することになり、社内が1つになるからです。そして、周年事業は、これまで社内で培ってきた「社風」「企業文化」「風土」を伝えるキッカケでもあります。社員に「社風」「企業文化」「風土」を伝えることができると、それが会社への理解を深めることになり、単に会社としての枠ではなく、同じ価値観を持つ集まりとして、会社と社員の関係が密になっていきます。最近の若者が就職する際の基準に、「面白そうな会社か」「働きやすそうな会社か」という視点が大きくなってきています。その価値観の人材に、会社への“共感”を生み出すには、「社風」「企業文化」「風土」を伝えることは大きな意味を持ちます。また、社会や地域に対してのアピールは、会社への信頼感が高まることにつながります。それは、株主にも波及することになり、株価や株の長期所有にもつながることになるでしょう。さらにこの動きは、リクルーティングにも影響します。社会や地域で会社への信頼感が高まるということは、良い会社、元気な会社としてのイメージが広まることになり、それが、就職活動する学生や転職希望者に伝わり関心が高まるからです。 周年事業の展開を検討する際に、社内報や記念式典などの「何をするか」を最初に考えるのではなく、せっかくなので、周年事業の社内外の影響を踏まえ、会社として「何を伝えたいのか」から考えていきましょう。社員、その家族、協力会社、クライアントなどへの視点を考慮して、会社としてのメッセージを考え、場合によっては社員などを周年事業に巻き込む“参加型”のスタイルを立てていくことも、大きな効果を生み出す貴重な“周年”の1年間になるはずです。実際、弊社では周年事業の企画の段階から、社員を巻き込むスタイルで周年事業を進めていきます。あなたの会社の周年は、何年でしょうか。周年が近いのであれば、「何を伝えたいのか」じっくり考えてみてください。

  • 2020.01.13
  • 実践ヒント

他社導入成功事例(2)

生産性を向上させるメンタル対策 7

-A社社員数・100人建設業社内ストレス原因を解決して1億円の売り上げ増の見通し- B社は東京都内にある建設業の会社です。約100人の社員のうち、70人は真夜中に作業をする作業員です。社長から全社員面談のご依頼を受けましたが、そのきっかけはストレスチェックをやったが、意外に高ストレス者が多くその原因は何なのかをつかみ、できるところから対策を取りたいとのことでした。実は、面談を進めるうちに高ストレスの原因は様々なものが出てきたのですが、その中でもっとも生産性と関連するものをご紹介します。それは、ある中堅作業員の面談の中から出てきた話です。実はこの会社には営業部と言うものが別にあり、この営業部が発注先から仕事を取ってきます。その仕事を作業員たちが真夜中に作業しているわけです。真夜中の作業自体はストレス要因になっているのではありませんが、話していると彼ら作業員が大きなストレスとなっているあるひとつのことに行き当たりました。それは、こういうことです。「発注元の会社の担当者と自分たちが真夜中に作業をしていると、彼らとの話し合いの中で、ここはどうにかならないかなとか、ここは直せるか?できるんだったらやってよとか、そういう話になってその場で仕事を受注するという、そういうことになるのです。いわば、な夜中の作業現場が営業になっているのですが、この売り上げは会社に規定により、営業部の売り上げになってしまい、自分たちが全く評価されないのです。」おわかりのように、自分たちがやった営業活動が全く評価されない、という不満、ストレスだったのです。この企業は歴史が古いこともあってか、作業員は黙って真夜中の作業を黙々とやっていればよい、という昔ながらの風潮があり、よもやそんなことが不満、ストレスになっているとは、トップは全く想定していなかったようでした。ただ単に自分たちが評価されていないという不満と言うよりは、会社は自分たちの営業活動をもっと評価してくれるのだったら、この厳しいご時世にもっと売り上げを伸ばすビジネスチャンスがあるのですよ、だからそれをやりませんか、というある意味社業をおもんばかった故のストレスでもあるのです。 この作業員の意見は数人から聞かれたため、全社員面談終了後に社長に報告しました。「何?そんなビジネスチャンスがあったのか。だったらきちんと評価してやれば、もっともっと売り上げが伸びるということなんだな。わかった。そうする」私が面談した社業員たちは、「評価してくれないだから、今まで仕事を依頼されても断っていた」というのです。でも、断らないのだったら今より1億円くらいは売り上げが伸びると思う、とのことでした。なんということでしょうか。こういうことは意外にも経営者の盲点であり。如何に経営者が優秀であろうと気が付かないことでもあるのです。「言ってくればいいじゃないか」と経営者は思うかもしれません。でも、社員は言わないのです。いえ、言えないのです。こういうことがひとつの原因で高ストレスになっているわけです。もったいないですよね。ここを解決した結果、従業員満足向上、メンタル対策成功、売り上げ向上、職場改善向上、に成功したのでした。ストレス解決は、生産性向上だけでなく、働き方改革や従業員満足向上と一体となっていることお判りでしょうか。過日、電通では若手社員が自殺したことから、強制的に時短を行い、17時になったらすぐに帰れ、というような処置を行っているようですが、強制的にそんなことをしても、社員は結局家に帰って仕事をするようになるだけで、社員のストレスは強まるし、働き方は何も変わりません。本当に意味で働き方を変える、生産性を向上っせるとは、社員のストレスにしっかり向き合っていく事から始めることがベストなのだと思います。

