社員満足を上げ、働きがいのある会社へ「元気な会社をつくるプロジェクト」

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件数:92件
  • 2020.01.12
  • 実践ヒント

社員第一主義の正しい理解と実践

やらされ感のない職場を作るには 1

「社員第一主義」-人を大切にする経営を目指していても、このことを宣言している会社はまだ少数です。それは社員第一主義ということについての正しい理解と実践ができていないからにほかなりません。 社員第一主義とはけっして社員が一番偉いという意味ではない 社員第一主義という言葉が独り歩きして誤解を生みやすいのですが、社員第一主義という場合、社員とは経営者も含む概念です。会社の構成員すべてということです。社員第一主義とがけっして社員がいちばん偉いという意味ではありません。会社経営をしていく上で経営者は社員の幸せを第一に考え、行動実践していくということが真の社員第一主義の意味です。それが結果として、お客様を幸せにすることにつながるのです。人本経営が形づくられるためには、職場での相互信頼に基づく人間関係がとても重要になります。そのためには、利己的ではなく、利他的な対人関係をつくっていくことが求められます。これを実現していくためには、社員第一主義を正しく理解して実践していくことに尽きます。社員第一というのは、経営者を含め社員全員が万感の幸せ感にあふれて仕事をする状態をつくることに他なりません。やらされ感なく幸せという充実感に満たされた社員が行う一つ一つは、気配りのある、質の高い、思いのこもったアウトプットを織りなします。その状態に顧客がふれたときに、最高の満足、感動が生み出されていきます。 社員第一主義を標榜する会社は顧客をこの上なく大切にしている会社 人本経営に成功している会社に視察にいったとき、そこで働く社員さんたちの幸せ感に売れ触れて、こちらも満たされるという体感を何度もしてきました。顧客満足はつくるものではなく、その会社が醸し出す幸せ感に引き込まれて生まれてくるものだと実感させられています。ですから、社員のモチベーションの度合い以上に顧客満足度を高められないのです。ということは、モチベーションを高めていくことが、顧客満足度を最高に高めることに直結していきます。つまり、社員第一主義を標榜しているということは、顧客をこの上なく大切にしようとしている会社なのだと認識をすることができます。さあ、高らかに我が社は社員第一主義であると宣言していきましょう。

  • 2020.01.12
  • 実践ヒント

内発的動機づけを図るためのヒント

やらされ感のない職場を作るには 2

では、具体的に社員第一主義のあり方に近づいていくためにはどうすればよいのでしょうか? モチベーションの真実 「モチベーションは上げるのではなく、掘り下げていくもの」こう本質的な名言を語られたのは沖縄教育出版の川畑保夫会長です。 言われて嫌々やる仕事の成果・・・・・・・・・・1 理解して納得してやる仕事の成果・・・・・・・・1.6倍 自ら目的・目標をもってやる仕事の成果・・・・・2.56倍 川畑会長は、上記のやる気の法則は確かにそうであろうと考え、毎日、時間をかけて朝礼で社員皆がヤル気のスイッチを入れる時間をつくっています。やらされ感のない状態をつくっていくこと、これが社員第一主義の第一歩といえるでしょう。そこに近づいていくためには、自社ではどうしていくことが現実的でしょうか?これを考えていきましょう。 内発的動機付けが図れる共通言語をつくる その有効な答えのひとつが、社内に内発的動機付けが実現できる共通言語をつくっていくことです。 「お客様が喜ぶことなら何をやってもいい」 こう宣言したのはバクジーの久保華図八社長でした。そして実効性を担保するために現場に権限を付与し、いいと思ったことはいちいち相談しなくてもOKとしました。こういう環境をつくることで内発的動機が誘引されていきます。権限移譲や付与も社員第一主義の企業文化があると功を奏していくことになります。 「任せた以上は口に出さないことが肝要」 これはホテルグリーンコアの金子佑子社長の言です。「ん?」と思ったとき、何か言いたくなったときこそ信じて黙ることを心に決めたそうです。社員がやろうとしていることにダメ出しして、上から圧力をかけるような外的コントロールをしようとすると自発性が引っ込んでしまうと語られていました。これはリーダーとして忍耐がいりますが、人本経営ではリーダーの役割はメンバーを管理することではなく、支援していくことです。気づき行動していくことを促し続けていきましょう。 「家族だと思って接している」 これは川越胃腸病院で働いているスタッフから聞いた言葉です。そうして接していくことで感謝が返ってきます。それがまた患者様に向かうエネルギーになるといいます。人本経営の職場では、社員同士、そしてお客様に対しても上下の関係ではなく、まさしく家族のような絆感に満ちた関係性を構築していく特長がみられます。ぜひ掲げたい共通言語といえるでしょう。

  • 2020.01.12
  • 実践ヒント

社員第一と顧客との関係性を明確に標語化する

やらされ感のない職場を作るには 3

社員第一主義について頭で理解できるが、体感がどうもしっくりこないという場合が、幸せ軸の人本経営に舵を切った当初は起きるかもしれません。そこで、社員第一とお客様との関係性についても標語化して明確にしておくことが大切です。このことに知恵を使って、うまく人を大切にする会社づくりを行っていきましょう。これまで視察した各社で参考になる例をいくつかご紹介していきましょう。 「社員第一主義・顧客本位主義・社会貢献主義 」 これはわかりやすいです。社員の幸せ充足を第一で考えるけれども、思考をしていく時にはお客様の側に立った行動をしていきます。そして、会社は社会に役立つことを結果として成し続けていきます。関係性が非常に腑に落ちてきます。 「会社は社員のため、商品・サービスはお客様のため」 これもいいです。会社は誰のためにあるかといわれれば、それは社員の幸せを増大させるために存在しています。その増大は提供する商品やサービスを通じてお客様からもたらされる感動や感謝から引き起こされるものです。こんな意味付けでしょうか。お客様を幸せにするから自分たちも幸せになる、この感覚を全員が共有することで矛盾ない社員第一主義が実現されていくでしょう。参考にして皆が感じ合える標語をつくっておくとよいでしょう。そしてもう一つ。 「社員は社会のために、私は社員のために、仲間のために尽くす」 これは人本経営を実現した経営者が社員に対して語った言葉です。これもぐっときます。そして、本当に社長がそのことを実践しているなと社員が感じるようになれば、職場の空気感がものすごくよくなっていくだろうと想像ができます。会社で過ごす時間は長い。この時間を楽しく過ごすことができるかどうか、それは人生の幸せ感を左右することになります。そして、本当にこの会社で働いていることで幸せだと感じる社員が増えれば増えるほど経営者もまた、会社に関わる時間が楽しくて仕方なくなってくるのです。善循環を生み出していきましょう。社員第一主義に成功していくと企業をとりまくあらゆる関係の質が向上していくのです。

  • 2020.01.12
  • 実践ヒント

人間関係の質をよくしていくことが組織の健全な成長の源

やらされ感のない職場を作るには 4

繰り返しになりますが、人本経営が形づくられるためには、職場での相互信頼に基づく人間関係がとても重要です。そのためには利己的ではなく利他的な対人関係をつくっていくことが求められます。この利他ということは、奥が深く、実践することはそう簡単ではありません。マズローも「自己超越」は最も上位の概念として指摘しています。どうすれば利他が実現していけるのでしょうか。 成功循環モデルを意識して行動する マサチューセッツ工科大学 のダニエル・キム教授は、組織の成功循環モデルを 提唱しています。組織で活動していく場面では、そこに関わる構成メンバー(会社でいえば社員)一人ひとりが思考して行動を起こしていきます。そして、その行動が成果という結果を生み出しています。日々、このことを繰り返していく訳ですが、この結果は組織内の人同士、あるいは組織と人との関わりの質が大きく影響を及ぼしているとキム教授は唱えています。 組織内での関係性、すなわち組織に対するコミットメント、上司と部下、メンバー同士、社員と関係会社、そして社員と顧客など、これらの結びつきがよければよいほど、思考の質が良くなってくるということです。 関係の質が結果を左右する 例えば、上司と部下になんでも言える関係性があって、部下から提案をすると上司はきちんと傾聴し、受け入れていくという信頼関係があれば、部下はさらに役に立つためにはどうしたらよいか思考の質を高めていきます。そうすると、その高められた思考から行動の質も高められていきます。今の自分では、今考えていることを実現するのは難しいから、学習して能力を向上させていこうと行動していきます。努力の末、今まで出来なかったことが出来るようになり、提供する仕事のレベルが高くなっていきます。そのレベルの上がった仕事に、顧客は「そこまでしてくれるのだ」と感動し、満足度が高められていきます。結果として、その組織とのロイヤリティが高まっていきます。逆に、お客様の声をもとに「こうしたほうがいい」と何度提案しても、上司からリスクばかりを気にして却下され続けてしまうと、部下は「どーせ言っても無駄だ」と深く思考することをやめ、言われたことだけをこなしてればいいと行動が後ろ向きになっていきます。そんな状態で顧客と接していけば、それに応じた結果しか伴わないということは自明です。やがて顧客からも期待されなくなり、失注していきます。結果が出ないことを咎められ、ますます関係性が悪くなっていくと、社員の離職が繰り返され、組織は疲弊していきます。人間関係の質をよくしていくことが組織の健全な成長の源にあるとキム教授は指摘している訳です。ここに利己ではなく利他の重要性があるのです。