  • 2020.01.13
  • ベンチマーク

株式会社ライト・ライズ様

元気な会社の事例紹介 3

休業して働いてくれた学生のために卒業式を行う会社 ライト・ライズ 有限会社ライト・ライズは千葉県で居酒屋(とりのごん助など)を5店舗展開しています。代表者の寺本幸司さんは、2014年7月に株式会社シェアードバリュー・コーポレーションが開催した「第1期人本経営実践講座」に参加しています。 当初、寺本さんはトライアル(初回のみ受講)でのお申し込みでした。その初回講座である第1講「人本経営ベーシック」では、人本経営を志している会社の共通するあり方(社員第一主義・現場重視・労使ではなく同志の関係の構築・社内対話の活性化・社員の長所、強みを活かす経営・全員参画型経営・高い社会貢献性の実現・年輪経営の実践など)について指南いたしました。 ポイント1 人本経営の居酒屋 寺本さんがその講座を受けて語った言葉です。「うちの会社、ほとんど全部できていると思う。」 そこまで言うなら、ということですぐに視察に行きました。ライト・ライズでは、毎週月曜日、社員が集い会社をよくしていくミーティングが開催されています。「それを見ていただければ当社を理解できます」ということなので参加してきました。 自主的にミーティングに参加したいと申し出た6名の社員は全員、平成生まれの若者たちでした。寺本さんはほとんど口出ししません。誰一人やらされ感なく活発な意見交換がされ、店づくりのための重要事項が次々と決定していきます。 ここで決定された方針は、このミーティングには参加していない店長に伝えられ了承されます。店長は管理者ではなく支援者という存在になっていました。人本経営ではリーダーは支配するのではなく、全員を主役にするサーバントリーダーシップとなりますが、確かにここではそれが実現していたのです。 言うだけのことはあり、幸せ感が充満している職場でした。見事としかいいようがない視察となりました。しかし、これまで寺本さんは孤独だったそうです。「綺麗ごとだ」「偽善者だ」という人も多く、「考えが甘い」と言われなき指摘をされることも多々あったからです。寺本さんは同期生の勧めもあり、第1期人本経営実践講座に正式に参加してくれました。そして、講座の最後にこんな感想をいただきました。「出会い、学び、多くのきっかけを頂く中で今までの自分たちのあり方に、自信と確信、そして誇りを持つ事ができました。」今までの社会が異常だったのです。よく人本経営を貫き通しました。 ポイント2 学生アルバイトに感謝を伝える卒業式を敢行 同社では毎年3月に働いてくれた学生に感謝するため全店舗を休業にして「卒業式」イベントを行っています。これにも参加させていただきました。式から二次会まで、愛と思いやりが交差し続けていました。愛、感謝、恩といった言葉をほとんどのスタッフが口にしていました。なかでも多かったのは「幸せ」でした。60人近いスタッフの90%は幸せ軸に高い親和性を備えている平成世代。人本経営の職場でまさしく青春を謳歌していると感じられました。外食という業種でも見事に人本経営は花開くのです。今回卒業していく学生たちは10名。うち4名は同社に職業人生をかける決断をしています。正しいと思います。必ず幸せな人生が待っているはずです。 そして生産年齢人口が激減している人手不足の時代に大きな示唆を与えています。人本経営に成功した会社は、アルバイト学生から幸せ軸に共感共鳴する社員採用が澱みなくできるということです。価値観のあった優秀な人財の採用に困らなくなるのですから、永続の切符を手に入れたのも同然です。ライト・ライズでは常時数十人の学生たちが働いています。仲間からぜひ一緒に働こうと誘われたり、お客さんである親からぜひ子供を使ってほしいというご縁が出来たりしているのです。これからの時代の新しい人財採用のあり方と言えるでしょう。逆に従来型業績軸では、ますますいい学生との縁が結べなくなってきている時代ともいえるのです。 有限会社ライト・ライズ (代表取締役 寺本 幸司) 千葉県の六実、白井、千葉ニュータウンで焼とり『ひょっこりごん助』『とりのごん助』の3店舗を運営。飲食店成長の方程式“多店舗展開”をあえてせず、スタッフ教育に情熱的に取組み、ここ数年、スタッフ募集をいっさいせず、全員、既存スタッフの紹介で入店している。接客、サービスも地元No.1との評判も高く、平日も開店時から常に満席状態である。 会社サイト:http://hy-gonsuke.com/