  • 2020.01.12
  • 実践ヒント

社員たちが自発性を発揮するために

やらされ感のない職場を作るには 5

多くの人本経営に成功している会社ではフラットな組織をつくり、役職呼称をやめ「さん」づけで呼び、リーダーは管理ではなく支援することが役割である、といった取り組みをしています。 人本経営に成功している会社がしていることの意味するところ この意味するところは、いい人間関係をつくるための環境づくりをしていることに他ならない、ということです。会社組織内が、旧来の業績軸の企業で多く見られたピラミッド組織による上位下達の関係性が強い場合には、業務命令が当たり前のようにつきまといます。社員たちは歯車の一つとなって、作業を黙々とこなしていきます。大量生産を効率的に実現するには、ありえるマネジメント手法です。しかし、わが国は物質的な豊かさを追求した時代はとうに去っているのです。豊かさが満たされ多様なニーズが生じています。そうしたニーズに的確に応えるのには画一的なトップダウンでは不可能です。現場で顧客に向き合っている社員一人ひとりが、どうすればもっと役に立てるか、必要とされるようになるかを思考して行動していくことに尽きます。社員が主人公となり、自発的に心のこもったサービス、商品開発をしていく組織がこれからの時代に求められています。人本経営で最も、これまでの経営と差異が出てくるのは、会社と社員が労使関係から同志関係へと質的な変化が起きてくるということです。 社員たちが自発性を発揮するために なぜ、スタッフは、あんなに楽しそうに、夢中になって働くのかと自発性に優れた社員育成に成功し注目される埼玉を中心にビジネスホテルを展開するグリーンコアの金子佑子社長は語ります。「社員たちが自発性を発揮するためには、『信頼されている』『受け入れられている』『関心をもたれている』状態をつくることが必須で、それを社員が感じて、自発性のスイッチを本人たちが入れる。業務命令では、自発性は絶対に生まれない。」マネジメントはけっして部下と闘うことではなく、スタッフの行動が次へ繋がるように環境を整えることだと悟り、丁寧に社員との対話を繰り返していった結果、強い信頼感が経営者とスタッフの間に生まれたといいます。

  • 2020.01.12
  • 実践ヒント

家族の応援が必要な理由

社員の家族が応援する会社へ 1

実は、元気な会社をつくるには、社員の家族の応援が必須です。というと、「どうして社員の家族が応援してくれる会社になる必要性があるのか」「どうして家族の応援が元気な会社につながるのか」という疑問が生じるでしょう。家族の応援を得て元気な会社にする具体的な方法を紹介する前に、まず家族の応援の必要性とその効果についてお話しします。 社員と家族には仕事に関する認識が違う 一般に社員の家族は、会社から給与をもらい生活を維持できていることを、頭ではわかっているものの、社員が夜遅くに帰ってきたり休みが合わなかったりすると、会社や仕事に対して不満を感じるものです。家族には、社員の仕事の内容や会社の状況は“他人ごと”で、自分たちの生活そのものが、良し悪しを判断する要素となるからです。家族にとっては、より豊かな生活をおくることや、家族と一緒に出かけるレジャーこそが、具体的に満足を感じることにつながります。それに対し、社員は家族の一員であり会社の一員でもあるので、「家族の生活」と「会社での仕事」のバランスを常に考えています。以前の“モーレツ社員”ほどは「会社での仕事」を重視しなくなったとはいえ、サラリーマンである以上、無視できない要素には変わりありません。そう考えると、社員とその家族との間には、会社や仕事に対する認識のズレが生じるのは当然のことです。 社員の幸せは家族の理解が影響する 実は、会社での出世を望まず、家族との生活の充実を一番に考える社員が増えてきています。家族に認められたい社員が増えてきているのです。そのため、家族の会社や仕事への不満を解消し、家族に認めてもらうことが、社員の幸せへの近道といえます。家族の不満があると社員の働き甲斐がなくなるので、会社としては、家族のために頑張れる環境を創り上げる必要があるのです。“ワーク・ライフ・バランス”が提唱される今、会社の経営としても、これまでの業績軸ではなく社員の幸せ軸で考えることの重要度が増してきています。会社と家族との距離を縮めることで、社員と家族との認識のズレをケアすることができ、社員のモチベーションを高めることができます。社員が元気で仕事を頑張ろうと思える会社にすることで、会社が元気になることにつながります。そのために、家族の理解や応援を得る必要があるのです。 社員の家族の応援を得るポイント 社員の家族が会社への理解を深め、応援したくなるには、いかに会社を“自分ごと化”できるかがポイントです。それにはまず、家族が「会社と仕事に接する機会」を設けましょう。会社の行事に積極的に家族の参加を求め、会社や仕事について知ってもらう機会を創りだすこと。例えば、会社の創立記念日に、家族に会社に来てもらう「キッズ会社訪問」や「家族参観日」などの事例があります。次に、「社員のメリットを家族のメリットに広げる」こと。これまで社員のみで行ってきた社内リクレーション、例えば、食事会やBBQ、運動会、クリスマスパーティなどに家族が参加しやすいプログラムへの参加も呼びかけることが一番簡単です。健康チェックやウォーキングなどの健康に関するイベントは、家族も参加してもらうことで、家族の健康を気遣う会社の姿勢を訴求できます。また、ビーチクリーンなどのCSR活動では、その対象を家族のいる地域に設定すれば、家族もその意義や役割を、自分たちのメリットとして感じてもらえるでしょう。さらに、福利厚生を家族対象に広げる企業も多くあります。社員旅行に家族を招待したり、誕生日や結婚記念日など、家族の記念日を休みにしたり、家族に花を届けたり、さまざまな取り組みが行われています。

  • 2020.01.12
  • 実践ヒント

家族参加のイベントを活用

社員の家族が応援する会社へ 2

イベントは人と人が協力して創り上げるので、そのアウトプットより、どの目的で集まり何をしようとしたかが重要です。そのため、家族も参加するイベントを実施することは、共通の話題をもつことにより、より深いコミュニケーションを図ることができ、会社との距離を縮めるのに非常に効果的です。 展開事例①社員が家族と一緒に楽しむイベント 例えば、周年記念日、クリスマス、ハロウィンなどでの「パーティ形式」、食事会、BBQ、花火大会などの「リクレーション形式」、社内運動会、ウォーキングイベントなどの「スポーツ形式」と、社員が家族と一緒に楽しめるイベントなら、テーマは問いません。しかし、家族も一緒に参加することが原則なので、老若男女誰でも参加しやすく、楽しめる内容であることは重要です。また、日程の決め方にも注意が必要です。業務の繁忙期は避け、業務に差支えのない時期であるだけでなく、参加する家族の都合も考慮して参加しやすい時期を選定することが重要です。特に、運動会や学芸会など、子供の学校行事のない休日に合わせると良いでしょう。そして、運営では、参加者を「お客さん扱いしすぎない」ことです。もちろん主催は会社ですが、参加型のイベントなので、やってもらうべきことはやらせる意識で運営すべきです。要は「みんなで作った感」を残す方が、主催と参加者の一体感を創り出す効果があるからです。 展開事例②会社のことを伝えるイベント 家族の理解を高めるためには、実際に会社を見せる「会社訪問」型のイベントが一番です。それを実施するには、まず「誰に伝えたいか」を考える必要があります。例えば、入社式では、新入社員の父兄を招待したり、キッズ会社訪問では、休日の子供達を会社に招待し、実際に両親の働く職場を見学することにより、会社への理解を促すケースがあります。しかし、いくら会社のことを伝えたくとも、会社の情報を配信するだけの講演スタイルは適しません。それより「ただの説明に終わらない」ことを意識して、何かしら業務に関する要素を盛り込むことが大切です。例えば、社長との名刺交換やちょっとした作業など、会社の業務を体感できるというのも一つです。そして、業務の負担にならない準備スケジュールや内容を選択することも、うまく運営する上で重要です。 展開事例③みんなで地域社会に役立つイベント その具体的な展開としては、例えばビーチクリーン、チャリティウォーク、チャリティバザー、ベルマーク活動など、様々な展開があります。会社の立地や業務領域、社員特性を考慮して、最適なテーマを選択することが必要です。その際、社員やその家族に「実施する意義や内容がわかりやすい」ことや、社員が家族に「説明しやすい」ことがポイントです。また、「社員主導型」で運営できることも必要です。例えば、マラソン大会やウォーキングなどのスポーツイベントでは、給水ポイントでのボランティアとして参加してもらうことで、みんなで地域社会に役立った実感をつくり出せます。そして、何より「地域に密着している」ことが重要です。それは「実施する意義や内容がわかりやすい」ことにつながりますが、地域に密着しているので、社員とその家族が共感を持ちやすくなるからです。