  • 2020.01.13
  • 実践ヒント

他社導入成功事例(1)

生産性を向上させるメンタル対策 6

-A社社員数・200人製造業メンタルの原因を解決して3000万円コストダウンに成功- A社は大阪に本社を置く日用品販売の百貨店に商品を納品している製造業の企業です。数年ほど前から、不良品による返品が非常に多くなり、社長から数年前から「全社を挙げて不良品を減らせ!」との大号令のもと取り組んできましたが、一向に減りません。トップから厳しく叱責される日々が続き、社員は萎縮している様子でした。そのうち、品質検査の部署や工場の工程管理をする部署、営業部、などにメンタル不調者が現れ始め、他部署にも高ストレス者が増えてきました。そんな時弊社との出会いがあり、トップからの依頼で全社員に対し、1人約30分のストレス面談を実施することになりました。 1)扁桃体興奮を鎮めることからスタート まず、なぜ不良品が多いのかを質問する前に、今の気持ちを明確にするということを行ったところ、相当数の社員が「どうにもできなくて苦しい」「どうせ無理」「もっと大きなミスが起きるのではないか」「社長が怖い」など、強い不安やあきらめ、苦しさを抱えていることが明確になったため、まずはマイナスをゼロにするというセラピーを行いました。この段階で感情の発生装置である扁桃体興奮を静めることに成功すると、前向きな方向に発想が進みます。次に何が原因だったと思うか、と言う視点で「周囲の原因」と「自分の原因」の話を聴いていきます。すると、多くの社員に遠い昔の記憶がよみがえってきました。それは10年ほど前に、トップから「全社を挙げて今まで以上に返品率を下げること!」と指示が下った時のことでした。その時を境に逆に返品率が上昇したのです。そしてわかったことは、その時を境にして「個別商品を入れている外箱の傷をも、不良品として扱われ返品されることになった」ということでした。店頭で陳列されている個別の商品は、個別の箱に入れられています。そして12個ごとに外箱に入れられ、販売会社に納品されているのです。外箱とは、個別の商品を守るためのものなので、外箱が傷ついても中の個別商品が傷ついていなければ本来問題ないわけです。しかし、なぜか外箱の傷をもいつのころからか「不良品」と認識され、返品されるようになってしまい、年数がたつにつれこれが慣例となってしまっていたのです。私が推測するには、社長の指示を必要以上に厳格に守ろうとした当時の関係部署の担当者たちが、必要以上の判断を下してしまったということなのかもしれません。「外箱の傷は不良品ですか?」こういう疑問を挙げた社員の声が多かったため、面談記録をまとめその会社の社長と販売会社の社長に確認したところ、「それは問題ない」との回答でした。この問題なくなり、今まで行っていた不要な仕事が大幅になくなりました。不良品は今まですぐに再納品しなければならなかったため、いったん工場のラインを止めスケジュールを作り直し、材料を再手配し残業して納品します。ものすごく無駄なコストがかかっていたのです。これらの手間がなくなり結果として年間3000万円のコストダウンに成功しました。メンタル対策、コストダウン、時短、働き方改革、従業員満足向上、職場改善などが一挙に成功したのです。すべてが終わり、社長とお話ししていた時の言葉が印象的でした、「そんなことで悩んでいたのか」そうなのです。社長から見ると「そんな程度のこと」で社員は悩みストレスに陥り、結果として無駄なコストがかかっていたのです。