  • 2020.01.12
  • 実践ヒント

福利厚生で家族の理解を促す

社員の家族が応援する会社へ 3

福利厚生は、社員の勤務を軸とする生活環境を整えることで、社員の組織貢献度を高め、勤労意欲や能率の向上を図るために実施されています。日本では、その対象は社員のみならず、元社員、あるいは社員の家族にまで広げるケースも少なくありません。よりコストがかかるのに、どうして福利厚生の対象を広げる必要があるのでしょうか。それは、より社員の“身内意識”を高める効果が期待できるからです。また、社員の家族の支持や理解を得ることができるので、社員が誇りと安心を持って働ける環境づくりにつながります。これまでの「会社の業績」軸ではなく、「社員の幸せ」軸で考えた場合、福利厚生の対象を社員の家族まで広げることは必然といえます。 展開事例① 社員が家族と共に利用できるようにする 福利厚生の対象を家族に広めるには、まず、これまで社員限定で契約している「保養所」「スポーツクラブ」「健康診断」などを、社員の家族も含めた契約に変えることです。そうすれば、社員と家族が一緒に施設やサービスを利用できるようになり、家族自身も会社に対して身内意識が生まれます。また、社員対象の「社員旅行」「クラブ活動」「社内運動会」などのイベントに、家族も参加できるようにするのも効果的です。「社員食堂」も社員の家族に開放するだけで、実際に働いていなくとも会社の雰囲気を感じ取ってもらうことができ、会社との信頼関係がより深まります。 展開事例② 社員の家族生活を充実させる 百貨店の伊勢丹では、初売りの開始日を競合他店より一日遅く1月3日に設定しました。その理由は、社員に正月を家族と過ごしてもらうためです。元旦明けの稼ぎ時をあえて休日にして、社員生活の充実を選びました。また、社員の生活パターンに合った勤務スタイルを選べる会社もあります。UNIQLOでは、正社員やアルバイト・パート以外に、国内で働く転勤のない「地域正社員」を導入。さらに、1日8時間労働の例外となる変形労働時間制の仕組みで「週休3日制」を導入し、1日10時間労働で同じ給与となる勤務も選択できます。これらは、働き方を多様化して良い人材を確保することが目的ですが、社員からすれば、自分で働き方を選べるので、家族生活を充実させることにもつながります他にも、「家族の記念日を休日にする」制度を導入することで家族とのコミュニケーションの機会を設けたり、「子育て支援」や「介護支援」を充実させてそれぞれの環境に合わせた働き方を実現させたりすることも良い施策です。「勤続祝い」は、社員自身への記念品を進呈するケースが多いのですが、家族の慰労を考慮して家族で使う記念品にすれば、対象社員のためにも家族のためにも効果的な施策となります。 展開事例③ 社員に代わり家族の生活を保障する その代表的な事例としては、JRグループの主要駅構内にある売店「KIOSK」があります。この店舗そのものが、そもそも鉄道事故などで一家の働き手を失った遺族、主にその妻に働き口を確保する目的で創られたからです。これほど大規模な福利厚生は早々できませんが、もっと導入しやすい施策もあります。それは、あるベンチャー企業が行っている「家族へのプレゼント」。社員の家族の誕生日や結婚記念日に小さな花束を会社から贈呈するだけで、その家族の満足につながった実績があります。

  • 2020.01.12
  • 実践ヒント

社員の家族の理解を得るタイミング

社員の家族が応援する会社へ 4

社員の家族の応援を、社員自身の働きがいや働きやすい環境つくりにつなげていくためには、1年を通じてどの時期においても維持できていることが重要です。しかし、社員の家族全員があなたの会社に必ずしも関心・興味や好意を持っている訳ではなく、ましてや応援したい気持ちを持っている訳ではありません。そこで、社員の家族が会社を応援するタイミング、応援したいと思わせるキッカケ作りが必要となります。 ポイント①社員の家族の「節目」を感じるタイミング 社員の家族が会社に興味・関心、好意が持てていない一番の原因は「自分ごと化」できていないこと。要は、社員の家族は会社を自分自身の会社であるという認識が薄いということです。それを打開するためには、家族自身の「節目」をタイミングとしてとらえ、結婚、出産、誕生日などの人生の中での様々な記念日や、正月、夏休み、クリスマスなどの家族行事を考慮して、会社と社員の家族との接点を設けることが効果的です。社員ではなく社員の配偶者の誕生日に花束を贈るシステム会社があります。そこでは、社員の家族に日頃の感謝を伝えることで、「私のことも気遣ってくれる会社」として「自分ごと化」される成果が出ています。 ポイント②会社の「節目」となるタイミング 一方、会社の視点でもタイミングはあります。それは緊急事態や不祥事などの会社としてすぐに応援してほしい時ではなく、あくまでも日常的な業務サイクルの中にあると意識することが、相手に理解してもらえるために重要なポイントです。例えば、会社の業務の「節目」である創立記念日、決算期、株主総会、年度始めなどです。しかし、業界や業態によっては1年で繁忙期や閑散期に分かれる場合があります。その場合は、日常業務に影響がないように閑散期での導入を視野に入れて検討すべきです。ある税理士法人では、決算期の少ない8月の閑散期に社員の家族を招待してバーベキューや縁日を楽しむイベントを開催して、社員の家族とのコミュニケーション強化を図り、会社への親近感や理解を促す成果を得ています。尚、この時期は会社視点だけでなく、社員の子供の夏休みと重ねている点に大きなポイントがあります。会社都合ではなく家族の都合を考えることが重要です。

  • 2020.01.12
  • 実践ヒント

家族の支持を得る周年事業の活用

社員の家族が応援する会社へ 5

周年事業は会社の重要な節目に行う展開なので、社員から社員の家族に会社の話をする良いキッカケとなり、家族の理解を得る良い機会となります。この周年事業は企業によって様々な展開を行っていますが、ここでは「周年イベント」「記念品の贈呈」「インセンティブツアー」「CSR活動」の4つについて紹介します。 展開例①周年イベント 周年の年には、通常の社内イベント、例えば、創業式典や運動会、忘年会などを、大々的に行うケースは少なくありません。そこで、周年イベントの参加者を拡げてみてはいかがでしょう。社員の家族にも参加してもらうことで、会社や業務への理解を促すことができ、会社の社員の家族への配慮が実感できるので、会社への信頼感も醸成できる効果が期待できます。 展開例②記念品の贈呈 周年事業として記念品を社員に配る企業は多いと思います。この施策でも社員の家族の応援を得ることを狙うことは可能です。働く人への感謝を、働く人を支えてくれた家族への感謝に拡げれば良いのです。例えば、記念品に同封する社長からのメッセージに加筆したり、記念品に家族向けのアイテムを加えて選べるようにしたりするだけで実現できます。 展開例③インセンティブツアー 一般的にインセンティブツアーでは、社員全員参加もしくは優秀な社員への褒賞として実施しています。これを、会社が社員ならびにその家族に感謝する機会として作り直すと、有効な施策として活用できます。例えば、ディズニーランドに家族も招待したり、レストランを時間帯で貸切にしてパーティーを開催したりするなどです。予算に応じて、会社が社員の家族に特別な場所、特別な時を提供できれば、その効果が期待できます。 展開例④CSR活動 CSR活動は、企業が社会貢献するために周年を機に開始する事業の代表です。この展開でも、社員の家族の応援を得ることは可能です。社会貢献する先を、家族自身が共感でき身近に感じることができることに限定すれば良いのです。例えば、会社の所在地エリアと密着した活動や地域の学校に貢献する活動など、社員の家族の「やってみたい」「やるべきだ」と思える活動を内容に設定することがポイントです。そうすれば、社員の家族と同じ価値観を共有できるので、会社への共感が生まれ「自分ごと化」につながります。